Column

2018.11.09 4:00

【来日インタビュー】ラミ・マレックらクイーンを演じたキャストが映画『ボヘミアン・ラプソディ』の製作の裏側を語る

  • Mitsuo

英国の伝説的ロックバンド、Queen(クイーン)のリード・ヴォーカル、フレディ・マーキュリーをテーマにした映画『ボヘミアン・ラプソディ』。

すでに英米を中心に世界で大ヒットしている本作が11月9日(金)に日本公開されるにあたり、バンドメンバーを演じた3人のキャストが来日しました。

左より)ラミ・マレック(フレディ・マーキュリー役)、ジョー・マッゼロ(ジョン・ディーコン役)、グウィリム・リー(ブライアン・メイ役)

フレディ・マーキュリー役を務めたラミ・マレック、ギターのブライアン・メイ役のグウィリム・リー、そしてベースのジョン・ディーコンを演じたジョー・マッゼロの3人は、11月7日にジャパンプレミアに登壇、公開を待ちきれない日本のファンの歓待を受けました。ドラムのロジャー・テイラーを演じたベン・ハーディは残念ながら新作の撮影の都合上、急遽来日がキャンセルとなりました。

翌8日に3人は「ボヘミアン・ラプソディ」バスを前にしたオープンエアでの記者会見に続き、インタビューに応じてくれました。

──今作では、ロックスターとしてパフォーマンスする経験をしたわけですが、通常の芝居との違いはありましたか?
マレック 演技することが本当に大好きです。恍惚的な体験ですからね。フレディ・マーキュリーを演じるというのは、説明できる言葉が見つからない、究極的なものでした。俳優とロックスターとの融合は、これまでにないほどのアドレナリン満点の感じでした。ロックスターがライブの後にパーティーをする必要がある理由が、わかり始めた気がします。

マッゼロ 素晴らしい体験でした。面白いことに、一時は僕たちは映画を作っているということを忘れてしまっていたんじゃないかな。撮影は、まず「ライヴ・エイド」の場面から入ったので、最初の8〜9日はずっとライブシーンを撮っていました。その後になって、会話などが出てくるいわゆる普通の演技のシーンを撮ったのですが、(ミュージシャンと俳優との)2つの仕事を一度にやっていた感じがしました。けれど、これこそがまさに演じるってこと。自分が夢としてできなかったことを、役者としてできるようになるということ。自分はロックスターになるだけの才能はありませんが、演じることを通じて、それがどんな経験なのか知ることができます。特にライヴ・エイドで「レディオ・ガ・ガ」を演奏しているときは、他のメンバーの動きを見ていて非常の感極まってしまいました。(本物の)ロジャー・テイラーとブライアン・メイも現場にいたのですが、彼らが自分たちの携帯で僕たちの動画を撮っていたんです。彼らがまるで僕らのファンになっていたような、不思議な気持ちがしました。こうしたことのすべてを通じて、今作に携われたことは非常に特別で素晴らしいことだったと感じます。

リー ほぼ同感です。僕はいま30代ですが、ロックスターになるにはもう遅い。ですが、今回のようにロックスターのふりをする機会があったことは、スリリングで特別なものでした。有名なライブを撮影で再現した時は、その場にいるだけで鳥肌が立つことが何度もありました。

──SNS上で、クイーンのファンから熱いリプライやコメントがあったそうですね。
マッゼロ ひっきりなしに届きますね。よくあるのが、「ベン・ハーディにカッコいいと伝えて」というリクエストなのですが(笑)、ほとんど返答していません。僕宛のものに重点を置くようにしています。

リー 具体例はありませんが、支持してくれるコメントが多数で、本当に嬉しい限りです。クイーンファンが納得できるものにするよう努力する責任を私たちは感じていたのですが、いわば”家族”であるファンに完全に受け入れられているという気持ちです。

マッゼロ 南米からたくさんのメッセージをもらいます。スペイン語でなにか発信して欲しいと言われたり、僕のことは「ジョン・ディーコン・フェイク」と呼ばれたりします。

マレック これからはそう呼ぼうかな(笑)。

マッゼロ それは良い意味で、愛情がこめられたコメントです。意地悪だったり失礼なものはありません。みんな好意的で、正しいアクセントになっていたとか、ジョンの話し方の通りだったとか、動きもきちんとできていた、とか。実際にジョンと会ったことがあるかもよく聞かれるのですが、残念ながらお会いすることはできませんでした。ジョンの息子2人には会ったことがあるので、こうした話を共有しました。もしインスタグラムでコメントいただければ、なるべく返すようにしていますよ。

