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2022.07.29 16:00

『X エックス』こだわりの音楽に注目!

  • Fan's Voice Staff

現在公開中のA24最新作『X エックス』は、一攫千金を狙う若者たちが田舎で史上最高齢の殺人鬼に襲われるホラー。若者 vs. 老人という新鮮なストーリー展開や、ミア・ゴスがヒロイン・マキシーンと殺人老婆・パールを1人2役で演じていることなど、鑑賞後に考察を楽しめる作品としても話題を集めていますが、本記事では、そんなを“真夏のエクストリームライド・ホラー”を盛り立てる、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズなど数々の人気作を手掛けるタイラー・ベイツが担当した音楽に注目します。

舞台は1979年、テキサス。TVドラマ「ワンダーウーマン」で主演を演じ絶大な人気を博したリンダ・カーターに憧れる女優のマキシーンとそのマネージャー兼プロデューサーのウェイン、ブロンド女優のボビー・リンとベトナム帰還兵の俳優ジャクソン、そしてジャン=リュック・ゴダールに憧れる新鋭の映画監督RJとその彼女で録音担当のロレイン。“芸術的価値を持たせた背徳的でエロティックな”ポルノ映画を制作しアメリカンドリームを夢見る一行は、『悪魔のいけにえ』さながらワゴン車に乗って、撮影のために借りたとある古びた農場を訪れます──。

その道中でかかっているのは、マンゴ・ジェリーの「イン・ザ・サマータイム」。1970年にリリースされるや世界中で大ヒットし一世を風靡した同曲は、「天気のいい日は気になる女を誘い出せ/“人生を楽しめ”が俺たちの哲学」という歌詞と陽気なメロディラインが、鼻息荒く意気揚々と映画撮影に挑む彼らの心情にぴったり。

キッド・カディ名義で世界的ラッパー、歌手として活躍し『X エックス』の製作総指揮にも名を連ねるスコット・メスカディがギターを弾き、『ピッチ・パーフェクト』シリーズのブリタニー・スノウがフリートウッド・マックの「ランドスライド」をアコースティックバージョンで歌い上げるシーンは見どころのひとつ。もともと同曲は1975年にリリースされ、成長し大人になった子どもたちに巣立っていかれる母親の心情を歌ったものですが、同時に年を重ねることへの哀愁を含んだ歌でもあります。本編では、まさにいま若さの真っただ中にいる映画クルーたちがそれを噛み締めるように歌を楽しむ一方で、彼らの輝き溢れる若さと美に執着する史上最高齢の殺人鬼・パールのせつない心模様が重ねられています。

ほかにも、アメリカを代表するカントリー歌手のロレッタ・リンがカバーした「アクト・ナチュラリー」が、X-FACTOR(未知の才能)を持ったヒロイン・マキシーンが撮影で素晴らしい演技をみせ得意げに振る舞うシーンで流れるなど、様々な箇所で映画の場面と音楽がリンク。タイ・ウェスト監督は、「映画の中のすべての歌は、映画の中で起きていることと関連するように事前に選ばれた。だから、歌のトーンであれ歌詞であれ、すべては映画のテーマに沿ったもの。適切な歌を見つけて、それらの権利を得るのにはとても時間がかかったけど、みんながイエスと言ってくれてとても幸運だった」と語っています。

音楽を担当したタイラー・ベイツは、21世紀で最も売れたサントラの1枚となった『300 〈スリーハンドレッド〉』のサウンドトラックをはじめ、近年では『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『ジョン・ウィック』シリーズ、『デッドプール2』など数々の人気作を手掛ける音楽プロデューサー。

米国では本作のアナログ盤のサウンドトラックが2023年1月に発売予定で、A24公式サイトでは現在プレオーダーを受付中です。

なお、A24初の3部作となる本作の続編『Pearl』が、第79回ベネチア国際映画祭アウト・オブ・コンペティション部門に選出。史上最高齢の殺人鬼・パールの若かりし頃を描いた前日譚であることが明らかにされており、今後の『X エックス』シリーズの動向にも注目です。

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『X エックス』(原題:X)

1979年、テキサス。女優のマキシーンとそのマネージャーであるウェイン、ブロンド女優のボビー・リンと俳優のジャクソンは自主映画監督の学生RJと、その彼女で録音担当の学生ロレインと映画撮影のために借りた農場へ向かう。映画のタイトルは「農場の娘たち」。この映画でドル箱を狙う──6人の野心はむきだしだ。農場で彼らを待ち受けたのは、みすぼらしい老人ハワード。彼らを宿泊場所として提供した納屋へ案内する。一方、マキシーンは、母屋の窓ガラスからこちらを見つめる老婆と目が合ってしまう……。

監督・脚本/タイ・ウェスト
出演/ミア・ゴス、ジェナ・オルテガ、ブリタニー・スノウ、スコット・メスカディ(キッド・カディ)、マーティン・ヘンダーソン、オーウェン・キャンベル、ステファン・ウレ
2022年/アメリカ映画/上映時間:105分/R15+

日本公開/2022年7月8日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
提供/ハピネットファントム・スタジオ、WOWOW
配給/ハピネットファントム・スタジオ
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