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2024.02.28 7:00

黒沢清監督『蛇の道』6月14日公開決定!

  • Fan's Voice Staff

1998年に公開された傑作サスペンスを、黒沢清監督がオールフランスロケによりセルフリメイクした日仏共同製作映画『蛇の道』が6月14日(金)に公開されることが決定しました。

黒沢監督初の試みとなるセルフリメイク作品として、26年の時と国境を越え、完全版“リベンジサスペンス”として蘇る本作。フランスの映画制作会社CINEFRANCE STUDIOS(シネフランス・スタジオ)とKADOKAWAが共同製作を手掛け、「僕のこれまでのキャリアの中で最高傑作ができたかもしれない」と監督自身が語る、真骨頂ともいえる作品が完成。

主人公の精神科医・新島小夜子役を演じるのは、『Dr.コトー診療所』(22年)、『君たちはどう生きるか』『ミステリと言う勿れ』(23年)など話題作に立て続けに出演し、アーティストとしても昨年12月に全国ツアー「柴咲コウ CONCERT TOUR 2023 ACTOR’S THE BEST」を開催するなど、多彩に活躍を続ける柴咲コウ。他人の復讐に協力する謎に包まれた精神科医という難しい役どころを見事に演じきりました。

殺された娘の復讐に燃える男・アルベール役を演じるのは、主演作『レ・ミゼラブル』(19年、ラジ・リ監督)が第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で審査員賞を受賞し、セザール賞主演男優賞にノミネートされたフランスのダミアン・ボナール。

撮影は2023年4月〜5月にかけてパリおよび近郊で敢行され、全編フランスロケ、フランス語の撮影に、柴崎は約半年前から仏語のレッスンを受けて臨みました。

以下、コメントが到着しています。

黒沢清(監督)
26年前にオリジナル・ビデオ作品として脚本家高橋洋に書いてもらった脚本は、徹底的に復讐していく物語なのですが、これが非常によくできていて、チャンスがあればもう一度映画化したいとずっと願っていました。それがひょんなきっかけでフランス映画としてリメイクできたことは幸運という他ありません。
そして、それ以上の幸運は何と言っても柴咲コウさんの参加でしょう。本当に素晴らしい女優でした。彼女の鋭く妖しい眼差しと、野獣のような身のこなしが、この映画をオリジナル版にもましてミステリアスで深みのある作品に格上げしてくれました。

柴咲コウ(主演・新島小夜子 役)
──オファーがきた時の心境
なぜ私なのだろう?フランス語も話せないのに?と思いましたし、そのことは黒沢清監督とプロデューサーにお会いした際にお伝えしました。しかし、単純に黒沢清監督とお仕事したかったこと、それにプラスしてフランスや仏語に魅力を感じ、ずっと深く触れたかったという個人的な理由も絡み、前のめりでお引き受け致しました。
──フランスでの撮影を振り返り、感動したことや苦労したこと
フランス人スタッフ皆さんの黒沢清監督へのリスペクトが、現場の空気感や集中力に表れているなと思いました。
私自身はとにかく夢中で撮影のみに専念していました。苦労をあげればキリがありませんが、「楽しく毎日撮影する」という目標は達成できました。録音部・フランソワからダメ出しされないときには「よしっ!」とガッツポーズしてました笑
──フランス語・フランスでのロケ、どのように準備したか
撮影の半年ほど前から仏語レッスンを日本で受けました。当然台詞中心ですが、あまりに基礎的なところは飛ばすとどうにも応用が利きませんから、基礎的なところも含めつつ進行してもらいました。監督からは発音に関してはそんなに完璧は求めていないと事前に言われましたが、観客の方が聴いて違和感のないように、と撮影中も改善を努めました。
2ヶ月強の滞在中はキッチン付きのアパートを要望しました。自分で食べるものの用意ができたのと、まるで役そのもののようにフランスで生活している人として街に溶け込めた気がしたのは良かったです。
──本作はどのような作品となったか
外国語でお芝居をすることの難しさ、そしてそれを上回る楽しさを教えてくださいました。

ダミアン・ボナール(アルベール 役)
黒沢清監督の次回作に参加させていただけることを大変光栄に思い、また、彼が私にアルベール役を任せてくださったことにとても感動しました。この作品をご一緒できたことは私にとって非常に豊かな経験となりました。柴咲コウさんと一緒にこの冒険を経験できたこと、彼女と一緒に1000もの顔を持つこの探求に飛び込むことができたことは大きな喜びでした。復讐、痛み、狂気、幽霊、消失、祟りが入り混じる迷宮のような世界。この映画が日本で上映されるのが待ちきれませんし、皆さんと共有できるのをとても楽しみにしています。

プロデューサー
──映画化の経緯について
最初のきっかけは、CINEFRANCEと本作品が始まる前から何か一緒にできないかと話していたことでしたが、それとは別に黒沢監督とお話する機会があり、監督が『蛇の道』を再度映画化したいと考えており、更にはフランスで再び映画を撮りたいと思っていたことを知りました。それを仏側に伝えたところ「是非、黒沢監督に『蛇の道』をフランスで再映画化の提案をしよう」ということになり、お受け頂いたのが企画の始まりです。実際の現場は本当に素晴らしく、大げさにいえば毎日ちょっとした奇跡をみているような感覚にとらわれました。監督への尊敬と今日これから始まる撮影への期待が現場全体にあふれており、全てのスタッフとキャストがこの作品に関わっていることに誇りと喜びを感じていました。
──キャスティングについて
小夜子については、パリ在住の心療内科医という役どころに加え、何といっても全編フランスにおいてフランス語での演技が求められましたが、フランス語が話せるかということより、この難易度の高い役に時間と労力をかけてチャレンジしてくれる方にお願いしたいと思っていたところ、柴咲さんからかなり早い段階でご返事を頂き、ご一緒させて頂くことになりました。柴咲さんが撮影前の脚本の読み合わせ時にすでにかなりのレベルまでフランス語のセリフを練習してきており、初めてフランス語のセリフを言った時にフランスのスタッフから「柴咲さんのフランス語は思った以上にいいね」と言われたことを覚えています。

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『蛇の道』

何者かによって8歳の愛娘を殺された父、アルベール・バシュレ(ダミアン・ボナール)。偶然出会った精神科医の新島小夜子(柴咲コウ)の協力を得て、犯人を突き止め復讐することを生きがいに、殺意を燃やす。“誰に、なぜ、娘は殺されたのか”。とある財団の関係者たちを2人で拉致していく中で、次第に明らかになっていく真相。“必ずこの手で犯人に報いを——”。その先に待っているのは、人の道か、蛇の道か。

監督・脚本:黒沢清
出演:柴咲コウ、ダミアン・ボナール 
原案:『蛇の道』(1998年大映作品)
製作:CINEFRANCE STUDIOS、KADOKAWA
フランス、日本、ベルギー、ルクセンブルク/フランス語

日本公開:2024年6月14日(金)全国劇場公開
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