第75回カンヌ国際映画祭（2022年）公式ラインナップが発表！

フランス現地時間5月17日（火）〜28日（土）に開催される第75回カンヌ国際映画祭の公式上映作品が、パリのUGCノルマンディー劇場で4月14日（木）、映画祭プレジデントのピエール・レスキュールと、ディレクターのティエリー・フレモーにより発表されました。

コロナ禍により中止となった2020年、2ヶ月延期の7月開催を余儀なくされた昨年を経て、本来の5月開催に戻った今年のカンヌ映画祭。トム・クルーズ主演のアクション映画『トップガン マーヴェリック』やバズ・ラーマン監督によるエルヴィス・プレスリーの伝記映画『エルヴィス』などハリウッド大作のプレミアも予定され、パンデミック以来久々の華やかさでも注目を浴びています。

オープニング作品は、『アーティスト』で米アカデミー賞作品賞を受賞したフランスのベテラン監督ミシェル・アザナヴィシウスが、日本で大ヒットした上田慎一郎監督の『カメラを止めるな！』をリメイクした『Z (comme Z)』（英題：Final Cut）。

注目のコンペティション部門には、ベルギーのジャン＝ピエール＆リュック・ダルデンヌ兄弟、ルーマニアのクリスティアン・ムンジウ、スウェーデンのリューベン・オストルンドといったパルムドール受賞歴のある名匠や、カナダのデヴィッド・クローンバーグ、韓国のパク・チャヌク、アメリカのジェームズ・グレイといった常連が名を連ねています。

フレッシュな顔ぶれとしては、『ボーダー 二つの世界』で2018年の「ある視点」部門グランプリを受賞したアリ・アッバシ、同じく2018年の「ある視点」部門でカメラドール（新人監督賞）を受賞したベルギーのルーカス・ドンらがコンペ部門に初登場しました。

ロシアのウクライナ侵攻に伴い、国際映画祭ではロシア映画を上映しない傾向が強まっていますが、過去に『LETO -レト-』（18年）、『インフル病みのペトロフ家』（21年）がカンヌのコンペで上映されているキリル・セレブレンニコフ監督は、かねてから反政府の姿勢を表明していることもあり、今回もコンペに選出されています。ちなみに、同監督はすでにロシアを出国し、今後もヨーロッパを拠点に活動を続けていく予定です。

ミッドナイト・スクリーニング部門では、Netflixオリジナルドラマ『イカゲーム』で世界的なスターとなったイ・ジョンジェの監督デビュー作『Hunt』がプレミア上映予定。共同で制作会社も経営するイ・ジョンジェとチョン・ウソンという韓国を代表するスター俳優がW主演するスパイアクション映画です。

日本関連では、2018年に『万引き家族』でパルムドールを受賞した是枝裕和監督が韓国で制作した『ベイビー・ブローカー』が選出。『パラサイト』のソン・ガンホ、『新感染半島 ファイナル・ステージ』のカン・ドンウォン、『空気人形』『クラウド アトラス』のペ・ドゥナといった名優に加え、シンガーソングライターとして絶大な人気を誇るIUが、本名イ・ジウンとして本格的なスクリーン・デビューを飾る話題作です。

また「ある視点」部門には、早川千絵監督の『PLAN 75』が選出。是枝裕和監督がエグゼクティブ・プロデューサーを務めたオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の1本として制作された短編を基に作られた長編で、75歳以上の人が自由意志で尊厳死を選べる世界を描いた問題作です。早川監督はカンヌの学生部門であるシネフォンダシオンの出身で、本作が長編デビュー作となる新鋭。カンヌでの評価にも期待がかかります。

