【試写会レポ】『ドクター・ストレンジ』IMAX 3Dでわかった”ここを観ておけ!”情報
- ichigoma
2017年1月27日日本公開の「ドクター・ストレンジ」、一足お先にプレス用のIMAX 3D試写会にファンライターとして参加、 観賞して参りました。と言う事で本レポートでは試写会での内容も含め、作品の”ここを観ておけ!”的ポイントを映画ヲタの独断と偏見でお送りしたいと思います。
前回の同作ファンイベントのレポートでも書きましたが、これ書いてる人は原作でのドクター・ストレンジ自体を完全に把握してる訳ではありません。なので原作では常識に近い事項を知らなかったり、はたまた思い違いをしている部分があるやもしれません。そこは何卒ご容赦を。
さて、11月17日19時から新宿で行われた今回の試写会。ファンイベントの時は平日19時30分開始と、仕事帰りでも定時上がり出来ればのんびり歩いても間に合う時間だったのですが、平日19時開始となると流石に無理がありまして。年末で消滅する有休日数が10日以上余ってるので、社畜の特殊効果である「明らかに低い有休取得率」を発動させ、午後半休をもぎ取りました。全休にしない辺りが社畜です。
そうなると昼間が暇になったので、『スタートレックBEYOND』の9回目を観て来たのはまた別のお話。
劇場ロビーに行くと、ロビー前には試写会専用の受付があって『ドクター・ストレンジ』の印刷物、がででんと山積み。あー、あれがプレスシートってヤツかなーって遠目で見ておりましたら、こちらも頂けました。
プレスシートって文字通り、メディア関係者向けに作成・配布される印刷物なので一般への流通はせず、たまーに映画関係のイベントとかニュースサイトでプレゼント品として提供される事があるアイテムです。かく言う私も、映画作品のプレスシートの実物を見た事はあっても一枚も持ってません。(ゲーム作品ならありますが)
ちなみに、今まで見てきたプレスシートは文字通りの”シート”で、二つ折りだったり観音開きだったりと形は違えども、展開すると紙ペラ一枚な事が多いんですがこれはちゃんと中綴じホチキス製本されてて、むしろ「プレスブック」。数えてみたらページ数も14ページ(表紙裏・裏表紙裏の面入れたら16ページ)と、なかなかのボリュームがあります。
紙の厚さも映画パンフでよく使われてるそれとほぼ同じでしっかりしており、裏表紙に輝く「非売品」の文字も相まって、これだけでも非常に価値のあるアイテムです。表紙も黒のマットコート紙で、落ち着いた風情が作風とマッチしてます。ペタペタ触ってると指紋がとっても気になってくるのがマットコート紙の宿命ですが。かと言って、ツヤツヤのコート紙だと高級感溢れすぎてストレンジ先生っぽく無いしなぁ。ジレンマ。
生まれて初めて己の手に入手した「プレスブック」にテンションが上がりつつもそこは理性で抑えながら、どれ中身は如何なるものかと、ぱらぱらっとめくる……
!!!!
あかん、これ上映前に観たらあかんヤツや!グラビアもテキストもチラ見しただけでも充実してる!ページの内容分かんないけど、スタン・リーがビン写で笑ってた!こいつは上映終了まで禁書扱い。試写会終わるまではアタイ開かないからね!と心を決めた目の前で
参加者の同士「すげー!このパンフ、内容がすげーよ!!(がばっと見開き全開)」
私「やめろー!それ以上、ここで見せびらかすのはやめろー!(自分のプレスブックで目隠し)」
などと、入場前のロビーで騒いでたいい大人(と書いて”あほのこ”と読む)がこちらです。だから年相応の落ち着きがないってよく言われるんだよ自分。
そうそう、プレスブックの中には映画館で配布されてる『ドクター・ストレンジ』のチラシと作中に出てくる用語解説シート、北米での興行成績等の最新情報が記載された情報シートの計三枚のペラ紙が挟まってました。
後者二枚、特に情報シートの内容はここでは書けませんが、「え、それマジすか?公開日はよ!」と早くも来年が待ち遠しくなる情報が詰まってた事だけは申し上げておきます。出来ればもう一声欲しいファン心理はありますけど(笑)
“ここを観ておけ!” マーベル・スタジオの新シンボルムービー
マーベルコミック原作の映画作品と言えば、冒頭で出てくる赤背景白文字の「MARVEL」のロゴマーク。MARVELのロゴ文字部分にコミックのカットがパラパラ漫画みたく表示されてほわーんと浮かんできたり、3Dブロックで描写されたアルファベットのロゴがぐいーんと旋回・ズームアウトして出てきたりと、作品によってムービーが異なります。
そして本作では「マーベル・スタジオ」のロゴ自体が変わったので、シンボルムービーも一新されてます。
あっさりしたシンプル系に回顧するのか、それてもゴテゴテの派手系が続投なのか、どっち方向のテイストの演出になってるかは劇場で確認頂きたいんですが、これだけは言わせて欲しいです。
