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2021.09.29 11:00

ジャンヌ・ダルク二部作『ジャネット』『ジャンヌ』12月11日公開決定!

  • Fan's Voice Staff

フランスの鬼才ブリュノ・デュモンによるジャンヌ・ダルク二部作『Jeannete, the Childhood of Joan of Arc』『Joan of Arc』(英題)が、邦題をそれぞれ『ジャネット』『ジャンヌ』として12月11日(土)より全国順次ロードショーされることが決定!日本版ポスタービジュアルが解禁されました。

疫病と戦争の最中にあった15世紀初頭のフランスに実在した少女ジャンヌ・ダルクは、カトリックの聖女、あるいは魔女、神の恩寵を受け祖国を救う愛国的英雄、民衆を鼓舞する革命の偶像、異端審問の末に火炙りにされた男装の女騎士、フランス国民劇の受難のヒロインとして、芸術と娯楽の様々な領域で幾度も題材にされてきました。ジョルジュ・メリエス、カール・テオドール・ドライヤー、セシル・B・デミル、ヴィクター・フレミング、オットー・プレミンジャー、ロベルト・ロッセリーニ、ロベール・ブレッソン、ジャック・リヴェット、リュック・ベッソンと、歴々たる映画作家たちがこの「歴史劇」の古典に取り組んできました。メロドラマとして、社会風刺劇として、スリル満点のスペクタクルとして、恐れ慄くような美/崇高に迫る実験作として、フランスやハリウッドをはじめ世界中で、時代の折々に作られてきた「ジャンヌ・ダルク映画」。その最新の変奏が『ジャネット』と『ジャンヌ』です。

『ジャネット』

監督は、現代フランス映画において一筋縄ではいかない挑発的な作品『ユマニテ』(99年)『フランドル』(06年)などを発表してきた鬼才、ブリュノ・デュモン。原作は、シャルル・ペギーの劇作「ジャンヌ・ダルク」(1897)と「ジャンヌ・ダルクの愛の秘義」(1910)。ペギーは、ジル・ドゥルーズ、ヴァルター・ベンヤミン、ジャン=リュック・ゴダール、そして須賀敦子らを魅了したカトリックの詩人・思想家であり、ジャンヌ・ダルクがイギリス軍から解放した都市オルレアンの出身。デュモンは、ジャンヌ・ダルクの生涯を特別な想いを持って描いたペギーの詩劇を、仰天ともいうべき演出・手法によって、二つの映画作品に仕上げました。

両作品でジャンヌ・ダルクを演じたのは、ロケ地周辺で出会った演技経験のない新星リーズ・ルプラ・プリュドム。『ジャネット』撮影時はわずが8歳で、幼い頃の無垢なジャンヌを歌や踊りを駆使し見事に体現。『ジャンヌ』では、まっすぐな眼差しと力強い言葉で、「雄弁な」男たちを喝破していく姿を見せました。

『ジャンヌ』

『ジャネット』は、カルト映画の巨匠でシネフィルとしても知られるジョン・ウォーターズ監督は2018年のベスト1に、仏の映画誌カイエ・デュ・シネマは「この小さな傑作によって彼の映画は決定的に解き放たれた!」と評し、2017年のベスト2に選出。日本ではカイエ・デュ・シネマ週間で『ジャネット、ジャンヌ・ダルクの幼年期』のタイトルで上映され話題を呼びました。続く『ジャンヌ』も、ジョン・ウォーターズは2019年のベスト2に、カイエ・デュ・シネマで2019年のベスト5に選出されています。

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『ジャネット』(原題:Jeannette, l’enfance de Jeanne d’Arc)

ジャンヌ・ダルクの幼年時代を描く、破壊的な歴史音楽劇
1425年、フランスとイギリスによる王位継承権をめぐる「百年戦争」の真っただ中。幼いジャネット(※ジャンヌ・ダルクの幼少期の呼び名)は、小さな村ドンレミで羊の世話をして暮らしていた。ある日、友だちのオーヴィエットに、イギリスによって引き起こされた耐え難い苦しみを打ち明ける。思い悩む少女を修道女のジェルヴェーズは諭そうとするが、ジャネットは神の声を聴く体験を通し、フランス王国を救うために武器を取る覚悟を決める。ジャンヌ・ダルクの幼年期が、奇妙奇天烈な破壊的ミュージカルに!?シャルル・ペギーのテキストの韻律に活力を与える歌。そこに響く激烈なる音楽。そして、あまりにぎごちない舞踊…。緊張と弛緩のとめどない反復の内に時間の感覚が消失し、奇異なまでの現代性が浮かび上がる。音楽を担当するのは、デスメタル、プログレ、ブレイクコア、バロック音楽などの要素を取り込んだユニークなスタイルで活躍する異才Igorrr。振付は、現代フランスを代表するコレオグラファー、フィリップ・ドゥクフレが担当している。

監督・脚本/ブリュノ・デュモン
原作/シャルル・ペギー
撮影/ギヨーム・デフォンタン
音楽/Igorrr
振付/フィリップ・ドゥクフレ
出演/リーズ・ルプラ・プリュドム、ジャンヌ・ヴォワザン、リュシル・グーティエ ほか
2017年/106分/カラー/ビスタ/フランス語/フランス/日本語字幕:高部義之/英題:Jeannete, the Childhood of Joan of Arc 
© 3B Productions

『ジャンヌ』(原題:Jeanne)

救国の戦いから異端審問、そして刑の執行へ──華麗なる心理活劇
15世紀、フランスの王位継承をめぐって、フランスとイギリスが血で血を洗う争いの時代。若きジャンヌ・ダルクは、「フランスを救え」と言う神の声に導かれてフランス王の軍隊を率いていた。神、愛、罪、福音と祈りを説くジャンヌだが、その力に畏怖と疑心を持った味方の軍内部から反発が生じる。やがてジャンヌはイギリス側に捕らえられ、教会によって異端審問にかけられる。抑圧と支配の濃密な論理で迫る「雄弁」な男たちを相手に、反駁の叫びと沈黙で応じるジャンヌ。告発に屈せず、自らの霊性と使命に忠実であり続ける。馬術ショーのような戦闘場面。言葉が累積し充満する裁判場面。あまりに奇想天外な相貌を見せた『ジャネット』と打って変わり、様式的な画面と白熱の議論に彩られた、サスペンスとアクションが華麗に展開する。『クレールの膝』(70)、『満月の夜』(87)などエリック・ロメール作品で知られる、ファブリス・ルキーニがフランス国王シャルル7世として出演。フランスの歌手クリストフが劇伴の作曲を担当。異端審問の陪席者の一人として不気味に出演し、その美しい歌声を聞かせている。

監督・脚本/ブリュノ・デュモン
原作/シャルル・ペギー
撮影/デイビット・シャンビル
音楽/クリストフ
出演/リーズ・ルプラ・プリュドム、ファブリス・ルキーニ、クリストフ ほか
2019年/138分/カラー/ビスタ/フランス語/フランス/日本語字幕:高部義之/英題:Joan of Arc
© 3B Productions

日本公開/12月11日 (土)、ユーロスペースほか全国順次ロードショー!
配給/ユーロスペース
公式サイト(10月上旬オープン予定)