マレック 僕はあまりSNSをしません。でも、いま僕はクイーンの大ファンになったし、何百万人いるファンの一員になったと思っています。フレディにもクイーンにも恋に落ちて、撮影が終わった後も、ずっとクイーンの曲を聴き続けています。リピート設定で。僕がファンになった人はもう一人いて、フレディの妹のカシミラです。ロンドン・プレミアの後、彼女とは1時間半ほど一緒に時間を過ごしました。映画の完成までやり遂げ、それから6,500人の観客と一緒に映画を観た後すぐに、彼女と時間を過ごすことができたのは、夢のようなことでした。彼女は、僕が次にロンドンに行った時は一緒にお茶をしたい、今後は定期的に会うようにしましょう、と言ってくれたんです。”デート”ではなく、お茶や夕飯を交えた”ミーティング”で、互いの近況を話し関係を保つことになりました。彼女にこうして受け入れられることは大変達成感のある素晴らしいことで、非常に嬉しく、また誇りに思います。

──今作に限らず、チームで作品に向き合うときに、俳優として大切にしていることは?
リー 同じシーンにいる他の人に気を使うことですかね。自分だけが孤立して、単独で演技することはできません。場面を共にする他の人が大事です。これはバンドでも同じことだと思います。コラボレーションから生まれるアンサンブルで一緒になにを創り出せるか、にすべてがかかっているのです。自分ひとりで済む話ではありません。他の人が肝なのです。

マレック 僕が気に入っているシーンは、脚本にはなかった部分です。ライヴ・エイドのシーンの撮影を初めに行ったことで、その後の僕たちはお互いが磁石のように引かれ合い、家族となりました。日本に来て…(テーブルにあった冊子を手にとって)この写真から目が離せないんです。絶対に滞在中に”これ”をやります。とても興奮しています!

ラミが手にとった「MUSIC LIFE 2018冬号」表紙写真撮影:長谷部宏 © SHINKO MUSIC ENTERTAINMENT CO., LTD.

マッゼロ 僕は白いスーツを買いに行く!

マレック (自身の携帯で昨晩の夕食の写真を見せながら)この写真はね……昨日の夜の……これが僕たちです。一緒に時間を過ごすのが本当に好きで、この友情は撮影現場のあらゆる瞬間に影響を与えました。もしうまくいかないことがあれば、みんなで正すようにしましたし、もし誰かがカメラから十分に注目されていなかったら、必ず…(マッゼロの方を向いて)努力はしたよね…(一同笑い)。

僕にとって最高の瞬間、そして最も自然に笑いが起きたのは、シーンの始まりや終わりで、脚本にないことを即興で言っている時でした。例えば、アメリカで僕がジミー・ヘンドリックスの白いレザージャケットを着て出てくるシーンで、ブライアンが「怒ったトカゲみたいだね」と言うところ。これは脚本にはないグウィリムのアドリブで、とても面白くて大笑いした瞬間でした。ジョーの会話の多くも、彼が自分で考えた言葉です。我々の間にあるケミストリーのおかげで、このようなことを心置きなく自由に行うことができました。他の映画では、こんなに率直でカジュアルでいることは躊躇することが普通だと思います。

マッゼロ 僕は子どもの頃から役者をやっていて…、(※1993年『ジュラシック・パーク』ハモンドの孫ティム役など)

マレック そうなんですか?(一同笑い)

マッゼロ これが経歴書です(紙を差し出すジェスチャー)。オーディションに行く時にいつも父から言われた言葉があって、「リアルにやれ」。これまでの自分の俳優キャリアの中で、ずっとモットーになっています。演技のやり方、感情の表し方、反応の仕方などで疑問に思った時は、いつも「リアルにやれ」と自分に言い聞かせてきました。これさえ忘れなければ、観客に共感してもらえる、誠実な演技ができると思います。