MCUの各作品が好きであればあるほど、間違いなく体温上がります。
シンボルムービーなんてたかだかが何十秒なんですが、その短い秒数で狙い済ましたアッパーカットを観客に飛ばしてくるとか、マーベル・スタジオは敵に回しちゃいけねぇ。一回見ただけですが、頭の中で少し回想しただけでも余裕で悶絶出来ます。配給・制作会社のシンボルムービーで唸ったのは、Skydance社(但しIMAX版のみ、太陽フレアの描写が文字通り”熱い”)だと思ってたのに。げに恐ろしきはマーベル・スタジオです。
“ここを観ておけ!” 初見で観るならIMAX 3D
「ドクター・ストレンジ」はMCUの過去作品でも類を見ない、不可思議で流動的な歪んだ空間を描ききった映像美が見所の一つです。映像芸術の観点であれば、現時点ではMCUの頂点と言えるでしょう。そんな映像酔いを引き起こしかねない迫力と、ほうっと溜息の出そうな美麗な世界をドクター・ストレンジと一緒に体験するなら、IMAXスクリーンでの鑑賞をお勧めします。
プレス資料と上映前の説明によると、なんと本作は本編のうち約半分以上の時間がIMAX用に特別フォーマットされており、画面比率もIMAX 3Dでのみ「1.9:1」と、通常の画面比率「2.40:1」よりも広い範囲がスクリーンに映し出されます。
簡単に言うと、通常上映では「原形は正方形に近いけど横長の長方形の台紙に貼ろうとすると合わないので、台紙に合わせて上下の一部を切らざるを得ない」のが、IMAX 3D上映では「上下にも画角が広がっているので切る部分が少ない」感じ。結果、どれくらい画面が広くなってるかと言うと26%も増量。映像がウリの作品で約3割も情報量が増えるのは、とても大事です。
画面サイズの他、サウンドについてもIMAX用にカスタマイズされてるそうで、ここまで来るとIMAXで観る事を前提に制作してるのが見て取れます。今年7月は品川にもお目見えしたIMAXデジタルシアター。もしまだ未体験なのであれば、これを機にデビューしてみるのはどうでしょうか。確かに多少の追加映像料金は発生しますが、それだけの価値はお約束します。
実際にIMAX 3Dで観たドクター・ストレンジの世界の数々は、目まぐるしく変貌する空間が見事に表現されており、IMAXの表現力を遺憾なく発揮してると感じました。
“ここを観ておけ!” キャストのなりきり度
『ドクター・ストレンジ』の映画化の一報のあと、一体誰がドクター・ストレンジを演じるのか。まだキャスティングが公開されていなかった頃にはベネディクト・カンバーバッチと並んでトム・ハーディやキアヌ・リーブス等が候補として上がってましたが、その中でもよくぞベネさんを選んだなぁと思います。
その昔『アイアンマン』のキャスティングを決める際、候補の一人であったロバート・ダウニー・Jrは年齢(当時43歳)を理由に渋られてた中、オーディションでぐうの音も出ないトニー・スタークを演じてみせてタイトルロールを獲得したエピソードは有名ですが、原作コミックと雰囲気が似てる・似せてくる俳優を探して起用するのは並大抵の事ではない筈です。キャプテン・アメリカだって原作では金髪の青年として描かれてますが、中の人ことクリス・エヴァンスは黒髪の髭面(髭が無いと落ち着かないそう)ですし、そんな髭面だけ見て「この人!キャプテンアメリカ!」と、どうやったら言えるのかと…。
ドクター・ストレンジは逆に髭面がアイコンであり、両サイドのこめかみ辺りに数本入ってる白髪と整えられた前髪がとてもセクシーです。でも単に色男ってだけではなく、元・天才外科医としてのプライドの高さや知性も持ち合わせてないといけない訳で、そうなるとキャスティング的にはかなり条件が厳しい筈です。正直、ベネディクト・カンバーバッチがドクター・ストレンジに決まった際、偏屈者のシャーロック役で人気を博した彼がストレンジとしてちゃんとハマるのか心配でしたが、全くの杞憂でした。コミックに出てくるドクター・ストレンジが、今では逆にどれもこれもベネさんにしか見えない不思議。
また原作では男性(老人)なので、なりきりとは少し趣が異なりますがエンシェント・ワン。こちらの無駄のない立ち振る舞いの優雅さは、ファンイベントのレポートでも書いた次第ですが、本編を観て更に驚かされました。そこに”いる”だけで感じる存在感、慈愛と厳しさが同居してる読めない表情、性別や年齢すらも感じない辺り、まさに神秘の象徴とも言えます。
因みに演じるティルダ・スウィントンは現在56歳。日本だとそろそろ赤いちゃんちゃんこのお年頃なんですが、皺やほうれい線と言った加齢を感じさせる要素が全く無くてまさに美魔女。こんな年の重ね方をしてみたいものです。(見てくれは僧侶でも中身は魔法使いだし、”魔女”でいいのかなぁ…) ドクター・ストレンジことベネディクト・カンバーバッチも40歳ですが、髭効果でおっさん度が程よく乗っかっていい塩梅です。
“ここを観ておけ!” 魅惑の魔法世界へようこそ
