第79回ベネチア国際映画祭(2022年)公式ラインナップが発表!
- Atsuko Tatsuta
第79回ベネチア国際映画祭(8月31日〜9月10日)の公式ラインナップが、現地時間7月26日(火)に開催された記者会見にて発表されました。
秋から本格化する賞レースの起点として注目されるベネチアですが、今年もアカデミー賞にまで絡むであろうパワフルな作品が勢揃いしました。
オープニング作品は、ノア・バームバックのNetflix映画『White Noise』。現代アメリカ文学の巨人ドン・デリーロの名著を映画化したブラックなコメディホラー。キャストにはアダム・ドライバー、グレタ・ガーウィグといったバームバックの常連が顔を揃えています。
カンヌよりも母国イタリアの映画祭を常に選択しているルカ・グァダニーノ監督は、『君の名前で僕を呼んで』(17年)のティモシー・シャラメと再びタッグを組んだホラー『Bones and All』で初のコンペ入りを果たしました。
ベネチアで受賞歴のある常連組では、ダーレン・アロノフスキー、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥらもコンペに参戦。
『レスラー』(08年)で第65回の金獅子賞を受賞したダーレン・アロノフスキーは、ナタリー・ポートマン主演の『ブラック・スワン』(10年)が第67回のオープニングを飾り、ミラ・クニスがマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞するなど、ベネチアには縁が深い監督。2017年の『マザー!』以来となる新作『The Whale』は、サミュエル・D・ハンターの戯曲の映画化で、娘との絆を取り戻そうとする巨漢の父親の物語。270kgの主人公を『ハムナプトラ』シリーズのブレンダン・フレイザーが演じています。
第71回のオープニング作品を飾った『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(14年)が第87回アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの新作『Bardo, falsa crónica de unas cuantas verdades』は、約20年ぶりに母国メキシコで全編を撮影。ジャーナリストが故郷メキシコに戻り、母国や家族を見つめるノスタルジックなドラマと言われており、アルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』に匹敵する作品になるかもしれません。
『ジェシー・ジェームズの暗殺』(07年)が第64回のコンペに選出され、主演のブラッド・ピットが男優賞を受賞したアンドリュー・ドミニクの新作『Blond』は、アナ・デ・アルマスを主演に迎えたマリリン・モンローの伝記映画。
『イン・ザ・ベッドルーム』などで知られるトッド・フィールド監督の『TÁR』は、ドイツの女性指揮者リディア・タールをテーマにした作品。ケイト・ブランシェットがタイトルロールを演じています。
第93回アカデミー賞で作品賞を含む6部門にノミネートされ、アンソニー・ホプキンスが主演男優賞を受賞した『ファーザー』で注目されたフランスの劇作家フロリアン・ゼレール監督の『The Son』は、前作同様に自身の戯曲を映画化したもの。離婚後に新たな家庭を築いたものの、前妻との息子の不登校という問題に直面する父親をヒュー・ジャックマンが演じています。
アウト・オブ・コンペティション部門では、ハリー・スタイルズ&フローレンス・ピューをキャストに迎えたオリヴィア・ワイルド監督『Don’t Worry Darling』、現在日本で公開中のA24初の3部作映画『X エックス』の前日譚にあたる『Pearl』といった話題作も上映されます。
日本関連作品では、コンペティション部門に深田晃司監督の『LOVE LIFE』、サイドバーのオリゾンティ部門に石川慶監督による平野啓一郎の同名小説の映画化『ある男』が選出されています。
以下、コンペティション部門、アウト・オブ・コンペティション部門、オリゾンティ部門のラインナップです。
コンペティション部門
『Il signore delle formiche』ジャンニ・アメリオ監督
『The Whale』ダーレン・アロノフスキー
『White Noise』ノア・バームバック(※オープニング作品)
『L’immensità』エマヌエーレ・クリアレーゼ
『Saint Omer』アリス・ディオップ
『Blonde』アンドリュー・ドミニク
『TÁR』トッド・フィールド
『LOVE LIFE』深田晃司
『Athena』ロマン・ガヴラス
『Bones and All』ルカ・グァダニーノ
『The Eternal Daughter』ジョアンナ・ホッグ
『Bardo, falsa crónica de unas cuantas verdades』アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
『Shab, Dakheli, Divar (Beyond The Wall)』ヴァヒド・ジャリルヴァンド
『The Banshees of Inisherin』マーティン・マクドナー
『Argentina, 1985』サンティアゴ・ミトレ
『Chiara』スザンナ・ニッキャレッリ
『Monica』アンドレア・パラオロ
『Khers Nist (No Bears)』ジャファール・パナヒ
『All the Beauty and the Bloodshed』ローラ・ポイトラス
『Un Couple』フレデリック・ワイズマン
『The Son』フロリアン・ゼレール
『Les Miens』ロシュディ・ゼム
『Les Enfants des autres』レベッカ・ズロトヴスキ
アウト・オブ・コンペティション部門
フィクション
