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2019.03.05 13:00

アカデミー賞受賞記念『グリーンブック』ピーター・ファレリー監督来日記者会見

  • Fan's Voice Staff

2月25日(日)に開催された第91回アカデミー賞で作品賞を始め、助演男優賞と脚本賞の3部門で受賞を果たした『グリーンブック』。アカデミー賞受賞記念として、来日中のピーター・ファレリー監督の緊急会見が、3月5日(火)都内で開催されました。

 

 

『グリーンブック』は、1962年に、人種差別の激しいアメリカ南部へ演奏ツアーにでかけた黒人天才ピアニストのドン・シャーリーとイタリア系用心棒のトニー・リップとの友情を描いたロード・ムービー。3月1日(金)に日本公開が始まり、4日間で28万人を動員、3.4億円の興行収入を上げ、ヒット街道を爆進中です。

 

都内の会見会場に登場した監督は、「(日本語で)ありがとう。この作品に取り掛かった時は、このように日本にやってくることになるとは想像しておらず、信じられない栄誉です。ありがとうございます」と挨拶。

 

今回初来日となった監督。昨日の夜は「青山牛彩」で鉄板焼きを楽しんだそうで、「人生最高の食事だった」とのこと。新宿の花園神社にも訪れ、「建てられたばかりのように見えた」と話し、短い滞在ながら日本を満喫しているよう。

 

──この映画を作ったことにより、周囲に変化はありましたか?

「業界の人はみんな親切でしたが、さらに親切にしていただけるようになりました。今まで私の作品とは確かに違ったタイプの作品となりましたが、コメディも大好きですし、今後はこうした作品とコメディをミックスしてみたいと思います。『グリーンブック』は今までとは違ったタイプの作品を作りたいと思って作ったわけではなく、たまたま聞いたこの物語に惚れ込んで、やりたいと思ったわけです。今後も自分の心に従っていきたく思っていますし、これまでと違った作品になるものもあれば、そうならないものもあるでしょう」

 

──アカデミー賞作品賞を受賞により物議を醸していますが、そのような報道をどのように受け止めているのでしょうか?

「(トロント映画祭で『グリーンブック』を観たという記者に対し)トロント映画祭での上映は、史上最高の上映でした。『グリーンブック』は、その日に生まれたと言ってもいいでしょう。この映画がこれほどいい作品だとは、それまで我々自身もわかっていなかったのです。作品賞は別の作品が獲るべきだったというような物議についてですが、どの作品が受賞するか、私がコントロールできることではありません。アカデミー会員が決めることです。なので、そうした物議については、それほど気にしていません。ですが、『グリーンブック』が作品賞を受賞したことに驚いた人がいたということに、私は少々驚きました。本作はトロント映画祭で観客賞を獲得し、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞も獲得し、ゴールデン・グローブ賞も受賞し、全米製作者組合賞(PGA)も受賞しています。アカデミー賞を受賞することはそんなに驚くことではないと思います。でも、もし他の作品が受賞しても私は同じくらい喜んでいたでしょう」

 

──60年代当時あった差別を、『グリーンブック』では比較的ソフトにまとめたのではという意見がありますが。

「確かに当時の差別ではもっとひどい事が行われていました。実際に人が殺されたりもしていましたから。ですが、今回の主人公二人に対してそうしかことは行われておらず、映画では実際にあったことを描いただけです。銃で撃たれたり、犬に足を噛まれたり、消防ホースで散水されたりといった描写を加え、表現を誇張するようなことはしたくありませんでした。彼らにこうしたことは起きなかったのですから。しかしながら、道中でひどい目にはあい、暴力を受けたり、逮捕されたり、行く先々で差別や偏見に直面していました。映画での描写が当時の南部で実際にあった差別ほど酷い表現になっていないという批判は認識していますが、ふたりにとっては、映画で描かれているような状況だったのです」

 

ここで、先日開催された日本アカデミー賞で話題賞と新人賞を受賞した俳優の伊藤健太郎さんも登壇。「本当に『グリーンブック』が大好き」だという伊藤さんは、ひと目ファレリー監督に会いたく駆けつけたとのこと。