マレック 「リアルにやれ」か…。

マッゼロ 君へのヒントだよ(笑)。

──ドラマ『ザ・パシフィック』でラミとジョーは既に共演していますが、今回の4人での共演は初めてでした。自分たちが本当にファミリーだなと思った瞬間があれば教えてください。
マッゼロ
 僕たちは瞬時に仲良くなったんです。ラミとは友だちになって11年が経ちますが、他2人とも、気が合うことがすぐにわかりました。それでも、バンドとして本当に信頼関係が築けたと感じる瞬間がありました。僕たちは実際に楽器も練習して、撮影でも”演奏”していたわけですが、別のプレイバック音源があって、僕たちが弾き間違えても大丈夫なようになっていました。ですが、「地獄へ道づれ」を作っているシーンを撮影する日、音楽ディレクターが僕のところにやってきて、「今日はライブで演奏して」と言ってきたのです。ジョンが曲を作っている場面なので、セリフに合わせて音を止めないといけなかったのでね。不安に思いましたが、「大丈夫、きっとできる」と自分に言い聞かせ、徐々に自信を持つようにしました。そうするとグウィリムが「自分も演奏したい」と言い出して、ベンは撮影でいつも実際にドラムを叩いていましたし、ラミも僕のところに来て「自分はどのタイミングで歌い始めればいいの」と聞いてきました。僕は「君のキッカケで行くから」と返したのですが、この瞬間、我々は「ワオ、僕らはバンドなんだ。バンドみたいな話し方をしている」という実感が湧きました。自分が弾き始めて、リードシンガーが入って、そこから曲が続いて…という具合にね。僕たちにとってはそれまでの努力の集大成となる、非常に素晴らしい瞬間でした。本当に一緒に、互いを信用して、バンドとして一緒に曲を作り上げるんだと感じが突如湧いてきました。こうして一緒に演奏できるんだ、自分たちの努力が報われたんだと実感できたことは、今回の経験をさらに特別なものにしてくれました。

マレック 10年前、『ザ・パシフィック』というTVシリーズでジョーと共演しました。その時はジョーがリードで、僕は非常に多くのことを彼から学びました。ジョーは自分からは言わないかもしれませんが、彼は芸歴が長いんですよ(笑)。僕のリーダーシップスキルは、何年も前にジョーから学んだ部分が大きいです。僕たちは長い間ずっと友だちで、彼が今回キャストに決まった時、僕にテキストメッセージで「君のサポート役になれるのは本当にワクワクするよ」と送ってくれて…。これがすべてでした。今こうして話すだけでも感情がこみ上げてきます。(ラミがジョーの顔、目の横にキス)

マッゼロ 写真撮っちゃだめだよ(笑)。

リー 良い時はたくさんあったと思います。でも、家族というのは、良い時も悪い時も一つであるものだと思います。我々の絆を最も実感したのは、困難な状況で互いに助け合っていた時でした。

──ブライアン・メイとロジャー・テイラーは、フレディをどのような人物だと説明していましたか?
マレック 二人が口を揃えて僕に言ったことの一つに、フレディは素晴らしいピースメーカーだったということがあります。彼は終わりを見据え、最大限に時間を活用し、できる限り最高の音楽を、一緒に共同で作り上げようとしていました。またブライアンが話してくれたことの一つが本当に特別で、フレディは病であることがわかった後、身体がひどい状態でありながらも、曲を作ろうとしていたということ。ブライアンやロジャーとは離れた場所にいましたが、フレディは「なんでもいいから曲を作ってくれれば、なにか歌詞をつけるよ。僕も曲を作って歌と一緒に送るから」と言っていたと。彼らはもうスタジオで一緒に作業することができなかったのですね。フレディが情熱的なのは知っていましたが、これは別次元の話に思えました。

リー フレディの話をしていたときの二人からは、穏やかで澄み切ったような感情が垣間見られました。彼らがどんなにフレディのことを気にかけていたかが伝わってきて…、深い愛です。本当に深い愛。

──ありがとうございました!

ジョー曰く、日本には11日(日)まで滞在予定で、日本らしい文化を堪能したいとのこと。インタビュー中に話していた、東京タワーの麓での写真撮影は即実践したようで、早速ジョーグウィリムのインスタグラムに写真が掲載されました!

『ボヘミアン・ラプソディ』は11月9日(金)全国公開。

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『ボヘミアン・ラプソディ』(原題:Bohemian Rhapsody)

監督/ブライアン・シンガー
製作/グレアム・キング、ジム・ビーチ
音楽総指揮/ブライアン・メイ(クイーン/ギター)、ロジャー・テイラー(クイーン/ドラマー)
出演/ラミ・マレック、ジョセフ・マッゼロ、ベン・ハーディ、グウィリム・リー、ルーシー・ボイントン、マイク・マイヤーズ、アレン・リーチ
全米公開/2018年11月2日

日本公開/2018年11月9日(金) 全国ロードショー
配給/20世紀フォックス映画
© 2018 Twentieth Century Fox