『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』4大怪獣が東京コミコンでお披露目!監督が最強の「モンスター・オペラ」構想を明かす
- Takashi Fujii
12月1日(土)、千葉県・幕張メッセの「東京コミコン2018」にて『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』スペシャルステージが開催され、マイケル・ドハティ監督が登壇しました。
トークのお相手は、フジテレビの笠井信輔アナウンサー。『ゴジラ』シリーズにリポーター役や、逃げ惑う人として出演しているほどのゴジラ好きとしても知られており、今回のトークショーでもマニアックな話を監督に展開。会場に詰めかけたファンを盛り上げました。
『ゴジラ キング・オブ・モンスター』は、2014年に公開され大ヒットしたハリウッド版『GODXILLA ゴジラ』の続編。前作のギャレス・エドワーズ監督から引き継いでメガホンをとるのは、マイケル・ドハティ。『X-MEN2』(03年)や『スーパーマン リターンズ』(06年)の脚本で知られるドハティですが、子供を頃からのゴジラに対する熱い想いの結晶ともいえる新作について語ってくれました。
「ゴジラ」映画を作る子どもの頃の夢を叶えた
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のオファーが来た時には、「YES」と即答したマイケル・ドハティ監督。「小さな頃から「ゴジラ」映画を作ることは夢だったので、それが大きなおもちゃを使って自分の「ゴジラ」映画を作ることが出来たのは、自分の夢が叶った思いだ」と語りました。
ドハティ監督と「ゴジラ」映画の出会いは、幼少の頃。「3〜4歳くらいにケーブルテレビで毎週土曜朝に放送されていたハンナ・バーベラ版のアニメーション『Godzilla』の後に必ず1作、日本の「ゴジラ」映画が放映されており、この枠で第1作『ゴジラ』(54年)に出会った」とのこと。
第1作の『ゴジラ』は、ゴジラに襲われる恐怖も描いているモノクロ作品なので、小さな子どもには怖いと感じるかも知れませんが、ドハティ監督はすぐにゴジラを大好きになり、大親友になったと言います。最も好きなゴジラ映画も、1954年版の『ゴジラ』ということで、原点である初代ゴジラへの大きなリスペクトを感じました。
本作は、1954年の第1作目『ゴジラ』から65周年を迎える2019年5月31日に世界同時公開が決定しています。
美しさと畏怖をかきたてる「モンスター・オペラ」
ここで、すでに公開されている本作の予告編をスクリーンに上映。「今すぐ続きを見せてくれ!」と笠井アナウンサーは監督に叫び、場内のファンの声を代弁します。
この予告編で、ドビュッシーの「月の光」が使われていることを笠井アナが指摘すると、マイケル・ドハティ監督は「予告編の音楽は本編の雰囲気をしっかり捉えている」と明かした上で、「『スター・ウォーズ』がスペース・オペラであるように、本作は「モンスター・オペラ」と呼んでいる」とのこと。
「怪獣は美しい」という監督が、美しさと畏怖、人類と自然、人類とゴジラや他の怪獣との関係性をエモーショナルに深く掘り下げたいというのがそもそものコンセプトだとか。
伊福部昭作曲のゴジラとモスラのテーマを使用!
