『ジョジョ・ラビット』トロント国際映画祭でワールドプレミア!タイカ・ワイティティ監督が熱く語る
- Fan's Voice Staff
タイカ・ワイティティ監督最新作『ジョジョ・ラビット』が、カナダ現地時間9月8日(日)に第44回トロント国際映画祭でワールドプレミアされ、スカーレット・ヨハンソン、サム・ロックウェルら豪華キャストが大集合!初お披露目された本作について、タイカ・ワイティティ監督が熱く語りました。
『マイティ・ソー バトルロイヤル』のワイティティ監督が、4度アカデミー賞作品賞に輝き、創立25周年を迎えるFOXサーチライト・ピクチャーズの元、世界を代表する豪華キャスト陣と共に、第二次世界大戦下のドイツを舞台とした壮大なヒューマン・エンターテイメントを描き出すということから、世界中で熱い注目を集めている本作。トロント国際映画祭にて待望の世界初お披露目が行われるということで、プレミア当日のレッドカーペットには大勢のマスコミ陣、熱狂的な映画ファンたちが集結。
観客から「タイカ!タイカ!」とタイカコールが巻き起こるなか、監督・脚本を務めるだけでなく、アドルフ・ヒトラー役を自ら演じたタイカ・ワイティティを筆頭に、主人公のジョジョ役のローマン・グリフィン・デイビス、ユダヤの少女エルサ役のトーマシン・マッケンジー、ジョジョの母ロージー役のスカーレット・ヨハンソン、ヒトラーユーゲントの教官役のサム・ロックウェル、ロックウェル演じる教官に従う次官役のアルフィー・アレン、ナチスの秘密警官ティエルツ大尉役のスティーヴン・マーチャントらがレッドカーペットに登場!
会場は最高潮の熱気に包まれ、キャスト陣はファンからのサインや写真撮影の要望に、丁寧に応じながら交流を楽しんでいました。
その後マスコミ陣の前で、ワイティティ監督や各キャストがコメント。
タイカ・ワイティティ監督「第二次世界大戦の時代が舞台となっていて、シリアス要素もある作品だ。僕らは物語を語り続け、お互いに心に留めておかなければならない。過去に何が起きて、将来何を起こしてはならないのかということをね。それを語るために、過激さとコメディ要素を入れてチェンジアップして描いてみたんだ。そのひとつとして、アドルフを親しみやすいキャラクターとして演じることができたのは嬉しかったよ。そして、ジョジョを演じたローマンはとても繊細で素晴らしい役者だった」と本作に込めた想いを熱く語りながら、主人公に抜擢した子役のローマンについても絶賛のコメントを寄せました。
ローマン・グリフィン・デイビス「この作品に出演することができて本当にハッピーだよ!タイカはたくさんのことを僕に教えてくれたし、彼のエネルギッシュさや脚本の面白さ、演出の付け方は、とても興味深かった。それに彼はユーモラスで、クレバーなんだ。この映画は想像力に溢れていて、ユニークで、コメディタッチなところもあれば、シリアスで悲しい部分もある。戦争の新しい部分を見せている作品だよ」
トーマシン・マッケンジー「この物語は重要なものとして今後語り継いでいかないといけないと思う。この映画はとても興味深います。歴史の一部が、誰もが想像していない方向にユニークに描かれていきます。ローマンとの撮影はとても楽しくて、素晴らしかった!10歳の男の子なのに、彼の演技は驚きの連続だった。大人びていて、感情が豊かでした」
スカーレット・ヨハンソン「脚本を読んで感激しました。ユニークな見方をしていて、想像と全く違う物語になっていたことに驚きました。この映画は、心に響き、人間性に溢れた作品に仕上がってる。誰もが作れる映画じゃありません。タイカ自身が繊細であり、情熱的な人間だから作れた。そして彼はユーモアで人々を引き寄せて、一体にさせる力があると思います。驚くほど賢い人。観客のみんながこの映画を楽しんでくれることを祈ります」
サム・ロックウェル「独創的なアイディアで、とてもユニークな作品だ。面白くて美しい。物語を語るのに完璧で、天才的な方法だよ。監督のタイカは特別だと思うよ。脚本を書けて、監督もできて、演じることもできるからね」
アルフィー・アレン「タイカ・ワイティティは天才!僕にとってこの映画はこれまでにない新鮮で素晴らしい体験でした。映画のなかには子どもたちの兵士が登場するよね。手榴弾の投げ方を教えたり……今思えば信じられないけど、本当にあったことだ。そんな時代でジョジョは父親という存在を知らなかった。そうしてタイカが演じている空想のアドルフとともにいつも共にいる。この映画は面白い作品でもあるけど、同時に心に響く作品としても仕上がっているよ」
