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2019.10.10 17:00

【ネタバレ無し感想・評価】『クロール ―凶暴領域―』は”極上のワニ映画体験”!アレクサンドル・アジャ監督の最新作に傑作の声多数!

  • Fan's Voice Staff

最大級のハリケーンに見舞われたフロリダで、大量発生したワニから脱出を図るサバイバルスリラー映画『クロール ─凶暴領域─』。本記事では、9月30日(月)に開催された本作のFan’s Voice限定試写会に参加した日本のファンの感想とともに、見どころを紹介します。

大学の競泳選手のヘイリー(カヤ・スコデラリオ)は、疎遠になっていた父デイブ(バリー・ペッパー)が、最大級のハリケーンが迫りくる中、連絡が取れなくなっていることを知り、実家へ向かいます。地下で重傷を負った父を発見しますが、すでにハリケーンによる浸水によって、家はワニの巣窟に。最大級のハリケーンと地球最強の捕食生物=ワニという自然の脅威が容赦なく襲いかかる中、ふたりは決死の脱出を試みますが……。

製作を務めたのは、コアな映画ファンをうならせた『死霊のはらわた』(81年)や、トビー・マグワイア主演『スパイダーマン』シリーズ(02年〜07年)の監督で知られるサム・ライミ。プロデューサーとして多数のスリラ-やホラー映画にも携わっており、2016年末に日本でもスマッシュヒットした『ドント・ブリーズ』もそのひとつです。『ドント・ブリーズ』でも描かれたシチュエーション・スリラーの演出は、本作でもふんだんに使用されており、ワニだけではない驚きと衝撃の連続に88分間、息つく暇さえ与えません。

サメを遥かに超える獰猛さで水陸で人間に襲い掛かるワニと、巨大ハリケーンという最悪の組み合わせが同時に襲ってくるという極限状態からのサバイバルを描いた本作は、米映画批評サイトRotten Tomatoesでも大絶賛を受け、世界中で話題となっています。

ワニはサメよりもっと恐い!?生物パニック映画の傑作登場!

『ジョーズ』(75年)にはじまり、近年では『オープン・ウォーター』(04年)、『ロスト・バケーション』(16年)、昨年日本でもヒットした『MEG ザ・モンスター』(18年)など、海でサメに“遭遇する”サバイバル映画は数多く存在します。

しかし、サメは水から離れれば逃れられますが、今回対峙する相手は、陸でも水でも動くことができる最強の爬虫類=ワニです。本作に登場する種類は、平均的な体長は約3m35cm、体重は最大で約450kgにもなり、地上では時速18kmで移動できるが、水中になると時速32.18kmで進むことができるというツワモノ。

舞台となるフロリダは、長い海岸線と熱帯気候が特徴。ワニのような爬虫類には絶好の環境で、実際にワニ関連の事故も度々発生し、報道されるほど。そのハラハラドキドキぶりに、生物パニック映画史上最高との声が多数!

ワニとハリケーン“自然の脅威”のWパンチに緊張が続く!

フロリダはハリケーンが上陸する回数が全米で最も多い場所でもあります。本作でヘイリーと父・デイブを襲うのは、カテゴリー5という最大級のハリケーン。車が簡単に横転するほどの雨風にさらされ、避難命令が出され、町はもぬけの殻となります。

ワニとハリケーン。“自然の脅威”のWパンチから、果たしてふたりは逃げ切れるのか?

カルトなファンを持つフランスの気鋭監督が本領を発揮!

監督は、フランス出身のアレクサンドル・アジャ。女子大生が殺人鬼と戦うスプラッタホラー『ハイテンション』(03年)の生半可でない残酷描写が話題となり大ヒット。 日本でもカルト的人気を誇っています。『ホーンズ 容疑者と告白の角』(13年)や『ルイの9番目の人生』(16年)などドラマ性の高いサスペンス映画でも高い評価を得ていますが、本作では普通の女性が突如、危機的状況に立ち向かうという、アジャが得意とするジャンルで、彼の感性が遺憾なく発揮されています。

プロデューサーのサム・ライミもアジャについて「『ハイテンション』を観たときから、彼とは仕事をしたかった。サスペンスを盛り上げるのが非常に上手くて、優れたストーリーテラーだと思っていたから。だからクレイグと『クロール ―凶暴領域―』に加わることになり、夢が叶ったと思ったよ」と語っています。

アジャは「はじめから、ワニはCGにするのがベストだと考えていた。本作ではワニが何匹も登場している。ハリウッド内外では、こういったサバイバル映画では見せないのが美学、なんて言われがちだけど、僕は、この作品については反対意見を持っている。宇宙から来た未知の生命体ではなく、ワニは誰でも知っている生き物。写真や動画が世にあふれていて、見たことがないなんて人、いないよね。だから、恐ろしくてどう猛であると同時に、リアルなものにしたかった。存在する生き物だから、隠さずどんどん登場させたかった」

『メイズ・ランナー』のカヤ・スコデラリオの身体性が驚異的!

ヘイリーを演じるのは、イギリス出身の新進女優カヤ・スコデラリオ。『メイズ・ランナー』シリーズのテレサ役や『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』のカリーナ役で知られますが、その抜群のスタイルを生かしてモデルとしても活躍。2019年カルティエの新モデルに抜擢されています。本作では、パーソナルトレーナーについて肉体を強化。競泳選手に見えるように、プロのコーチについて水泳も特訓したそう。

サム・ライミは「カヤが演じたヘイリーは父との確執を抱えているが、物語が進むにつれてわだかまりが解けて、互いに支え合う。そういった変化の部分を繊細に演じ分けられる女優だから、彼女の起用はぴったりだった」と太鼓判を押しています。

ヘイリーの父親、デイブ役を演じるのは、『プライベート・ライアン』の狙撃兵ジャクソン二等兵で知られる演技派バリー・ペッパー。本作では、娘との信頼関係を取り戻そうとする人間味溢れる役で新境地を開拓!

ちなみに、カヤとバリーは『メイズ・ランナー』シリーズでも共演しており、ふたりの相性のよさは、従来のパニック映画にはない温かみを本作に与えているといえるでしょう。

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『クロール ─凶暴領域─』(原題:Crawl)

大学競泳選手のヘイリーは、疎遠になっていた父が、巨大ハリケーンに襲われた故郷フロリダで連絡が取れなくなっていることを知り、実家へ探しに戻る。地下で重傷を負い気絶している父を見つけるが、彼女もまた、何ものかによって地下室奥に引き摺り込まれ、右足に重傷を負ってしまう──。

監督/アレクサンドル・アジャ
製作/サム・ライミ 
キャスト/カヤ・スコデラリオ、バリー・ペッパー
全米公開/7月12日(金)
PG-12

日本公開/2019年10月11日(金) 究極のサバイバルスリラー、日本上陸
配給/東和ピクチャーズ
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