本作へ込められた日本の怪獣へのリスペクトについては、「ゴジラは世界一番のスターであり、リスペクトを払うべき対象である」と考える監督らしく、伊福部昭が作曲した「ゴジラのテーマ」と「モスラの歌(テーマ)」が本作に登場することが明かされました。ハリウッド作品でこれらのメロディを聴けるとは…どのように使用されるのか、楽しみなところです。
前作から引き続き芹沢猪四郎博士役で出演する渡辺謙については、「この作品をレベルアップさせ、品格をもたらしてくれた」と言います。中でも、渡辺謙がこだわっていたのは、日本語風に「ゴジラ」を発音することだったとのこと。
本作においては、「ゴジラ」(日本語の発音)が生物学的な正式名称、「Godzilla」(英語の発音)はニックネームという設定で、双方の発音が登場することが明らかに。これはモスラや他の怪獣も同様であるそうです。
4大怪獣のビジュアルが解禁!背びれは1954版を参照
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』についてファンが関心を寄せるのは、やはりおなじみの怪獣たちがどのような姿で登場するのか。
まず、ゴジラについてはギャレス・エドワーズ監督による前作『GODZILLA ゴジラ』(14年)の続編ということもあり、前作のゴジラの造形を気に入っていたため踏襲することを決めていたのですが、「ゴジラの背びれは王冠のような存在なので、大きく、美しくなければならない」と考え、背びれを1954年版の初代ゴジラのものにして、足は大きめにしたことが明かされました。
ステージ上の新ゴジラのフィギュアには、「僕が解釈したゴジラが初めて形になったものなので、最高にうれしいし、持って帰りたい」とご満悦の監督。
続いて、モスラのコンセプトアートが解禁。従来のモスラのシルエットでありながら、体はハチやカマキリを連想させる鋭いものになっており、蛾を巨大にしただけではない怪しさのあるアレンジになっています。
「モスラは女神」と考える監督は、実際の蛾、そして過去作のモスラを研究した上で美しさとともに、他の怪獣と渡り合える猛々しさを持ち合わせている造形を目指したとのこと。左右の羽にある模様は、本作ではゴジラの目をイメージしており、ゴジラとなんらかのつながりを持たせたものになっています。モスラの幼虫も登場するそうで、こちらの造形にも期待しましょう!ちなみに、終始モスラを「彼女(her)」と呼んでいるあたりも、怪獣オタクぶりを感じさせますね。
続いて、ラドンの初期の段階のデザイン画が公開。灼熱の火山から飛び立つ姿は、プテラノドンというより、猛禽類のような体と、ドラゴンのような頭部を持ち合わせたような印象。本作でラドンは、火山の中で冬眠しているところを発見されるという設定。火山の中で生きてきたので、皮膚は赤く、熱に耐え得るものになっています。
さらに、キングギドラとゴジラが戦うストーリーボードが公開。
本作のキングギドラは、三つの頭が三兄弟のようにそれぞれ異なる個性を持つ設定で、中央がリーダー格、左右が弟分のような存在にしたことが明らかに。さらに、三つの頭は三人の俳優の演技からパフォーマンスキャプチャーを使って表現。
キングギドラの鳴き声は、オリジナル版の音源にヘビ、トカゲ、クモといった実際の動物の声をミックスしたものになっており、オリジナル版の鳴き声を想起させつつ、よりリアルなものに。
「シェアード・ユニバース」を最初に始めたのは東宝!
ここで会場では、来週公開予定の最新予告編の一部がお披露目されました。
大ヒットTVドラマ『ストレンジャー・シングス』などで知られるミリー・ボビー・ブラウン演じる少女が、通信機で助けを求めるシーンを中心に、随所に怪獣の存在を感じさせる様々なカットが挿入された思わせぶりな映像に、笠井アナは「なんという出し惜しみ!」と、これまた会場のファンを代弁。
今回明かされなかった部分も含め、次は出し惜しみしていないのか、気になるところです。
最後に、ゴジラ、モスラ、ラドン、キングギドラが、『三大怪獣 地球最大の決戦』(64年)と同じ登場怪獣であるという点に笠井アナが言及すると、東宝怪獣映画の至宝がこの4怪獣であるという考えから本作に登場させたということ。
「『三大怪獣 地球最大の決戦』だけではなく、本作には視覚、聴覚ともに楽しめる様々な作品へ捧げたオマージュが込められており、これは2〜3回映画館に行かないとわからないほど」とのこと。これはスクリーンの隅々を見なければなりませんね!
「東京コミコン2018」の会場には、マーベル・シネマティック・ユニバースやDCエクステンデッド・ユニバースといった、同一世界観で複数の作品を展開するシリーズが所狭しと並んでいますが、「映画界において、最初にシェアード・ユニバースを作ったのは東宝ユニバースだ」とドハディ監督は明言し、日本の怪獣オタクの心を鷲掴みにしました。
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、ハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』(14年)、『キングコング:髑髏島の巨神』(17年)と同一の世界観のユニバース「モンスターバース」シリーズの第3作目となります。すでに第4作として『ゴジラvs.コング(原題)』が2020年に公開されることが決定しており、先日には小栗旬の出演も発表され、話題となっています。
トークショー終了後、「自分のものだ!」といわんばかりに、ゴジラのフィギュアを抱えていそいそとステージから走り去っていったドハティ監督。その発言はゴジラ愛を感じさせるものでしたし、おもちゃを抱える姿はコミコンに集ったファンそのものなので、非常に信頼出来るものがあります。前作も含めたこれまでのゴジラを踏まえ、「モンスターバース」が本格始動する新たな怪獣映画を作ってくれそうな期待を感じます。
2メートルのゴジラ立像&フィギュア解禁!
