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2019.07.04 17:30

【単独インタビュー】玉城ティナ、蜷川映画『Diner ダイナー』での藤原竜也、窪田正孝との共演を語る

  • Atsuko Tatsuta

元殺し屋の天才シェフ、ボンベロ(藤原竜也)のダイナー(食堂)で展開される殺し合いのパワーゲームを、ウェイトレスとして働く羽目に陥った平凡な女の子オオバカナコ(玉城ティナ)の視点から描くノンストップ・エンターテイメント『Diner ダイナー』。平山夢明の小説「ダイナー」を、写真家でもある蜷川実花が映画化した話題作です。

主演の藤原竜也を始め、窪田正孝、本郷奏多、武田真治、斎藤工らキャスト陣、また、横尾忠則、名和晃平など一流アーティストたちによる豪華なコラボレーションも話題の本作。錚々たる名前が並ぶ中、ヒロイン、オオバカナコを演じた玉城ティナに話を聞きました。

──蜷川監督とは以前からファッション撮影などでお仕事をされていたと思いますが、今回『Diner ダイナー』への出演にあたってはどのようなオファーがあったのでしょうか?
“カナコという役なのだけれど、原作とは少し変えたい。私自身の要素を少し加えたい”というお話がありました。なぜ私をカナコ役に選んでくださったかという明確なお話はありませんでした。最終的にカナコ役に決まったときは、蜷川監督の映画最新作に出演させていただく、というプレッシャーもありましたね。蜷川さんとは私が14歳の時から仕事をさせていただいていたのですが、私が20歳になった頃から、蜷川さんが私の変化というか、なにか感じるものがあったんじゃないかと漠然と思っていました。

──14歳からご存知とのことですが、映画監督としての蜷川さんとのお仕事はいかがでしたか?
これまでのお仕事とちょっと違うのかな、と撮影現場に入る前は漠然と思っていたのですが、写真家として接していた時の感じとほとんど同じでしたね。

スチール撮影もとても早いのですが、映画の現場でもカメラアングルからなにから、決めるときは決断が早く、迷ったときにはスタッフの方々に相談して、みんなで決めようという姿勢とかも、いつもと同じでしたね。写真撮影のときも、被写体の良いところを引き出そうとしてくださるのですが、映画でもそれは同じでしたね。

──オオバカナコを演じるにあたって、どのようなキャラクターだと解釈しましたか?
『Diner ダイナー』の登場人物の中では、いちばんまともなキャラクターではあるんですね。他は殺し屋の方ばかりなので(笑)。その独特な世界観の中で、カナコは、観客の方がいちばん共感が持てる立ち位置だと思っていました。冒頭シーンのナレーションにもありますが、思春期の悩みを抱えるカナコを等身大で演じられればと思いました。そういう“誰もが通ってきた道”に共感してもらえることによって、観ている方が『Diner ダイナー』の世界にぐっと入り込めればいいな、と。カナコ自身は受け身で、物事に巻き込まれていくタイプ。私自身も、錚々たる俳優さんたちの中に放り込まれたという意味では、カナコに近い部分もあったので、演技を作り込むというより、思ったままに反応すれば良いと監督にも言われました。

──平山夢明氏の原作は読まれましたか?その感想は?
手にとらないジャンルの本だったので、読んでみてこういう本が存在しているんだということが、ある意味衝撃でした。割と分厚い本なのですが、テンポよく引き込まれてしまい、あっという間に読み切ってしまいましたね。ちょっとグロテスクなところもありますが、食べることと生きることという根源的なテーマも含まれている、深い作品だと思いました。

──カナコは、ダイナーの主である藤原竜也さん演じるボンベロと、窪田正孝さん演じる孤独な殺し屋スキンという、ふたりの男性と関わることになりますね。
ボンベロは、カナコにとって絶対的な存在です。ダイナーの主ですし、この人に認められなければならないという気持ちがある。最初は、目をつけられて、殺されたくないという気持ちもある。スキンは、とても優しいキャラクター。カナコにとっては救いにもなっていますが、恋愛とはちょっと違う感情なのかなと思いましたね。誰でもああいう場所にいたら、カナコのように誰かに助けを求めたくなってしまうではと思ったので。男女間の恋愛感情というより、正義感の強いスキンに頼ったのだろうと解釈していました。 