スティーヴン・マーチャント「監督はたくさんの戦争映画を観たって言っていた。特にチャールズ(・チャップリン)の作品をね。監督はチャールズのような不思議で純真なヒトラーを男の子の頭の中で演じているんだ。この映画では大人によってドイツの信念を植え付けられた男の子が沢山の事に気付いて成長していく様子が描かれている。とても美しいし、勇気があって、面白くて、エモーショナルなストーリーだよ」
上映会場となったのは、約2,000席ものキャパを持つPrincess of Walesシアター。チケットは事前に話題を聞きつけた映画ファンと海外メディアによって、あっという間に完売し、本作の注目度の高さを証明する結果に。
上映が終了し、キャスト・スタッフ陣がステージに登壇すると、客席からは万雷の拍手と約2分間にわたるスタンディング・オベーションが送られました。スカーレットはサムと喜びのハグを交わし、ワイティティ監督は主役を演じた子役のローマンをアピールし、自らに向けられた拍手にローマンも照れた様子を見せるなど、キャスト陣の仲の良さを伺わせました。
和やかな空気のなかスタートした舞台挨拶では、ワイティティ監督が「ある日母親が、” Caging Skies”という小説の物語を教えてくれたんだけど、とても面白くて映画のアイデアとしてピッタリだと思った。実際に本を読むと素晴らしい物語だった。母親の説明とは全く違っていたんだけど(笑)。だからこの映画は僕にとって母親へのラブレターでもある。僕はジョジョと同じようにシングルマザーに育てられた。映画に登場する主人公ジョジョの母親のロージー(スカーレット・ヨハンソン)は僕にとって、そして映画にとってとても重要なキャラクターだし、映画の中で唯一地に足の着いたキャラクターだよ」と得意の冗談を絡めながら、自身の母への想いと、スカーレットが演じたロージーというキャラクターについて言及。
ワイティティ監督が演じた空想上のアドルフというキャラクターは、ジョジョが生み出した“父親代わり”という意味もあるようで、「僕はいつも父親とはどういうものかを想像して、自分の人生にも父親の存在を探していた。ナチス時代に育った少年ジョジョであっても、きっと僕と変わらない思いを持っていると思ったんだ」と明かしました。
キャスト陣の賑やかな舞台挨拶が続き、最後にワイティティ監督が「毎日、毎週、何気なく気が付く小さな間違いを、大したことではないと見過ごしていると、気がついた時には既に手遅れになり恐ろしい結果を招く。大したことではないからと見過ごし、小さいから、少数派の言っている事だからと放置していると、過去の世界大戦の大惨事のような事が、全く同じように起こり、取り返しのつかない過ちが起こってしまう。無知をそのままにして、忘れてしまう傲慢さこそ、人間の罪で過ちなんだ。この出来事を決して忘れないために、何度も何度も、語り継ぐ事がとても大切だし、私たちがどのように成長し、愛情を持って力を合わせて進んでいくのか、どのような未来を作り上げるのか、同じ物語を様々な手段で自分たちそして次の世代に語り継ぐ事が私たちの役割だし大切な事だと考えている」と、本作に込めたメッセージを話すと、会場からは、「ブラボー!」という掛け声とともに再びスタンディング・オベーションが巻き起こり、称賛の拍手が巻き起こりました。
トロント映画祭の「観客賞」(ピープルズ・チョイス・アワード)は、上映作品を鑑賞した一般の観客の投票によって決められ、アカデミー賞作品賞に直結する賞として毎年注目を集めています。過去の受賞作には『グリーンブック』(18年)や『スリー・ビルボード』(17年)といった、各年の賞レースを席巻した名作たちが名を連ねており、今回のワールドプレミア上映で大喝采&高評価を浴びた本作の受賞と、今後の賞レースにおいての健闘にも期待が高まります。トロント映画祭の受賞結果は現地時間9月15日(日)に発表されます。
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『ジョジョ・ラビット』(原題:Jojo Rabbit)
監督・脚本/タイカ・ワイティティ
キャスト/ローマン・グリフィン・デイビス、タイカ・ワイティティ、スカーレット・ヨハンソン、トーマシン・マッケンジー、サム・ロックウェル、レベル・ウィルソン、ほか
全米公開/10月18日
日本公開/2020年1月より全国公開!
配給/20世紀フォックス映画
© 2019 Twentieth Century Fox