東京コミコン2022:ジェームズ・マカヴォイがメインステージに登場!【全文レポート】
- Fan's Voice Staff
幕張メッセで開催中の「東京コミコン2022」のゲストとして来日中のジェームズ・マカヴォイが11月26日(土)、ステージイベントに登場しました。
1979年、スコットランド出身の俳優。『ナルニア国物語/第1章: ライオンと魔女』で英国アカデミー賞ライジング・スター賞を受賞し、『つぐない』ではゴールデングローブ賞 ドラマ部門主演男優賞にノミネート。『X-MEN』シリーズではチャールズ・エグゼビア/プロフェッサーXを演じ人気を集めたほか、M・ナイト・シャマラン監督『スプリット』(17年)では24の人格を持つ男を演じ、称賛を浴びました。最近では『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』に出演するなど、精力的に活動を続けています。
──まずはご挨拶をお願いします。
お招きいただいてありがとうございます。最高の時間を過ごしています。皆さん最高です。大勢で来て、時間を惜しまず、応援してくれていることに感謝します。ここにいる僕たち全員、心から感謝しています。ありがとうございます。(日本語で)ありがとう。
──マカヴォイさんが海外のコミコンに参加するのは非常に珍しく、今回が2回目くらいかと思います。今回なぜ東京コミコンに参加してくださったのですか?
東京は素晴らしい街です。こんな場所はこの世界にあまりありません。いつも素晴らしい時間を過ごしてきました。日本のファンとの交流はとても興味深く、礼儀正しいもので、それはどこでも起こることではありません。だから、自分がコミコンに参加してどんなものなのかを理解しようと思ったら、ここが良いスタート地点になると思いました。
──ここにいる皆さん、特に女性の方々はあなたのファンです。
(客席の一部から歓声)
ありがとう。ありがとう。ありがとう。一人の女性の方。
──女性の皆さん、歓声をお願いします。
(客席各所から歓声)
──ほら、もっとたくさんいらっしゃいますよ。
親切にありがとうございます。皆さんに(歓声を上げるよう)お伝えいただいてありがとうございます。
──それでは、Twitterなどで募集した質問をしていこうと思います。『X-MEN』は1作目、2作目、3作目でチャールズの性格が変わっていきますが、演じていてどのプロフェッサーXがお好きでしたか?
良い質問ですね。ありがとうございます。チャールズ役はいつも楽しんで演じていましたが、『X-MEN:フューチャー&パスト』のチャールズが気に入っています。スーパーヒーローだけでなく、心的外傷によるストレス障害を抱え、薬物中毒を患い、愛する人や友人、つまり家族のために自分を犠牲にしなければならない人物を演じることができたからです。だから、スーパーヒーロー映画でありながら、本当に骨太で興味深い演技をたくさんすることができたと思います。
『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』では、もっとユーモアを交えて楽しい演技ができたので、とても楽しかったですがね。でも、『X-MEN:フューチャー&パスト』のチャールズが、演じるのには最もダイナミックで興味深いキャラクターだったと思います。それからウルヴァリンに向かって「おととい来い」と言えましたからね。
──ちなみに、もしできることなら日本に住みたいですかと尋ねたら「もちろん住んでみたい」ということでした。
(場内拍手)
子どもが大きくなったらね。
──今日は『スプリット』の中のどの人格でいらしたのですか?
今日は誰でしょう…。ジェイドですね。間違いなくジェイドです。ジェイドはTikTokでフィットネスビデオを作るのにハマっている女子高生です。
──24の人格を演じるにあたり、24のキャラクターを持つ1人としてアプローチしたのか、別々の24人としてアプローチしたのですか?
