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2019.01.21 12:36

ヒュー・ジャックマン登壇!『フロントランナー』来日記者会見レポート

  • Fan's Voice Staff

アメリカ大統領選史上最大のスキャンダルを描く『フロントランナー』の日本公開(2月1日)に先立ち、主演、プロデュースを手がけるヒュー・ジャックマンが来日、都内で記者会見が開催されました。

 

 

実話に基づく政治サスペンス『フロントランナー』の舞台は、1988年の米国大統領選挙。コロラド州選出のゲイリー・ハート(ヒュー・ジャックマン)は、史上最年少にして最有力候補《フロントランナー》に躍り出る。知性とカリスマ性を兼ね備えた彼は、ジョン・F・ケネディの再来として大衆に愛され、当選は確実視されていた。しかし、マイアミ・ヘラルド紙の記者が掴んだ“ある疑惑”が一斉に報じられると事態は一変。勝利を目前にして、ハートの築き上げた輝ける未来は一気呵成に崩れ去り、一つの決断を下す時が訪れる──。

 

あの日、一体何が起きたのか。選挙キャンペーンスタッフ、報道の信念をもったジャーナリスト、トクダネが欲しい記者、ハートの妻と娘、それぞれの視点で描かれるドラマは、圧倒的なスピード感と臨場感で、観客をまるで自分がその中の一員であるかのように引き込みます。

 

主演を務めたのは『グレイテスト・ショーマン』、『LOGAN/ローガン』での熱演が記憶に新しいヒュー・ジャックマンは、圧倒的カリスマ性を誇る若き天才政治家ゲイリー・ハートを演じるにあたり、彼に関する膨大な資料を読み込み、ゲイリー本人とも対面するなど、これまでとは大きく異なる役柄への新たな挑戦に、ヒューは激しい情熱とエネルギーを注ぎ込みました。

 

公開に先立ち、ヒュー・ジャックマンが3年連続となる来日を果たし、都内で記者会見に応じました。

 

 

ステージに登場したジャックマンは、「おはようございます。東京にまた来られて嬉しいです。今回は『フロントランナー』という作品でここに来れたのを誇りに思います。監督のジェイソン・ライトマンはみなさんよくご存知だと思います。ぜひ皆さんにご覧いただいて、楽しんで、そして様々な今日に”必要な”議論が生まれることを願っています」と挨拶。続いて記者からの質疑応答が始まりました。

 

 

Q この作品は群像劇であり、ここ数作のあなたのイメージと全く違う役だったりしますが、今回の役をやろうと思った最大の決めてを教えてください。

ジャックマン「2つ理由があります。ジェイソン・ライトマンが監督だということ。『JUNO/ジュノ』、『マイレージ、マイライフ』、『サンキュー・スモーキング』など、彼の映画が大好きです。彼が演出するキャラクターは白黒はっきりせず人間的で、いろいろな異なった作品にチャレンジしながらもどれも深く考えさせるものです。

 

2つ目の理由としては、今作のストーリーに引き込まれました。次期大統領と思われた男性が、3週間後、選挙戦から永久に去るわけです。この映画ではこの3週間だけを描いていますが、おっしゃる通り、私のこれまでの役と全く違った役です。非常に謎めいた、知性のある、私とは全く違う人物です(笑)ので、この役は、素晴らしい機会で、挑戦でした。

 

この物語は、アメリカに限らず、世界中の政治システムについて、私にたくさんの問いを投げかけてくれました。またこの作品は、答えを出していないところが気に入りました。ただ答えが欲しい人には、この映画は向いていないかも知れません。これは観客にオープンに問いかける映画です。誰の視点で観るか、そこから何を導きだすかは、観客次第なのです。

 

私は21歳で大学を卒業しましたが、その時の専攻はジャーナリズムでしたので、皆さん(=会場の記者)の席にいるかと思っていましたよ。そのため、ジャーナリズムには常に興味があります。1987年のこの事件は、政治家(公職の人)とジャーナリストの関係を変えてしまった、ターニングポイントだったと思います。なぜ今こういう時代になったかを知るのには、こうした過去の出来事が参考になります。ジャーナリストが記者会見の席で”あなたは不倫をしていますか”と尋ねるたり、3人のジャーナリストが待ち伏せして、朝2時に路地裏で次期アメリカ大統領に質問することなんて、それまでは絶対にありえなかった。そういうことがはじめて起きた時代です」

 

 

Q この出来事を通じてゲイリー・ハートが得たものがあるとすればなんでしょう?

ジャックマン「人生最悪の3週間が映画化されることは非常に不安なことだと、ゲイリーから直接言われました。しかし、上院議員を長く務めた彼は、その後も様々な形で世に貢献してきました。最近彼は結婚61周年を祝ったところで、妻との仲はまだ続いています。1987年、大統領予備選から辞退したのは、家族を守るためでした。そしてその後も彼は実際に守っているわけです。また彼は、選挙制度の”神聖さ”も守りたかったのです。もし彼が自分の行為を認めれば、彼を政治的に救う道があると彼のチームは言いましたが、その代償はゲイリーにとって大きすぎたのです。ですが、彼の行動に関わらず、結局そうした変化は起きてしまったと歴史は示すでしょう。政治家の人格とプレスによる侵害の関係は、変わってしまう運命にあったと思います。自分の信念を守ったということで彼にとってある程度の利点もあったでしょうが、基本的には彼にとって辛い時期だったと思います。

 

Q ゲイリー・ハートを演じる上で膨大なリサーチをしたと思いますが、ゲイリーが国民の心を掴んだ一番な理由はなんだと思いますか?