『The Hanging Sun』フランチェスコ・カロッツィーニ
『Kapag Wala Nang Mga Alon (When The Waves Are Gone)』ラヴ・ディアス
『Living』オリバー・ハーマヌス
『Dead for a Dollar』ウォルター・ヒル
『Köne Taevast (Call of God)』キム・ギドク
『Dreamin’ Wild』ビル・ポーラッド
『Master Gardener』ポール・シュレイダー
『Siccità』パオロ・ヴィルズィ
『Pearl』タイ・ウェスト
『Don’t Worry Darling』オリヴィア・ワイルド
ノンフィクション
『Freedom on Fire: Ukraine’s Fight for Freedom』Evgeny Afineevsky、Alex Kashpur
『The Matchmaker』Benedetta Argentieri
『Gli ultimi giorni dell’umanità』Enrico Ghezzi、Alessandro Gagliardo
『A Compassionate Spy』Steve James
『Music for Black Pigeons』Jørgen Leth、Andreas Koefoed
『The Kiev Trial』Sergei Loznitsa
『In Viaggio』Gianfranco Rosi
『Bobi Wine Ghetto President』Christopher Sharp、Moses Bwayo
『Nuclear』Oliver Stone
シリーズ
『Riget Exodus』ラース・フォン・トリアー
『Copenhagen Cowboy』ニコラス・ウィンディング・レフン
短編映画
『Camarera De Piso』ルクレシア・マルテル
『A Guerra Finita』Simone Massi
『In Quanto A Noi』Simone Massi
『Look At Me』サリー・ポッター
オリゾンティ部門
オリゾンティ・コンペティション
『Obet’ (Victim)』Michal Blaško
『On the Fringe (En Los Márgenes)』ファン・ディエゴ・ボト
『Trenque Lauquen』Laura Citarella
『Vera』Tizza Covi、Rainer Frimmel
『Innocence』Guy Davidi
『Princess』Roberto De Paolis
『Blanquita』Fernando Guzzoni
『Pour la France』Rachid Hami
『ある男 (A Man)』石川慶
『Chleb i sól (Bread and Salt)』Damian Kocur
『Luxembourg, Luxembourg』Antonio Lukich
『Ti mangio il cuore』Pippo Mezzapesa
『To the North』Mihai Mincan
『Autobiography』Makbul Mubarak
『La Syndicaliste』Jean-Paul Salomé
『Jange Jahani Sevom (World War III)』Houman Seyedi
『Najsrekniot Čovek Na Svetot / Najsretniji Čovjek (The Happiest Man in the World)』Teona Strugar Mitevska
『A Noiva (The Bride)』Sérgio Tréfaut
オリゾンティ・短編コンペティション
『Christopher At Sea』Tom Cj Brown
『Manuale Di Cinematografia Per Dilettanti – Vol. I』Federico Di Corato
『Tria – Del Sentimento Del Tradire』Giulia Grandinetti
『Nocomodo』Lola Halifa-Legrand
『Rutubet』Turan Haste
『Snow in September』Lkhagvadulam Purev-Ochir
『Please Hold the Line』Ce Ding Tan
『The Fruit Tree』Isabelle Tollenaere
『III』Salomé Villeneuve
『Love Forever』Clare Young
『My Girlfriend』Kawthar Younis
『Alt På En Gang (Everything at Once)』Henrik Dyb Zwart
オリゾンティ・エクストラ
『Janain Mualaqa (Hanging Gardens)』Ahmed Yassin Al Daradji
『Amanda』Carolina Cavalli
『Zapatos Rojos』Carlos Eichelmann Kaiser
『Nezouh』Soudade Kaadan
『L’Origine du mal』Sébastien Marnier
『Notte Fantasma』Fulvio Risuleo
『Bi Roya (Without Her)』Arian Vazirdaftari
『Valeria Mithatenet (Valeria Is Getting Married)』Michal Vinik
『Goliath』Adilkhan Yerzhanov
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第79回ベネチア国際映画祭
会期:2022年8月31日(水)〜9月10日(土)
開催地:イタリア・ヴェネチア
フェスティバル・ディレクター:アルベルト・バルベラ
© Asac – La Biennale di Venezia.