『関心領域』監督が“本編に込めた希望”を明かす解説動画が解禁!
- Fan's Voice Staff
第76回カンヌ国際映画祭グランプリ、第96回アカデミー賞国際長編映画賞&音響賞を受賞した『関心領域』のジョナサン・グレイザー監督が“本編に込めた希望”を明かす特別動画が解禁されました。
イギリスの作家マーティン・エイミスの同名小説を原案に、第二次世界大戦中、アウシュヴィッツ強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む所長のヘス(クリスティアン・フリーデル)とその家族の日常を描く本作。
「可能な限り真実に近づくことが大切だったからアウシュビッツの隣で撮影した」と語るジョナサン・グレイザー監督。アカデミー賞音響賞を受賞したサウンド・デザイナーのジョニー・バーンは、「暴力は映像では描写せずに、すべて音で表現するようにした。壁の向こう側では虐殺が行われてる。そんな空間に響き渡る音を忠実に再現するために、徹底的に調べて音作りをした」と振り返ります。
劇中にサーモグラフィの映像として登場する、林檎を土に埋めていた謎の少女については、実在のモデルがおり、アレクサンドラ・ビストロン・コロジエイジチェックという人物。アレクサンドラは監督がポーランドでリサーチを重ねている時に出会った当時90歳の女性。12歳の時に彼女はポーランドのレジスタンスの一員として、度々収容者にこっそりと食事を与えていたといい、その話を聞いた監督は、アレクサンドラの物語を書くことを決意(※照明を使わないと決めていたため、夜でも人の形を撮影できるサーモカメラで撮影され、彼女を単なる人間ではなく“エネルギー”として描いた、ということを別のインタビューで明かしています)。
アレクサンドラは映画の完成前に亡くなり、アカデミー賞の受賞スピーチで、ジョナサン・グレイザー監督は彼女に感謝の言葉を送りました。家、ピアノ、ワンピースまで、すべてアレクサンドラの私物を借りて撮影したシーンで奏でる音楽は、実際にアウシュヴィッツの収容者であったヨセフ・ウルフが1943年に書いた「sunbeam」という楽曲。本編では黄色い日本語字幕で歌詞が表示されています。
映像の最後にグレイザー監督は、「私たちに似た人間でも、簡単に残虐な行為に及ぶ恐ろしさを伝えている。そんな中アレクサンドラは人間にも善意が残ってると示してくれた。そんな彼女の存在に救われたような気がした」と、物語の唯一の希望の光として描いたアレクサンドラの姿に、平和への願いを込めたことを明かしています。
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『関心領域』(原題:The Zone of Interest)
監督・脚本:ジョナサン・グレイザー
原作:マーティン・エイミス
撮影監督:ウカシュ・ジャル
音楽:ミカ・レヴィ
出演:クリスティアン・フリーデル、ザンドラ・ヒュラー
2023年/アメリカ・イギリス・ポーランド映画
日本公開:2024年5月24日(金) 新宿ピカデリーほか全国公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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