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2019.10.03 18:51

カトリーヌ・ドヌーヴ&ジュリエット・ビノシュ来日!是枝裕和監督『真実』ジャパンプレミア開催

  • Fan's Voice Staff

是枝裕和監督最新作『真実』の日本公開に先立ち、主演のカトリーヌ・ドヌーヴどジュリエット・ビノシュがフランスより来日。10月3日(木)に都内で開催されたジャパンプレミアに、吹替キャスト陣と共に登壇しました。

舞台挨拶開始早々、MCの呼び込みで、満席の観客からの拍手とともに迎えられたドヌーヴ、ビノシュ、是枝監督。3人からの挨拶に続き、MCとの質疑応答が行われました。

ドヌーヴ「本日はこの場に来られましたこと、この映画をご紹介できることを大変嬉しく思います。フランスで撮影された映画で、ベネチア国際映画祭の後に、初めて上映されるプレミアになります」

ビノシュ「本当にここに来られて嬉しく思っています。特にカトリーヌとは本当に強い結びつきをもって演じることができました。彼女のような母が持てて幸せでした。そして是枝さんとこうして皆さんにご紹介できるのがとても光栄に思っています。彼と映画を作ることが夢だったんですけれども、実現してここ東京に来ることができました」

是枝監督「こんな形で二人と映画を撮るなんて、夢のようなことだったんですけれども、こうやって完成して三人で舞台上に並んでいるというのが本当に信じられないです。撮影自体も、パリで本当に楽しい時間を過ごすことができて、それがこの映画に映っていると思うので、楽しんでください」

──監督から作品のオファーが来た時、どのように思われましたか?
ドヌーヴ「一番最初は、役のオファーというよりも、是枝監督にお目にかかるという機会がありました。何度か監督にお目にかかり、場所がパリだったり、カンヌだったり、東京だったり、何度か面会を重ねて、私もぜひ一緒に映画をやりたいという気持ちをわかってくださって、この役をいただきました。私の配役を考えてくださっているということがわかって、とても嬉しかったです」

──実際の撮影現場はいかがでしたか?是枝監督はどんな監督でしたか?
ドヌーヴ「最初はいろいろともどかしいこともあって、監督はフランス語を話しませんし、私も日本語ができず、監督にべったりくっついていた通訳さんを介してしかコミュニケーションをとれなかったということがあります。でも一緒に時間を過ごしていくにつれて、徐々に、見た目で察することができるようになってきました。監督の表情や視線を見ただけで、監督はいまこう感じていらっしゃるんだろうな、とすごくわかるようになりました」

──(ビノシュへ)2011年にもう是枝監督と、いつか一緒に映画を作りましょうと話していたそうですね。なぜ監督と映画を作りたかったのですか?
ビノシュ「『誰も知らない』で是枝監督を見つけたのですが、この映画での子どもたちの無邪気な描写、人生のディテールが細かく描かれている様子に、とても感動しました。実際に監督にお会いしたところ、とても物静かな沈黙の中に、既に友だちになれる友情や優しさ、鋭い観察眼が感じられました。やはり映画監督というのは、そういった耳と目のセンシビリティ、感受性というのが必要だと思いますが、是枝さんはまさにそういった資質の真髄たる方だと思います。そしてプロデューサーのマティルダさん、ミユキさん、この出会いを叶えてくれてありがとうございました」

──監督、日本を飛び出して全編フランスでの撮影はいかがでしたか?
是枝監督「10週弱という日本の倍くらいの時間をかけてゆったりと、1日8時間という日本の半分くらいの時間での撮影で、ゆっくりゆっくり同じ時間を共有しながら、映画を作っていくという。そのリズム感が日本とは違うので、最初はちょっと”もっと撮れるのに!”という時があったのですが、徐々に慣れてくると、その撮っていない時間も含めて、同じ場所と時間を共有できたということが、とてもよかったなと思います」

──国際的大女優2人との現場はいかがでしたか?
是枝監督「ベネチアの映画祭とかこういう(プレミア)に来ると、”わっ、すごいふたりと映画を撮ったんだな”と思うんですが、現場にいる時にはやはり、一人の女優さんと監督という関係なので、日本と変わらないです。どういう風にお互いに信頼関係を持って楽しく良い映画を作るかということだけを考えました」

──これまで何度も来日していらっしゃいますが、お気に入りの場所や食べ物はありますか?
ドヌーヴ「日本のものはなんでも大好きです。文化をはじめ、歴史や昔のこと、現在のこと、料理のこと、アートとかも本当にあらゆることが大好きです。30年以上前から日本には何度も足を運んでいるんですが、あいにく仕事でとんぼ返りというパターンが多くてなかなかゆっくり散策する時間がなくて、ぜひいつか映画の紹介をするとともに、十数日とって、その後散策したり探検できればと思っています」

ビノシュ「私は幸運にも河瀨直美さんの映画を日本で撮影したことがあるので、吉野の森に長い間滞在する機会がありました。でもそれ以外にも、もっと日本の例えば南の方を旅行したいといつも思っています。というのは、やはり日本文化が非常に好きで、非常に洗練されたデリケートな感覚があります。そして、日本の皆さんというのは、他者への感謝の気持ちがあります。こうした他者への感謝というのは、野蛮な西洋社会にはなかなか見受けられないものです。それからもう一つ気がついたことは、映画監督の周りの人が、映画監督に全面的に奉仕する姿勢。ああいった姿勢は、なかなかフランスではありませんよね、カトリーヌ?」

ドヌーヴ「ありません」

舞台挨拶には、日本語吹替版を担当した宮本信子(ファビエンヌ役)、宮﨑あおい(リュミール役)、佐々木みゆ(シャルロット役)も登場し、ドヌーヴ、ビノシュ、是枝監督に花束を贈呈。印象に残っているシーンなど、吹替収録を振り返りながら和やかにトークを行いました。

最後に是枝監督は、「映画の中にはいろいろな母と娘を登場させて、それが娘と母に見えたり、昔の誰かと誰かの親子関係に見えたり、いろんな見え方をするように重層的に作ったつもりでいるので、そこに注目していただけたら、より楽しく見てもらえると思います。楽しんでください」と見どころ語り、舞台挨拶は幕を下ろしました。

以下、舞台挨拶でのほか写真です。

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『真実』(原題:La Vérité)

全ての始まりは、国民的大女優が出した【真実】という名の自伝本。
出版祝いに集まった家族たちは、綴られなかった母と娘の<真実>をやがて知ることになる──。
国民的大女優ファビエンヌが自伝本【真実】を出版。アメリカで脚本家として活躍する娘のリュミール、テレビ俳優の娘婿ハンク、ふたりの娘のシャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、そして長年の秘書……お祝いと称して、集まった家族の気がかりはただ1つ。「一体彼女はなにを綴ったのか?」
そしてこの自伝は、次第に母と娘の間に隠された、愛憎渦巻く「真実」をも露わにしていき──。

監督・脚本・編集/是枝裕和 
出演/カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、リュディヴィーヌ・サニエ
撮影/エリック・ゴーティエ

日本公開/2019年10月11日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
配給/ギャガ
公式サイト
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