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2020.09.04 17:00

『ある画家の数奇な運命』炎で絵画を焼き尽くす本編シーンが到着!

  • Fan's Voice Staff

フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督最新作『ある画家の数奇な運命』より、炎で絵画を焼き尽くす本編シーンの映像が解禁されました。

長編初監督作『善き人のためのソナタ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督が、現代美術界の巨匠であり、ときにオークションで数十億円の価格がつくアーティスト、ゲルハルト・リヒターの半生をモデルに祖国ドイツの“歴史の闇”と“芸術の光”に迫った本作。

1961年、ベルリンの壁が築かれる直前。社会主義リアリズムを重視する東ドイツの芸術政策に疑問を感じたクルト(トム・シリング)は、妻・エリー(ザスキア・ローゼンタール)と共に、モダンアートが旋風を巻き起こしていた西ドイツへと渡ります。その後ドイツアート界の伝説的存在であるフェルデン教授(オリヴァー・マスッチ)が教鞭をとるデュッセルドルフ芸術アカデミーへの入学を許可されたクルトは、自分にとっての芸術の「真実」は何かを模索しながら創作する日々を送っていました。

そんな中出席した講義でフェルデン教授は、ドイツ2大政党が描かれた2枚のカンバスを前に「どちらを選ぶ?」と学生たちに突然問いかけるますが、素直に答えていく学生たちに対して彼は一言、「選ぶな」「政党はダメだ、芸術を選べ」といい放ちます。「外からの影響を受けずに個々の力を伸ばせ」「諸君が自由でないと誰も自由にはなれない」──ひたすら“自ら選ぶ自由”の必要性を訴えた後、終いにはカンバスに火をつけ、燃え盛る炎の前で学生を挑発するように悠然と見つめます。

このフェルデン教授の様子は、第二次世界大戦後、数々のパフォーマンスアートで名を馳せ、美術館を飛び出して芸術の革命と自由を叫んだ20世紀を代表する芸術家ヨーゼフ・ボイスへの、監督からのオマージュを思わせる象徴的なシーンとなっています。

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『ある画家の数奇な運命』(英題:Never Look Away)

ナチ政権下のドイツ。少年クルトは叔母の影響から、芸術に親しむ日々を送っていた。ところが、精神のバランスを崩した叔母は強制入院の果て、安楽死政策によって命を奪われる。終戦後、クルトは東ドイツの美術学校に進学し、そこで出会ったエリーと恋に落ちる。元ナチ高官の彼女の父親こそが叔母を死へと追い込んだ張本人なのだが、誰もその残酷な運命に気付かぬまま二人は結婚する。やがて、東のアート界に疑問を抱いたクルトは、ベルリンの壁が築かれる直前に、エリーと西ドイツへと逃亡し、創作に没頭する。美術学校の教授から作品を全否定され、もがき苦しみながらも、魂に刻む叔母の言葉「真実はすべて美しい」を信じ続けるクルトだったが──。

キャスト/トム・シリング、セバスチャン・コッホ、 パウラ・ベーア、オリヴァー・マスッチ、ザスキア・ローゼンダール
監督・脚本・製作/フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
撮影/キャレブ・デシャネル
音楽/ マックス・リヒター
原題:Werk ohne Autor/2018年/ドイツ/ドイツ語/189分/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/日本語字幕:吉川美奈子/R-15

日本公開/2020年10月2日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
配給/キノフィルムズ・木下グループ
公式サイト
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