とまあ、前置きは色々と置いといて、そろそろ真面目に「ドクターストレンジ」と言う作品を紐解いてみたいと思います。
前段でも触れましたが、本作の主人公「スティーヴン・ストレンジ」こと、ドクター・ストレンジは元々”天才外科医”として名を馳せていた医療従事者。そんな医療業界から交通事故が原因で異業種転職を余儀なくされた(?)魔法使いです。メインウェポンは文字通り「魔法」を操って戦います。
さて、この「魔法」。魔法と聞くと、皆さんどんな能力を思い描かれますでしょうか。
MCUで一番有名な魔法使い(?)と言えば、トナカイくんことロキ。『マイティ・ソー』、『マイティ・ソー/ダークワールド』では姿を変えたり分身したり、戦闘の際はエネルギーを射出して攻撃なんかをしています。あ、『アベンジャーズ』で威力を発揮したマインドコントロールはロキではなく、杖に秘められたインフィニティ・ストーンが元だと思ってるので割愛。あと泣き落としも魔法ではないので割愛。
他に魔法を使うキャラはオーディンやその妻のフリッガ、魔法っぽいものだとスカーレットウィッチ、ワンダ・マキシモフも入りそうです。ミニスカートから除く鉄壁の絶対領域が眩しい魔女様。
これら魔法使いご一同に共通する部分ですが、彼ら・彼女らの力は無から有のエネルギーを作り出し、それを直接または間接的に対象者に与えるところにあります。MCUに限らず、大体の魔法使いはこんな感じにカテゴライズされるかと。
ですがドクター・ストレンジの「魔法」は少し違い、次元と空間を意のままに駆使して戦うところに彼の真髄があると思います。
つまり、離れた空間を繋いだり切り離したり、建物の壁を地として”壁”を走ったり、はたまた”天井”を奔走したり。まるでエッシャーの騙し絵を再現したかのような空間を作り上げてしまう新種の魔法使いです。どうでもいい話ですが、”壁”走りや”天井”走りをして重力起点が変わるたび、何故か自分の顔をそっち方向に傾けちゃうのって何なんですかね。マリオカー○をプレイ中、カーブの度に体が勝手に動いちゃう現象と言えば分かりやすいでしょうか。
そして元外科医であるが故の「どんな事があっても相手を傷つけない」と言う、不殺の信条。悪に立ち向かうヒーローがこのを突き通せるのかどうか、そこにも注目して頂きたいです。
“ここを観ておけ!” これぞMCU、緊張と笑いのコンビネーション
MCUの過去作を振り返ると、ソコヴィアを起点に地球崩壊の危機に立たされた『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』に、アイアンマンとキャプテン・アメリカが相反する立場となって対立する『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』等、世界どころか観てるこっちのメンタルがゴリゴリと削られるシナリオであっても、そこはマーベル。心の給水所とも言うべきコミックリリーフ成分もしっかり配合されていて、『ドクター・ストレンジ』にももちろんそれが顕著です。
予告編では寺院の一室にやってきたドクター・ストレンジに謎のフレーズが書かれた紙片を渡し、「何の呪文?」との疑問に対して「Wi-fiパスワード(キリッ)」とドヤ顔をキメるモルドさんがいましたが、これ以外も劇場内が笑いに包まれるであろうシーンがいくつもあります。
その一翼を担うであろうは、多分あの赤いキャラ。『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』のノリが好きな方はたまらないと思います。緊張シーンばかりでなく、かと言って脱力シーンの連発ではない要所要所の緩急がやっぱり楽しいよねMCU。
“ここを観ておけ!” 誰でもウェルカム!ようこそMCUの世界へ
『ドクター・ストレンジ』ですが、地球を舞台としているMCU作品なのに『アベンジャーズ』なる組織も、はたまた『アベンジャーズ』に出てきたヒーローたちも視聴不要と言う、シリーズ14作目としては非常に稀有な作りです。他作品との関連性がない作品としては、地球以外で展開されている『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシ』がありますが、本作はどっちかと言うと『ガーディアンズ~』に近い。単作だけでも十分楽しめる内容だと思います。
シリーズも長くなると、興味はあれどとっつきにくい・途中参戦しにくいイメージが作品全体に付きがちですが、本作は何も予備知識は不要でぽんと身一つで入ってこれる気楽さが心地いいです。一つだけ本作がMCUデビュー戦だと分からない要素がありますが本当にそこだけですし、知らないからと言って置いてきぼりになることも無い安心設計に脱帽です。
そんなこんなでつらつらと書きましたが、来年1月27日は映画館でドクター・ストレンジ先生と握手したい、ですね!