『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』ダークな笑いの背後にある傑作からの影響をダニエル・シャイナート監督が明かす!
- Fan's Voice Staff
A24新作『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』のダークな笑いの背後にある傑作からの影響とは?ダニエル・シャイナート監督がインスピレーションを受けた作品を語るコメントが到着しました。
ダニエル・シャイナート監督が明かしたインスパイアの源は、コーエン兄弟がミネソタ州を舞台に、ブラックユーモアたっぷりに田舎町の事件を描いた名作クライムサスペンス映画の『ファーゴ』、家族を守るために秘密裏に違法ドラッグ作りに手を染める高校教師を描き、2010年代最高のTVドラマと評される『ブレイキング・バッド』、クエンティン・タランティーノ監督の初期の傑作『レザボア・ドッグス』と『パルプ・フィクション』、そして世界的大ヒットコメディ映画の『ハングオーバー!シリーズ』。
カンヌ国際映画祭 監督賞受賞、アカデミー賞作品賞にもノミネートされた『ファーゴ』は、コーエン兄弟の出身地のミネソタ州ミネアポリスが舞台。主人公が狂言誘拐を起こそうと画策しながらも、歯車の掛け違いから事態が思いもよらない大騒動に発展していく様を、ユーモアたっぷりに描いています。シャイナート監督は、「敬愛するコーエン兄弟が出身地を舞台にして『ファーゴ』を撮っていたから、僕も故郷のアラバマ州を舞台にすることに決めた。脚本家のビリーと『ファーゴ』の事は沢山話したけど、狭い町の小さなコミュニティの混乱をシニカルに描いているところや、大真面目な登場人物の思いとは逆に話が転がっていく事、気の抜けたキャラクター達の造形など、インスパイアを受けた点は沢山ある。”南部版ファーゴ”と呼んでもらってもいいけど、あの作品でさえ起らなかった事を描いているから、驚くと思うよ!」と、本作への自信ものぞかせています。
『ブレイキング・バッド』は、批評サイト「Metacritic(メタクリティック)」でTVドラマ史上最高の100点満点中99点という高評価を獲得し、ギネス世界記録にも認定された海外ドラマの金字塔。末期の肺ガンと宣告された冴えない高校の化学教師が、危険なドラッグ製造・販売に手を染める様が描かれています。監督は、「(ブレイキング・バッド主人公の)ウォルターは、大切な家族を守りたいが故に家族に言えない悪事を働いてしまうけど、守るどころか家族まで巻き込んでしまう。 “人に言えない秘密が周りにどんなの影響を与えるか”というテーマは、同じ。(本作の主人公の)ジークもウォルターと同じように、家族の為にディックの死をひた隠しにするけど、やっぱり周囲を巻き込んで、事は悪い方向に進んでいく。まあ、ディックの死を隠したい理由は、家族を守る為だけじゃないけどね」と、本作との共通点を挙げています。
クエンティン・タランティーノのデビュー作品『レザボア・ドッグス』、カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールとアカデミー賞脚本賞を獲得した『パルプ・フィクション』という映画史に残る傑作2作にもふれ、「タランティーノからの影響は、深刻なシーンにもユーモアを盛り込むという手法。人は切羽詰まった状況に置かれると、その状況を映画に例えたりするだろ?リアリティを持たせる為に、彼の作品の要素を入れようと思った。OP後に血にまみれた後部座席のシーンを映すのは『レザボア・ドッグス』と同じ構成、その血だらけの車内を清掃する時に『パルプ・フィクション』の掃除屋の話をするのは、具体的なオマージュだ」と明かしました。
最後は、世界的大ヒットコメディ映画『ハングオーバー!』シリーズ。登場人物達の判断ミスやコミュニケーションミスが思わぬ事態を引き起こしていく物語ですが、監督は「本作は、大好きな『ハングオーバー!』への僕なりのアンサーでもある。共通点はいつまでたっても精神的には子どものままの大人達が、羽目を外してやらかしてしまい、結託して秘密を守る。秘密を抱えた代償や心理的影響、それが大事に発展していく様を、この作品ではよりリアルにドラマティックに描いたつもりだよ!」と説明しました。
『ファーゴ』、「ブレイキング・バッド」シリーズ、『レザボア・ドッグス』、『パルプ・フィクション』、『ハングオーバー!』シリーズで共通するのは、人には言えない秘密をひた隠しにすることによって事態が想像を超えて大きくなる様や、深刻になればなるほどあからさまになる人間の滑稽さ。本作でディックの死をひた隠しにする理由は一体なんなのか?その事実が明らかになった時──。
==
『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』(原題:The Death of Dick Long)
ヤバい、大変なことになった!ディックが死んでしまった。
舞台はアメリカ南部の片田舎。この事件の真相、深堀り厳禁──。
ジーク、アール、ディックの3人は売れないバンド仲間。ある晩、練習と称しガレージに集まりバカ騒ぎをしていたが、あることが原因でディックが突然死んでしまう。やがて殺人事件として警察の捜査が進む中、唯一真相を知っているジークとアールは彼の死因をひた隠しにし、自分たちの痕跡を揉み消そうとする。誰もが知り合いの小さな田舎町で、徐々に明らかになる驚きの“ディックの死の真相”とは…?
監督/ダニエル・シャイナート
脚本/ビリー・チュー
出演者/マイケル・アボット・ジュニア、ヴァージニア・ニューコム、アンドレ・ハイランド、サラ・ベイカー、ジェス・ワイクスラー、ロイ・ウッド・ジュニア、スニータ・マニ
2019年/アメリカ/ビスタサイズ/上映時間:100分/映倫区分:PG12/字幕翻訳:佐藤恵子
日本公開/2020年8月7日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
提供:ファントム・フィルム、TCエンタテインメント
配給/ファントム・フィルム
公式サイト
©2018 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.