 

 

伊藤さんからも、監督に質問が投げかけられました。

 

──主人公二人が乗った車、キャデラックだと思いますが、候補はいろいろとあったのですか。

「いいえ。彼らが実際に二人が旅で乗った車があの型のものでしたので、それを使いました。実際の車は色がブラックでしたが、映画の色調がモノクロ中心だったで、あまり白黒ばかりだと疲弊してしまうので、色味を足したく、車だけはグリーンっぽい色にしました」

 

──コメディを撮る上で気をつけていることはありますか。

「ジョーク(ネタ)から考え始めることはしません。キャラクターを考え、愛されるキャラクターを作るのです。人殺しですらジョークで切り抜けられるくらいにね。キャラクターが愛されていれば、さらに突っ込んだユーモアを描けるようになります。例えば、『メリーに首ったけ』のヘアジェルのシーン。キャラクター二人が愛されていなければ、このシーンは描けません。私らが初めに行うのは、自分たちが好きなキャラクターを作り、ジョークはその後に来ます」

 

 

MCからもっと質問をどうぞと薦められ、困った様子の伊藤さん。とっさに聞いた次の質問は…

 

──好きな食べ物は?

「トリッパ。アーリオ・オーリオ風味のトリッパが好きです。でもどんな料理も好きで、昨晩は人生最高の食事をいただきました。あれ以上のステーキには一生出会えないと思います」

 

今度は監督が「伊藤さんに質問してもいいですか」と切り出します。伊藤さんに向けて監督は「あなたはあっという間にスーパースターになったわけですが、どのようなお気持ちですか?私があなたの歳の頃は、クラブの清掃員として働いていました。あなたはアカデミー賞を受賞されたわけですよね。素晴らしいですね」と尋ねます。

 

 

それに対し、照れながらも困った様子の伊藤さんは、「自分でもびっくりしています。まだ追いついていないですね」と回答。さらに伊藤さんは監督に「海外で活躍するのに俳優として重要なことは?」と尋ね、監督からは「どこへ行ってもあなたは成功すると思いますが、まずはそこへ行かないと。いつかあなたと一緒に仕事ができるといいですね」と、伊藤さんに応援のコメントを贈りました。

 

記者会見も終盤に差し掛かり、フォトセッションの前には、伊藤さんから監督に、特製の法被がプレゼントされました。背中部分には監督の名前入り!

 

 

そして、『グリーンブック』の日本でのさらなる大ヒットを祈願して、鏡割りを行うことに。

 

「グリーンブック」「大ヒット」の掛け声で監督と伊藤さんが木槌を振り下ろしてみたら、まさかの”鏡割れず”。相手がなかなか手強いよう。

 

 

急いでもう一度行い、今度は無事成功しました!

 

 

終わりに監督は、「みなさん今日はありがとうございます。この映画を気に入っていただけたことは、本当に嬉しく光栄に思います。ギャガと依田会長にも御礼を申し上げたく思います。今回初めての日本でしたが、本当に良いところで、またすぐ来たいと思います。この映画は希望のある映画ですので、この映画を観て”希望”を感じてもらいたく思います。世界中でいろいろなことが起きている時代で、アメリカでは人種の問題もあるわけですが、お互いが話し合うことが希望となり、本当の意味での平和がいつの日か訪れると思います。よくある単純な話と思われるかも知れませんが、話し合い無しには、どこへも進むことはできないのです」とメッセージを投げかけ、会見は終了しました。

 

 

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『グリーンブック』(原題:Green Book)

1962年、差別が残る南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニスト、ドン・シャーリーは、粗野で無教養のイタリア系、トニー・リップを用心棒兼運転手として雇うことに。黒人用旅行ガイド〈グリーンブック〉を頼りに正反対のふたりは旅を始めるのだが…。

 

監督/ピーター・ファレリー
出演/ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリーニ
2018年/アメリカ/130分/字幕翻訳:戸田奈津子

 

日本公開/2019年3月1日(金)TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー
提供:ギャガ、カルチャア・パブリッシャーズ
配給:GAGA
公式サイト
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