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2020.08.28 12:00

『マーティン・エデン』主演ルカ・マリネッリが日本のファンからの質問に回答!特別インタビューが到着

  • Fan's Voice Staff

作家ジャック・ロンドンの自伝的小説を、イタリアを舞台に映画化した『マーティン・エデン』の主演のルカ・マリネッリが日本のファンからの質問に答える特別インタビューが到着しました。

無学の青年が上流階級の女性との出会いにより教養に目覚め、作家を目指し、独学で底辺から高みへと上り詰めようとする切望と激情を圧倒的な迫力をもって演じたルカ・マリネッリ。本作がワールドプレミアされた第76回ベネチア国際映画祭で男優賞を受賞するなど、その演技は高く評価されています。Netflix映画『オールド・ガード』のニッキー役でも人気を集めるなど、今世界が大注目するイタリアの演技派俳優です。

インタビューは、Twitterで募集した日本のファンからの質問にマリネッリがオンラインで答えたもの。紺色のTシャツ姿でリラックスした雰囲気でしたが、インタビューが始まると真摯な表情に一変。俳優になった経緯や映画出演を決める理由、無念の来日中止まで、ひとつひとつの質問に丁寧に語ってくれました。

──『マーティン・エデン』の撮影の中で、印象に残っている場面や台詞がありましたら、理由も含めて教えていただけますか?
多くのものが印象に残っていますが、特にアーカイブ映像に関して、映画を初めて観た時に挿入されているもの(古い映画、ドキュメンタリー、ナポリを映した映像など)を観て、すごく印象付けられました。もちろん、セリフでも第一部、第二部を通じて多くのセリフが心に残っていますが、何よりもこの映画の精神というものにすごく感動しました。このマーティン・エデンという人間の、ある時点で頂点に行き、美を見つけ、最終的に絶望に落ちてしまうという軌跡を描いた精神に感銘を受け、人間的にも、仕事の上でも、この映画から多くのことを得られたと思います。

──『マーティン・エデン』は恋をしたことをきっかけに文学に目覚め、作家を志す青年の物語ですが、俳優を目指そうとしたきっかけはなんでしたか?また、人生に影響を与えた本はありますか?
きっかけはよく覚えていないのですが、小さい頃から舞台や映画といった世界には非常に魅了されていました。家族の中にこの世界の中で仕事をしている人たちがいることもあり、他の仕事とは違う仕事だ、と子どもの頃からずっと思っていて、すごく惹かれていたんです。ただ自分自身としては、やってみようという自信がなかなか持てず、自分にそれだけのことをする力があるか分からないなど、いろいろな理由があり、なかなか決心がつきませんでした。しかし、ある時点で、ともかく一度はやってみようということで、アカデミーのオーディションを受けることになり、そのオーディションに受かって、今に至ります。ある意味、私はラッキーだったと思います。この仕事は良い意味でも悪い意味でも非常に暴力的なところがあります。希望も与えてくれるし、大きな失望も与えてくれます。自分よりも千倍も才能がある人でも、なかなか幸運に恵まれない人もいるという世界だと思います。

影響された本に関しては、この仕事をするきっかけになった本という意味では、無いですが、もしかすると、「マーティン・イーデン」(映画の原作)を昔読んでいたら、早く心を決めるきっかけになっていたかもしれません。

──本当に様々な役柄を演じられてきたと思いますが、演じたいと思う役や作品を選ぶ上で理由となることがあれば教えていただけますか?
非常に基本的なことですが、脚本を読んだ時にジャック・ロンドン流に言うと、「野性の呼び声」みたいなものを感じることだと思います。何かしら脚本の中に心をつかむものがあり、もしくは脚本を通じて自分が何かを言えることがあると考えられるのが大事で、何か衝撃を受ける必要があると思います。それは、人物、メッセージ、映画の物語、そういったものを通じて心を打たれるものがあった瞬間にやりたいと思い、ほとんどの場合でこのような形で役を選んでいます。

──これまでの人生であなたに最も影響を与えた人やものはなんですか?
家族、友だち、子どもたち、自分の周りにいる多くの人たちがエネルギーをリチャージさせてくれたり、彼らの眼を通じて世界を見る見方を教えてくれる人たちだと思います。仕事上に限ると、ラス・ブリッセンデン役のカルロ・チェッキから非常に大きな影響を受けました。彼との出会いは人生で最も大きな出会いの一つでした。彼は、役者としての自分を変えて、強くしてくれた人物です。人生においては、たくさんの人がいますが、家族や愛情を与えてくれる人たちから影響を受けていると思います。

カルロ・チェッキ(ラス・ブリッセンデン役)

最後には、本作の日本公開のために予定していた来日が中止となってしまったことに触れ、「すごく楽しみにしていたので、実際に日本に行くことができず残念です。これは、どんな旅についても言えることですが、旅によって自分が豊かになることができます。特に日本への旅に関しては、その中でも非常に大きなものを持っていたと思いますし、夢に見ていたことなので残念ですが、少しずつ状況が良くなって、いつか行けることを楽しみにしています」と、来たる日の来日に意欲を見せてインタビューを締めくくりました。

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『マーティン・エデン』(原題:Martin Eden)

イタリア、ナポリの労働者地区で生まれ育った貧しい船乗りのマーティンは、ブルジョワの娘エレナに恋したことから文学の世界に目覚め、独学で作家を志すようになる。幾多の障壁と挫折を乗り越えてついに名声と富を手にするが…。果たして彼を待ち受けるのは希望か、絶望か──。

監督・脚本/ピエトロ・マルチェッロ
脚本/マルリツィオ・ブラウッチ
原作/「マーティン・イーデン」ジャック・ロンドン(白水社刊)
出演/ルカ・マリネッリ、ジェシカ・クレッシー、デニーズ・サルディスコ、ヴィンチェンツォ・ネモラート、カルロ・チェッキ
2019年/イタリア=フランス=ドイツ/イタリア語・フランス語/129分/カラー・モノクロ/ビスタ/5.1ch/字幕:岡本太郎

日本公開/2020年9月18日(金)よりシネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
配給/ミモザフィルムズ
後援/イタリア大使館、イタリア文化会館、在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
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