場所をブースへと移動し、ドハディ監督立会いの元、高さ2メートルの『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』版ゴジラ立像除幕式が開催されました。
「3、2、1、ゴジラ!」の掛け声で、これまでベールに包まれていたブースが現れると、雄叫びを上げているゴジラの威容が出現!迫力のある造形で、大型の立像ということもありトークショーで話されていた初代ゴジラの背びれ、大きな足という特徴もより実感出来ます。
その隣では、S.H.MonsterArtsによる『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の怪獣たちのフィギュアも披露!ステージイベントでは、コンセプトアートが披露されたのみであったゴジラ以外の怪獣も、より本編に近い立体での姿が解禁されたことから、ブースを囲む大勢のファンから大きな歓声が上がりました。
キングギドラは広げたその翼が大きなものになっており、ドラゴンのようなフォルムに。ドハティ監督は、キングギドラの金色の表現にこだわったこと、また3つの頭の性格が異なるため、3つの頭の顔も少しずつ違うとその場で解説。
監督が「怪獣の女王」と呼ぶモスラは、先ほどのコンセプトアートに近い印象。女王と呼ぶだけあって、やはりハチやアリのような女王を持つ昆虫を想起させるボディ。ただ、頭部は地球上の生物にはないような形状で、従来のモスラよりも異生物感がアップ。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の怪獣たちの中で、もっともアレンジが加えられていると感じます。
ラドンは、立体で見ることでよりシャープになったことがわかります。火山に棲んでいたことが由来なのか、体色に赤みを増しており『ゴジラvsメカゴジラ』(93年)のファイヤーラドンのような印象も。
いずれの怪獣も、各怪獣のオリジナルが認識・想起出来るアレンジになっており、ハリウッド版になるとありがちな「これは〇〇じゃない」という声が上がりにくいものになっていると感じ、ゴジラが生まれた日本で解禁するのも伊達ではないと思いました。早く動いているところが見たいですね!
フィギュアを見て「映画作りをしたいと思ったのが、ゴジラなどのおもちゃで遊んだ経験からなので、自分の作品を見た若い世代が、映画を作ってみたいと思ってもらえたらうれしい」と話すドハディ監督。
怪獣のおもちゃで遊んでいたら、怪獣の映画を作ることになり、その映画がまたおもちゃになったという、ゴジラ、そして怪獣という日本が生み出した文化が、こうして夢を紡いで継承していく様を、目の前で見られた気がします。
除幕式後、このブースでは、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』オリジナルポスターが1日限定先着3000名にプレゼントされていました。
映画の最新情報や映像が初解禁され、限定ポスターがプレゼントされるなど、第3回となった東京コミコンも、本場のコミコンのような製作者とファンとをつなぎ、最新のプレミアムなものに触れられる場になってきたと実感しました。
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『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(英題:Godzilla: King of the Monsters)
『GODZILLA ゴジラ』から5年後の世界を舞台に、復活した神話時代のモスラ、ラドン、キングギドラらの怪獣たちとゴジラの戦い、それによって引き起こされる世界の破滅を阻止しようとする特務機関・モナークの活躍を描く。
監督/マイケル・ドハティ
脚本/マイケル・ドハティ、ザック・シールズ
エグゼクティブ・プロデューサー/ベリー・H・ウォルドマン、ザック・シールズ、坂野義光、奥平謙二
プロデューサー/メアリー・ペアレント、アレックス・ガルシア、ブライアン・ロジャース、トーマス・タル
共同プロデューサー/アレクサンドラ・メンデス
キャスト/カイル・チャンドラー、ヴェラ・ファーミガ、ミリー・ボビー・ブラウン、サリー・ホーキンス、渡辺謙、チャン・ツィイー、他
製作/レジェンダリーピクチャーズ、ワーナーブラザース
公開/2019年5月31日(金)世界同時公開!
配給/東宝
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