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2020.05.26 17:00

映画史上最も狂った驚異の傑作『アングスト/不安』日本版予告編&場面写真が解禁

  • Fan's Voice Staff

1980年にオーストリアで実際に起きた殺人鬼ヴェルナー・クニーセクによる一家惨殺事件を映画化した実録スリラー映画『アングスト/不安』の日本版予告編と場面写真10点が一挙解禁されました。

1983年、あまりにも”異常“かつあまりにも”危険”な傑作映画が、それまでジャンル映画が存在しなかったオーストリアで突然変異のように誕生。本作は、刑務所出所後の殺人鬼=狂人が感じる不安やプレッシャーによる異様な行動と心理状態を凶暴かつ冷酷非情なタッチと斬新なカメラワークを用いて表現。狂人自身のモノローグで綴る構造や全編に徹底された陰鬱なトーンなど、作品自体が”異常“であり、他に類を見ない芸術性を発揮した衝撃的作品です。

83年公開当時は、そのショッキングすぎる凄まじい内容により本国オーストリアでは1週間で上映打ち切り。他ヨーロッパでも上映禁止、イギリスとドイツではビデオの発売も禁止、アメリカではXXX指定を受けて配給会社が逃げたといいます。日本でも劇場公開されず『鮮血と絶叫のメロディー/引き裂かれた夜』というタイトルで1988年にレンタル用VHSが発売されましたが、世の中に出回った数は極少、ほぼ誰にも観られることなく地下に埋もれ、以降観たくても観れない作品となり現在に至っています。

メガホンをとったのは、殺人鬼の心理を探るという崇高な野心のもと全額自費で製作したジェラルド・カーグル。本作はその唯一の監督作品です。

予告編は、イタリアの詩人ダンテによる長編叙事詩「神曲 地獄篇」より、「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」という一節が冒頭に映し出される場面から始まります。これは、カーグル監督の要望により今回の日本版予告のみに入れたもの。この門をくぐる者=この映画を観る者への警告ととれる言葉です。続いて映し出されるのは、『U・ボート』(81年)、『アンダーワールド』(03年)の俳優アーウィン・レダーが演じる主人公K.。シャツにジャケットを合わせた一見普通の青年風ですが、瞬きひとつせずそわそわした様子でとある屋敷を訪ね、出てきた老婆を何の迷いもなく撃ち、刑務所へ収監。何やら危険な幻想を抱きつつ出所の日を迎えます……。その後、狂人が世に放たれてしまったことにより取り返しのつかない惨劇が起こる様子が、疾走感溢れるタッチで切り取られています。

元タンジェリン・ドリーム、アシュ・ラ・テンペルの作曲家クラウス・シュルツによる冷たく脈打つようなエレクトロサウンドと、アカデミー賞最優秀短編アニメ賞を獲得した『タンゴ』(81年)やジョン・レノン、ミック・ジャガーらのMVで知られる世界的な映像作家ズビグニェフ・リプチンスキによる独特のカメラワークが予告からも感じられ、K.の不安な様子が伝わる予告編となっています。

世界各国で上映禁止、日本の映倫審査員からは「R15+だが精神的に滅入る内容」と判定を受けた、恐ろしい映画でありながら、芸術性の高さにも注目いただきたい唯一無二な傑作『アングスト/不安』。本編では途方もない蛮行が展開され、痛恨の映画鑑賞体験となる可能性があるため、この予告編をじっくり見て鑑賞するかを判断してください。

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『アングスト/不安』

刑務所を出所した狂人が、とたんに見境のない行動に出る。

監督/ジェラルド・カーグル
撮影・編集/ズビグニェフ・リプチンスキ
音楽/クラウス・シュルツ
出演/アーウィン・レダー、シルヴィア・ラベンレイター、エディット・ロゼット、ルドルフ・ゲッツ
1983年/オーストリア/87分/カラー/ビスタ/R15+
原題:ANGST(不安)/英題:FEAR(恐怖)/仏題:SCHIZOPHERENIA(統合失調症)/日本VHS発売時題:鮮血と絶叫のメロディー/引き裂かれた夜

日本公開/2020年7月3日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
提供/キングレコード
配給/アンプラグド
©1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion

※本作は、1980年にオーストリアで実際に起こった事件を描いています。当時の司法制度では裁ききれなかった為に発生した事象であり、本映画をきっかけとして以降大きく制度が変わりました。劇中、倫理的に許容しがたい設定、描写が含まれておりますが、すべて事実に基づいたものです。本作は娯楽を趣旨としたホラー映画ではありません。特殊な撮影手法と奇抜な演出は観る者に取り返しのつかない心的外傷をおよぼす危険性があるため、この手の作品を好まない方、心臓の弱い方はご遠慮くださいますようお願い致します。またご鑑賞の際には自己責任において覚悟して劇場にご来場ください。