24人が偶然にも同じ身体を共有している、というアプローチでした。「どうやったの?」と尋ねられますが、24人分の役を演じるだけで、それ以上に難しかったというわけでもありませんでした。難しかったことといえば、役作りを24回やるだけの時間を、限られた中で確保すること。それが一番大変でした。でも演じることが好きだから、ひとつのドラマや映画、舞台で複数のキャラクターを演じることができるのは、とても素晴らしいこと。24は多いですが、それは自分の好きなことをもっとやる機会となりました。だから、24の個人であって、1人だったわけではありません。
大事なのは、その人物が「なぜ生まれたのか」を考えることでした。それぞれのキャラクターの誕生理由ですね。ケビンは人生のいろいろな面で対応できないところがありました。暴力的なことに対応できなかったのでデニスは生まれ、神や宗教に対する信仰の問題に対処することができなかったことからパトリシアが生まれ、両親からの虐待に苦しみ人生がつらくなったことから、ヘドウィグが生まれました。ヘドウィグは何が起きても人生を楽しめる人物でしたからね。そうして、それぞれのキャラクターが生まれた理由を考えることで、それぞれがどういった人物にならざるを得なかったか、ということがわかりました。
──「シラノ・ド・ベルジュラック」の舞台を観に行ったという方からのメッセージで、ぜひ映画化して日本で公開してほしいとのことでした。
ピーター・ディンクレイジがちょうど映画(『シラノ』)を作ったところなので、そのことに対しては彼から意見があるかもしれません。どうでしょう…。この舞台で作り上げたものがとても気に入っているし、この舞台は撮影されて放送もされています。映画館で観ることもできます。僕としては、観客の反応があるのが大好きです。その点で僕がいま日本にいるうちにひとつ言わせていただきたいのが、この公演を観るために、ロンドンやスコットランド、ニューヨークのブルックリンに、日本からたくさんの人たちが来てくれました。本当に遠い海外まで観に来てくださった皆さんに、本当にありがとうと伝えたいです。何度も来てくださった方もいらっしゃいます。2019年に来てくれて、2022年にまた来てくれた人もいます。僕を含めたあの舞台の全員より、心の底からの御礼を申し上げたいと思います。
──『ペネロピ』でのマカヴォイさんが大好きでした。特に最後のキスシーン。
ご親切にありがとうございます。あれは演じるのも楽しい映画でした。クリスティーナ(・リッチ)が映画全体を支えていて、僕はただ楽器を演奏して走り回っているだけでした。本当に楽しかった。ご覧いただいて嬉しいです。特に娘さんと一緒に観て本当に楽しかったと言ってくれる人がたくさんいます。この作品は、自分の身体に対してポジティブなイメージを持つことなど、本当に大切なメッセージがいくつも込められています。不思議とずっと残り、何度も話題に出てくる作品です。
──パトリック・スチュワートのプロフェッサーXがMCUに登場し、デッドプールが今度MCUに登場するということは、ジェームズ・マカヴォイ版のプロフェッサーXがいつかMCUに出るということを期待してもいいのでしょうか?
僕にはわかりません。すべてはギャラ次第ですよ(笑 ※指で札束を数えるジェスチャー)。僕は最高の人たちと10年間を共にし、人生で最高の友達を作ることができました。素晴らしい絆と人間関係が生まれました。俳優として「戻る」ことは良い感じがせず、僕は前に進みたい。違うことをしたい。10年前の自分とは違う役者になりたい。もし素晴らしい脚本があり、僕の参加を希望されたならば、もちろん検討はします。でも、もし(マーベル・スタジオ側が)違う方向に進みたいのであれば、それを尊重します。X-MENのファンとして、そしてチャールズのファンとして、たとえ他の人が演じたとしても、ファンとして観るでしょう。だから、マーベルは本当に賢いし、自分たちのしていることをよくわかっているので、ミュータントの世界でX-MENの行く末も、正しく描いてくれると信じています。
──出演されたいろいろな映画の続編を観たいと言う声もファンから上がっていますが、スクリーンで再びお会いできるのを楽しみにしています。
はい、そんなにお待たせすることはないでしょう。約束します。しばらく舞台の仕事をしていましたが、映画に戻ります、約束します。
──日本で撮影するのはいかがですか?
日本での映画撮影?それも、ギャラ次第ですよ(再び指で札束を数えるジェスチャー)。本当に、芸術も大切ですが、お金ほど重要ではありません(笑)。
というのはさておき、脚本が面白くて、5分前の自分と異なる俳優になれるような機会があるのならどこへでも行くし、何でもやります。僕はただ、学び続けたい。楽しませ続けたい。驚きを与え続けたい。そして、その脚本でたまたま日本で撮影することになれば、それは素晴らしいことです。その脚本が僕に何をもたらすか、そして観客に何をもたらせるのか、というのがすべてです。
──サッカーのファンだともお聞きしておりますが、ワールドカップのことも気になっているのではないですか?