コンペティション部門に現時点では18作品が選出されていますが、映画祭開幕までにあと数本が追加される予定です。

以下、公式ラインナップです。

オープニング作品

『Final Cut』ミシェル・アザナヴィシウス監督（アウト・オブ・コンペティション部門）

コンペティション部門　

『Holy Spider』アリ・アッバシ
『Forever Young』ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ
『Crimes of The Future』デヴィッド・クローネンバーグ
『Tori and Lokita』ダルデンヌ兄弟
『Stars at Noon』クレール・ドゥニ
『Brother and Sister』アルノー・デプレシャン
『Close』ルーカス・ドン
『Armageddon Time』ジェームズ・グレイ
『ベイビー・ブローカー』是枝裕和
『Nostalgia』マリオ・マルトーネ
『R.M.N.』クリスティアン・ムンジウ
『Triangle of Sadness』リューベン・オストルンド
『Haeojil Gyeolsim（Decision to Leave）』パク・チャヌク
『Showing Up』ケリー・ライカート
『Leila’s Brothers』サイード・ルスタイ
『Boy From Heaven』タリク・サレー
『Zhena Chaikovskogo (Tchaïkovski’s Wife)』キリル・セレブレンニコフ
『Bora Bora』アルベルト・セラ
『Mother and Son』レオノール・セライユ
『EO』イエジー・スコリモフスキ
『Le otto montagne』フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン、シャルロッテ・ファンデルメールシュ

「ある視点」部門

『Father and Soldier』Mathieu Vadepied（オープニング作品）
『Les Pires』Lise Akoka, Romane Gueret
『Kurak Günler (Burning Days)』エミン・アルペル
『More than Ever』Emily Atef
『Metronom』Alexandru Belc
『Sick of Myself』Kristoffer Borgli
『All The People I’ll Never Be』ダビ・チュウ
『Domingo Y La Niebla (Domingo and the Midst)』Ariel Escalante Meza
『Mediterranean Fever』Maha Haj
『PLAN 75』早川千絵
『War Pony』ライリー・キーオ、Gina Gammell
『Corsage』Marie Kreutzer
『The Stranger』トーマス・M・ライト
『Bachennya Metelyka (Butterfly Vision)』Maksym Nakonechnyi
『Harka』Lotfy Nathan
『Vanskabte Land / Volaða Land (Godland)』フリーヌル・パルマソン
『Rodeo』Lola Quivoron
『Joyland』Saim Sadiq
『The Silent Twins』アグニェシュカ・スモチンスカ
『The Blue Caftan』Maryam Touzani

アウト・オブ・コンペティション

『トップガン マーヴェリック』ジョセフ・コシンスキー
『エルヴィス』バズ・ラーマン
『Masquerade』ニコラ・ブドス
『Novembre』セドリック・ヒメネス
『Three Thousand Years of Longing』ジョージ・ミラー
『The Innocent』ルイ・ガレル

ミッドナイト・スクリーニング

『Hunt』イ・ジョンジェ
『Smoking Causes Coughing』カンタン・デュピュー
『Moonage Daydream』ブレット・モーゲン
『Rebel』Adil El Arbi、Bilall Fallah

カンヌプレミア

『Dodo』パノス・H・コートラス
『Esterno Notte（Exterior Night）』マルコ・ベロッキオ
『Irma Vep』オリヴィエ・アサイヤス
『Nos Frangins』ラシッド・ブシャール
『Don Juan』Serge Bozon
『La Nuit Du 12』ドミニク・モル
『Diary of a Fleeting Affair』Emmanuel Mouret
『As Bestas』Rodrigo Sorogoyen

スペシャル・スクリーニング

『Jerry Lee Lewis: Trouble in Mind』イーサン・コーエン
『The Natural History of Destruction』セルゲイ・ロズニツァ
『All That Breathes』Shaunak Sen
『My Imaginary Country』Patricio Guzman
『The Vagabonds』Doroteya Droumeva
『Feminist Ripost』Marie Perennès、Simon Depardon
『Remains of the Wind』Tiago Guedes
『Little Nicholas – Happy as Can Be』Amandine Fredon、Benjamin Massoubre
『Marcel!』Jasmine Trinca
『Salam』Mélanie、Houda Benyamina、Anne Cissé
『For the Sake of Peace』Christophe Castagne、Thomas Sametin
『Mariupol 2』Mantas Kvedaravisius

※最終更新：5月22日