「私にとって、実在する存命の人物を演じるのは今回が初めてでした。自分のストーリーというのは、誰にとっても人生で最も価値のあるものだと思います。今回は他人が彼のストーリーを語るわけですから、非常に責任を感じました。

 

 

ゲイリーは理想主義者で、若者をインスパイアする存在でした。1987年、そして同じく彼が出馬した1984年、多くの若本は、彼をJFKのような政治家として見ていました。本当に変革をもたらすことができる政治家だと。

 

ゲイリー自身も“私の本当の能力とは、10年、15年、20先を先を見ること”と言っていましたが、いくつか例をあげましょう。

 

彼はスティーブ・ジョブズとガレージでランチをとり、ワシントンDCに戻って、アメリカの教育システムは、工場生産のためのものから、情報と科学を基本としたものに変わらなければならない、全ての教室にコンピューターを導入しようと主張しました。1981年のことです。また1983年には、アメリカは石油にこだわりすぎているので、中東で戦争が起きかねないと彼は忠告しました。1984年、レーガンがスター・ウォーズ計画を進めようとしている中ゴルバチョフと会ったゲイリーは、冷戦は既に終わっていて、中東での過激派の勃興が懸念されると話していました。さらに1999年、2000年頃にクリントン政権に彼が提出したレポートでは、航空機を使ったテロ襲撃を警告していました。

 

大統領であるかは関係なく、このように未来を予測できるリーダーの声が政治の世界であがることに、当時の人々は彼を愛し、今でも彼が愛される理由です。彼は若者に未来を見せることで、インスピレーションを与えるのです」

 

 

Q SNSの登場によりジャーナリズムはどのように変わったのでしょうか?ゲイリーがいま政治家だったら、SNSをどのように活用するのでしょうか?

ジャックマン「とてもいい質問ですね。アメリカのジャーナリスト、ジョージ・ステファノプロスはクリントンに最も近いアドバイザーだったのですが、彼はゲイリー・ハートの状況を見て、あらゆる変化のはじまりだったと言っています。プレスがあらゆる情報をアクセスできるようになり政治家は、思想や計画を持ったリーダーなだけではなく、彼らは”サックスを吹いて”人から好かれるような人物、共感される人物でなかればならなくなりました。ジョージは、全てがリアルタイムで発生していて、変化のスピードが早すぎて自分ですら追いつけないと言っています。

 

政治の世界では、マーケティングチームによりCMやスローガンは巧みに作られていますが、実際の選挙運動は乱雑なもので、ものすごい速さで物事が起きていることから、急かされた判断を即座にしなければなりません。政治家にとって、非常に大変な時代になってきたと思います。ジャーナリストにとっても、熟考したり振り返ったり時間がもはやありません。1987年だったら締切は夜11時で、1日かけて書くことができましたが、今は即出ししなければなりません。本当に難しいことだと思います。私がジャーナリストの道に進まなかったのは、自分には力不足だと思ったからです。私が卒業した1991年以来、ジャーナリストとして稼いでいくにはどんどん難しい世界になっていっていると思います。経験が必ずしも決め手となるわけではなく、誰でもブログを書くことができます。ですので、ジャーナリストにものすごく尊敬の念を持っています。彼らがクオリティの高い仕事をするのは、時間と金銭的理由でますます難しくなっていますから。

 

 

それから、ゲイリーはあまりSNSを気に入らないと思います。ある程度は受け入れないといけないと思いますがね。

 

ゲイリーの選挙スタッフの一人が言ったことを覚えています。ある時選挙チームはXをやろうと口を揃えて言っていましたが、ゲイリーはミーティングを中断し、『Xは今日の私たちにとって政治的に有利に働くかもしれませんが、我々はホワイトハウスに8年いる予定です。私のあらゆる発言、政策は、今後8年間あらゆる国々にとって良いものでなければなりません。ポイント稼ぎのため、その場の議論に勝つための発言は慎みなさい。8年間各国を相手をしなければならないのですから。その発言がどんな結果をもたらすか、注意するように』。これは、リーダー的発言だと思います。選挙に勝つことではなく、本当に良いことをしようとしている人物です」

 

 

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『フロントランナー』(原題:The Front Runner)

監督/ジェイソン・ライトマン
脚本/マット・バイ&ジェイ・カーソン&ジェイソン・ライトマン
原作/マット・バイ著「All the Truth is Out」
キャスト/ヒュー・ジャックマン、ヴェラ・ファーミガ、J.K.シモンズ、アルフレッド・モリーナ
全米公開/2018年11月6日(限定公開)/11月21日(ワイド公開)

 

日本公開/2019年2月1日(金)全国ロードショー
配給/ソニー・ピクチャーズ
公式サイト