──錚々たるキャストの中での撮影で学ぶことはありましたか?
すごくたくさんありましたね。実際になにかを質問して答えていただくというより、藤原さんも窪田さんも、演技のバリエーションの出し方とか、引き出しがめちゃめちゃ深い。現場にいながらずっと感じていました。蜷川さんも、藤原さんや窪田さんのことを信頼しているのを肌で感じました。

──特に素晴らしかったところは?
ボンベロは、予告編でも使用されていましたが、「オレはここの王だ。砂糖の一粒までがオレに従う。従うか、死ぬかだ」と叫ぶシーンがあるのですが、藤原さんはいくつもバリエーションを演じて、すり合わせていきました。その撮影が初日にあったのですが、このシーンのトーンが映画のスタイルの道標になったようなところがありました。さすがだなと思いましたね。

また、窪田さんは割と淡々とされている方ですが、いざ撮影となるとスイッチが入るのが早い。しかも、細やかな変化をつけるのがとてもスムーズで上手く、とても勉強になりました。

──撮影中、楽しかったこと、辛かったことは?
撮影は、吊るされたり、叩きつけられたり、叫んだりと肉体的には、ハードな部分もあるのですが、そのときは必死なので、あんまり考えている暇はなかったですね。もちろん、毎日大変ではあったのですが、蜷川さんも毎日明るかったし、辛いと言う人がまったくいなくて、その楽しい雰囲気に助けられました。美しく飾られた派手なセットに囲まれていると、気持ちも明るくなるんだなと思いました。

──カナコのメイドの衣装はとてもお似合いでしたが、楽しめましたか?
実は、あれはコルセットがとてもキツイんです。なので、あまり楽しむという感じではありませんでした(笑)。でも、ああいう衣装は今後も着る機会はないと思うので、良い機会をいただけたかなと思っています。

──蜷川映画の魅力とは?
色彩がなによりも特徴的ですよね。そこにあるものが、嘘がなく存在している感じというか。『Diner ダイナー』は、いままでの蜷川さんの作品とはちょっと違っているなと感じましたね。前作は女性が主役で、女同士の物語だったりが前面に出てきていたのですが、この作品は藤原さんが主役で、カナコという女性像も今までの強い女性のキャラクターとは違います。蜷川さんも新しい表現を試みているように、ひとりの蜷川ファンとして思いました。

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玉城ティナ(たましろ・ティナ)

1997年10月8日生まれ、沖縄県出身。講談社主催の「ミスiD2013」で初代グランプリに輝き、14歳で「ViVi」の最年少専属モデルとなる。映画デビュー作は『天の茶助』(15年)。『わたしに××しなさい!』(18年)で初主演を飾る。主な出演作に、『オオカミ少女と黒王子』(16年)、『貞子vs伽椰子』(16年)、『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』(16年)、『暗黒女子』(17年)、『PとJK』(17年)、『ういらぶ。』(18年)、『チワワちゃん』(19年)、公開待機作に『地獄少女』(19年)がある。

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『Diner ダイナー』

ようこそ、殺し屋専用のダイナー<食堂>へ
そこは、命がゴミのように扱われる、殺し屋専用の食堂ダイナー<食堂>。店主は、元殺し屋で天才シェフのボンベロ。
「俺は、ここの王だ。砂糖の一粒まで俺に従う。」日給30万の怪しいアルバイトに手を出したオオバカナコは、ウェイトレスとしてそこに売られた。次々と店にやってくる殺し屋たち。オーダーは極上の料理か、殺し合いか…店主、ウェイトレス、殺し屋たち。新たな殺し合いが今、始まる──!

出演/藤原竜也、玉城ティナ、窪田正孝、本郷奏多、武田真治、斎藤工、佐藤江梨子、金子ノブアキ、小栗旬、土屋アンナ、真矢ミキ、奥田瑛二
原作/平山夢明『ダイナー』(ポプラ社「ポプラ文庫」)
脚本/後藤ひろひと、杉山嘉一、蜷川実花
音楽/大沢伸一  
主題歌/DAOKO✕MIYAVI「千客万来」(ユニバーサル ミュージック)
監督/蜷川実花

公開/2019年7月5日(金)ダイナー開店!
配給/ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
©2019 「Diner ダイナー」製作委員会