カンヌ映画祭上映決定!是枝監督最新作『万引き家族』完成披露にリリー・フランキーら豪華キャストが結集!
- Joshua
日本アカデミー賞最優秀作品賞他全6冠受賞した『三度目の殺人』の是枝裕和監督が「今一番撮りたいと思う役者さんでつくった」と語る『万引き家族』。
5月8日(火)から開催されるカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出された話題作の完成披露試写会が、4月26日(木)に都内で開催され、リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林、城桧吏、佐々木みゆという”家族”を演じる豪華キャストと是枝裕和監督が登壇。その舞台挨拶をレポートする。
MC 撮影の雰囲気はいかがでしたか?
フランキー「なんか撮影いつも早く終わらないかなっていつも思ってるんだけど、今回は終わって欲しくないなってずーっと思ってる二ヶ月くらいだったような、家に帰って、ひとりでぽつんとしているよりも、この家族たちといるほうが心地よくなってきて。で、いつも凄く貧乏なランニング一丁の祥太が着替えて、おしゃれな服で、本当のお母さんと帰っていく姿とかなんかもう見たくなくて(笑)――この間、樹木さんと一緒に取材を受けていたときに樹木さんが”あんたが着ている服、ちょうだい”と言われてね。”追い剥ぎ家族”をされた服が今樹木さんが着てる上下がこれ。その場で取られたんですよ(笑)」
樹木「舞台挨拶に行くのに何かないかなと思ったら、これ、ちょうどいいやと思ってね。前に私、(リリー・フランキーに)あげたものがあるのでちょうどいいんです」
リリーさんと樹木さんは大変トークが上手くちょっと話しただけで会場が湧く。これは流石としか言いようがない。「前にあげたものがあるから」というだけの理由で「その服ちょうだい」と言い放ち、結果服を貰ってしまう……こんなことは樹木さんにしか出来ない。僕だって恩を売った女の子の友達はいるが、その友達に「そのシャツいいね、ちょうだい」と言ったところでビンタされるのがオチだ。
MC 是枝組初参加の安藤さんですが、オファーを受けたときのお気持ちはいかがでしたか?
安藤「このタイミングでこの作品に参加出来てよかったなあと。この作品のおかげでNHKでチャレンジすることが出来ました」
フランキー「やっぱ朝ドラの主役とかやるとCMいっぱい決まるんでしょうね」
樹木「いや松岡さんには敵わないでしょ」
松岡「でも”CM見るたびに誰だか分かんない”って、樹木さんが。私って顔に特徴がないって(笑)」
樹木「(TV)画面で見ると”この人そ~なのかな~”って。でも人気あるみたいじゃない。観客動員、頼みますよ」
松岡「はい。宣伝、頑張ります(ガッツポーズ)」
MC 松岡さんも今回是枝組初参加ということですね。
松岡「私はもうほんとに中高生の頃からいつか、いつかと思っていたんですけど自分の想像よりも早く入れてもらうことが出来て。でもまだちょっと早かったなって思っています。是枝組は素敵だよって話は前から聞いていたんですが、”私が息する場所ここだったんだ~”ってくらいに息がしやすくって風通しがよくて。寒さも吹っ飛ぶくらいに暖かくて風通しの良い場所でした」
松岡茉優さんはとても大人っぽいので忘れてしまいがちだが、まだ23歳という若い女優だ。つまり松岡さんが言うように中高生の頃から是枝組のことを意識していたということは、わずか数年足らずでその夢を実現することになったということだ。月影先生なら「恐ろしい子‥!」というのは間違いないだろう。
樹木「もう~、初参加の方がたくさんいらっしゃるので、これでもう私は辞退させていただきます」
フランキー「もうそれ毎回言ってますよね」
樹木「もう寒くって、早く帰りたくって。本当に過酷な現場でした」
是枝監督「冬だけど夏のシーンを撮ったりもしましたからね、半袖になってくださいっていうお願いもしましたけども(笑)」
MC 佐々木城君の配役に関してはどのように決められたのですか?
是枝監督「オーディションの部屋に入って座った瞬間に、ほぼ『この子でいこう』と決めていました。ピンときた」
MC ピンときたと、城くんはこの話を聞いてどう思いました?
佐々木「びっくりしました」
お手本のような小学生らしい回答で会場は微笑ましい空気に包まれた。
MC撮影現場はどうでしたか?
佐々木「最初は緊張したんですけど、是枝監督さんが(⤴※語尾が上がる)、演技指導?(⤴)、を分かりやすく丁寧にやってくれたから緊張も無くなって、現場も?(⤴)、温かい?(⤴)現場だったので……」
フランキー「なんで語尾がどんどん上がるの?大宮のキャバクラ嬢の喋り方みたいな」
(会場笑)
続いて、スクリーンには撮影現場の写真が映し出された。去年の夏に2日間だけ先にクランクインして撮影された海のシーンの写真を見て、俳優陣は楽しそうに語り合った。
MC 家族6人がたった1~2時間前に初めて顔合わせしたということですが、どのように撮影は進んでいったのでしょうか?
フランキー「海水浴のシーンだったので夏のなるべく早いうちにということで‥、というかなんかもう貧乏な『海街diary』(15年)みたいな感じだね、この写真(笑)」
松岡「ちょっとひどい!広瀬すずと差が!(笑)」
最後に、是枝監督から代表でメッセージ。
是枝監督「各世代、今、一番撮りたいと思う役者さんで映画をつくりました。撮影中、みなさんの演技をみながらどんどん作品のテーマも浮かび上がってきて、とても稀有な現場だと感じていましたし、シリアスな作品ではありますが、とても幸せだと思える作品になりました。濃密な時間を過ごせたことが作品からも伝わるかと思いますので、ぜひ、ご覧いただければと思います」
新生児取り違え問題をモチーフに家族の意味を問いかけた『そして父になる』(13年)でカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した是枝監督。”家族”をテーマにした映画を撮り続け、この『万引き家族』(18年)では祖母の年金や万引きで足らない生活費をまかなうという特殊な”家族”の絆を描く。血のつながりだけでは語りきれない、現代の家族のポートレートは、さまざまな問いかけを含んでいる問題作だ。
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『万引き家族』(英題:Shoplifters)
高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。
冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく──。
原案・監督・脚本・編集/是枝裕和
音楽/細野晴臣(ビクターエンタテインメント)
出演/リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ、緒形直人、森口瑤子、山田裕貴、片山萌美、柄本明、高良健吾、池脇千鶴、樹木希林
2018年/日本
日本公開/2018年6月8日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給/ギャガ
公式サイト
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