ワールドカップの話をしたいかって?ワールドカップの話はしないようにという風潮があるような気がします。普段はこのような場で他国の政治について話すことはしませんが、ワールドカップに関わる選手や監督、ジャーナリストは、開催国で起こっていることについて話さないよう、ある意味で期待されているようなところがあります。でも、それはちょっと変な感じがします。議論を通して変化をもたらす唯一の方法は、参加することだと思うのです。だから、「その国の価値観や原則に賛同できない国ではワールドカップを開催してはいけない」というのは正しいとは思えません。何らかの変化を起こしたいなら現地に赴いて、参加して、対話しなければならなりません。一方で、そうした対話が起きていないように感じられます。それはそれで心配ですし、あまり良い気分ではありませんね。
──イギリスを応援しているんですよね?
イングランドを応援?ああ…まあ、僕はスコットランド人だからね。息子はイングランド人だから、僕はイングランドのにわかサポーターみたいなものですね。でも、そのことを認めたら──実際、いま大勢の前で認めてしまいましたが、スコットランドに帰ると殺されてしまいますね。正直に言うと、ウェールズが勝つのが見たい。でも僕はイングランドに住んでいるし、大好きですよ…。
そういえば、先日日本がドイツに勝ちましたよね?ぜひ皆で拍手をしましょう。本当にすごいことです。おめでとうございます。
(場内拍手)
──これから演じてみたい役やキャラクターはありますか?
その質問には、いつもお決まりのつまらない答えがあります。「本当におもしろい脚本ならなんでもやる」。脚本を読み始めて、実感がわき始めるまで、頭の中で「これがやりたい」と思うことはありません。でも、やりたい映画のジャンルがあるとすれば…そういえば長い間コメディをやっていないので、ぜひやってみたい。近いうちにコメディをやるかもしれませんね。でも、(いま思っていることは)本当にそれだけで、実際に脚本を読んで、「おお、これいいな」と感じたら、ベッドから出て、仕事に行くという感じです。
──一緒に仕事をしてみたい監督は?
スコットランドで多くの映画を撮っているケン・ローチ監督がずっと好きで、そのことは20年前から公言しているのですが、まだ一度も呼ばれたことがありません。だから、ケン・ローチ監督、もし東京コミコンを見てるなら、僕はまだいるよ。まだ演技を続けているよ。ぜひ電話して。
──ホラー映画はお好きだったり、また出てみたいという思いはありますか?
はい、もちろん。怖くて、面白くて、衝撃的で、良いキャラクターなら、怖い映画にも100%出演しますよ。
──お好きなジャンルは?
SFです。100パーセント間違いなく。宇宙やエイリアン、他の生命体というテーマが幼い頃からとにかく好きです。ハイファンタジーも好きですがね。でもとにかく、SF。飛行機の中でもSFを観るのが好きですし、金曜の夜、宇宙船が登場するような新作映画が公開されていたら、観に行きます。
──好きな映画は?
『エイリアン』ですが…(上から順に)『グーニーズ』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』…と言えば、昨日クリストファー(・ロイド)に会って、今日も一緒に過ごしましたが、とても光栄なことです。『グーニーズ』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、そして『エイリアン』が僕の好きな3本です。
──会場の皆さん、額に手をあてて愛情のテレパシーを送っていただけますでしょうか。左手で。
みなさん、感じているよ。とても強く感じています。おい、それは送るなよ。会場に子どももいるんだから、そういういかがわしいのはだめ。
みなさん、本当に、本当にありがとう。こんなに大きな会場で、こんなに温かい歓迎を受けたのは初めてです。本当に、本当にありがとうございました。(日本語で)ありがとう。
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東京コミックコンベンション2022(東京コミコン2022)
会場:幕張メッセ 4ホール〜8ホール(千葉県千葉市美浜区中瀬 2-1)
会期:2022年11月25日(金)、26日(土)、27日(日)
主催:株式会社東京コミックコンベンション、東京コミックコンベンション実行委員会