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2019.09.08 4:00

『ジョーカー』金獅子賞に決定!2019年ベネチア国際映画祭 コンペティション部門受賞結果

  • Fan's Voice Staff

第76回ヴェネチア国際映画祭の授賞式がイタリア現地時間9月7日(土)夜に開催され、21作品が出品されたコンペティション部門の受賞結果が発表されました。

『ジョーカー』トッド・フィリップス監督(左)と主演ホアキン・フェニックス

金獅子賞
『ジョーカー』トッド・フィリップス監督(アメリカ)

銀獅子賞(審査員大賞)
『J’accuse』ロマン・ポランスキー監督(フランス)

銀獅子賞(監督賞)
『About Endlessness』ロイ・アンダーソン監督(スウェーデン)

男優賞
ルカ・マリネッリ
『マーティン・エデン』ピエトロ・マルチェッロ監督(イタリア)

女優賞
アリアンヌ・アスカリッド
『Gloria Mundi』ロベール・ゲディギャン監督(フランス)

脚本賞
『No. 7 Cherry Lane』ヨン・ファン監督(香港)

審査員特別賞
『La Mafia Non E Piu Quella Di Una Volta』フランコ・マレスコ監督(イタリア)

マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)
トビー・ウォレス
『Babyteeth』シャノン・マーフィ監督(オーストラリア)

最高作品賞である金獅子賞は、トッド・フィリップス監督の『ジョーカー』!アメコミ史上最も魅力的なヴィラン(悪役)と評されるキャラクターの前日譚を描きます。優しい孤独な男アーサーがいかに〈悪のカリスマ〉に変貌していくかを、人間味を持って描ききった監督の手腕と、主演のホアキン・フェニックスの演技は、プレス上映直後から絶賛され、公式上映では8分間のスタンディングオベーションが鳴り響きました。

『ジョーカー』© Niko Tavernise

映画賞レースの起点となるベネチア映画祭で最高賞を受賞した『ジョーカー』は、アカデミー賞まで賞レースのフロントランナーになることは間違いありません。ちなみに、ベネチアでは上位の賞はW受賞できないルールにより、ホアキンの男優賞受賞はありませんでした。(関連記事:ネタバレなし最速レビュー、公式会見全文、授賞式後の審査員および監督コメント

銀獅子賞(審査員大賞)には、下馬評では最高得点を獲得していたロマン・ポランスキー監督の『J’Accuse』。19世紀の冤罪事件“ドレフュス事件”の顛末を描く歴史劇。政治腐敗、人種差別などさまざまな問題を内包する事件を、今問い直すことによって、痛烈に体制を批判するポリティカルな作品でもあります。#MeTooムーブメントの影響から、1977年の少女に対する淫行事件が物議を醸し、今回のベネチアも欠席したポランスキー監督ですが、審査員団は賞を授与するという決断に至りました。

『J’Accuse』

銀獅子賞(監督賞)は、『About Endlessness』のロイ・アンダーソンに。前作『さよなら、人類』(14年)で金獅子賞を制覇している北欧の巨匠ですが、続けて大きな賞の受賞となりました。戦争で荒廃した町で嘆く人々を、独特のユーモアと詩情をもって描き出しました。

『About Endlessness』

女優賞は、ロベール・ゲディギャン監督『Gloria Mundi』のアリアンヌ・アスカリッド。『マルセイユの恋』でセザール賞主演女優賞を受賞しているフランスの実力派。ゲディギャン監督の妻でもあります。経済的に逼迫する労働者階級の家族の悲劇と絆を描いた本作では、乳飲み子を抱えながら迷走する娘、不運で仕事を失う娘婿、出所したばかりの元夫など家族を気丈に支える母親を演じました。

『グロリア・ムンディ』アリアンヌ・アスカリッド(左)© Ex Nihilo Agat Films

男優賞は、ピエトロ・マルチェッロ監督『マーティン・エデン』でタイトルロールを演じたルカ・マリネッリ。アメリカの作家ジャック・ロンドンの自伝的小説を、イタリアのナポリに舞台を置き換えて描く本作で、富裕層の娘との恋に破れ、作家として身をたてようとする若者の苦難を、体当たりで演じています。現在ベルリン在住のマリネッリは、今後ワールドワイドな活躍も期待できそうです。

『マーティン・エデン』ルカ・マリネッリ

フランスの大物女優カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュを主演に迎え、オープニング作品としても選出された是枝裕和監督の『真実』、オダギリジョーが出演している中国のロウ・イエ監督『サタデー・フィクション』は共に、受賞はありませんでした。

コンペティション部門の審査員長を務めたは、『沼地という名の町』(01年)、『サマ Zama』(17年)のアルゼンチン監督、ルクレシア・マルテル。世界三大映画祭の中で最古の歴史を誇るヴェネチアで、女性が審査員長となったのは7人目。ほか審査員には、ステイシー・マーティン(イギリス;女優)、メアリー・ハロン(カナダ;映画監督)、ピアース・ハンドリング(カナダ;歴史学者、批評家)、ロドリゴ・プリエト(メキシコ;撮影監督)、塚本晋也(日本;映画監督)、パオロ・ヴィルツィ(イタリア;映画監督)。

以下、コンペティション部門に出品された21作品です。

『真実』是枝裕和(日本、オープニング作品)
『The Perfect Candidate』ハイファ・アル=マンスール(サウジアラビア)
『About Endlessness』ロイ・アンダーソン(スウェーデン)
『Wasp Network』オリヴィエ・アサヤス(フランス)
『マリッジ・ストーリー』ノア・バームバック(アメリカ)
『Guest of Honour』アトム・エゴヤン(カナダ)
『アド・アストラ』ジェームズ・グレイ(アメリカ)
『A Herdade』ティアゴ・ゲデス(ポルトガル)
『Gloria Mundi』ロベール・ゲディギャン(フランス)
『Waiting for the Barbarians』シーロ・ゲーラ(コロンビア)
『Ema』パブロ・ラライン(チリ)
『サタデー・フィクション』ロウ・イエ(中国)
『マーティン・エデン』ピエトロ・マルチェッロ(イタリア)
『The Mafia Is No Longer What It Used to Be (英題)』フランコ・マレスコ(イタリア)
『The Painted Bird』ヴァーツラフ・マルホウ(チェコ)
『Il Sindaco del Rione Sanita』マリオ・マルトーネ(イタリア)
『Babyteeth』シャノン・マーフィ(オーストラリア)
『ジョーカー』トッド・フィリップス(アメリカ)
『J’accuse』ロマン・ポランスキー(フランス)
『ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-』スティーヴン・ソダーバーグ(アメリカ)
『No. 7 Cherry Lane』ヨン・ファン(香港)

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© Lorenzo Mattotti per La Biennale di Venezia

第76回ヴェネチア国際映画祭

会期/2019年8月28日(水)〜9月7日(土)
開催地/イタリア・ヴェネチア
フェスティバル・ディレクター/アルベルト・バルベーラ
© La Biennale di Venezia – Foto ASAC.