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2018.09.03 12:00

【レポート】『レディ・プレイヤー1』の高画質・高音質な「4K ULTRA HD」版をDolby Visionで体験!

  • ichigoma

映画館で公開された後、暫くの期間を置いてから発売されるDVDやBlu-Ray。パッケージデザインやブックレット等の特典内容でどの円盤を買おうかと悩まれる方も多いのではないでしょうか。

その規格の一つとして近年よく見かける「4K ULTRA HD」や「UHD」といった文字。円盤発売時のプレミアムボックス的な位置付けで発売されたりしています。4Kテレビは家電量販店でよく見かけるものの、そんなに「うるとらえいちでぃー」ってのはBlu-Rayと違うものなんでしょうか?

そんなことを常々思っていたところ、この度8月22日に発売された『レディ・プレイヤー1』4K ULTRA HD(Dolby Vision)版の体験上映会がドルビージャパン株式会社の本社で開催されるとのことで、ホイホイと行って参りました。

Dolby AtmosじゃなくてDolby Vision?と思われる方もいるかと思いますが、実はこのDolby Visionって文字、『レディ・プレイヤー1』のエンドロールにも「Dolby Atmos+Vision」とちゃんとクレジットされているんですよね。映画館で見た時からちょっと気になっていたワードでしたが、百聞は一見にしかず。見せてもらおうじゃないですか、4K ULTRA HDとDolby Visionの実力ってやつを!

そもそも「4K ULTRA HD」って何なの?

前述したように「UHD」とも略される「4K ULTRA HD」。簡単に言うとBlu-Ray上位規格で、画質が更に向上したものと解釈してOKです。4K対応のテレビは、画素数が一般的なテレビ(フルハイビジョン)よりも約4倍。そして4K対応の「4K ULTRA HD」も同様に従来のBlu-Rayよりも約4倍になっています。

更に画面の細やかさだけでなく画面の輝度。これまではブラウン管テレビ(!?)の性能を考慮して「100nits(ニッツ)」と言う輝度を基準に映像が製作されていたものの、ブラウン管から液晶、そして有機ELとテレビが進化をとげるにあたり、表現可能な画面の明るさも200nitsから300nits、500nitsと改善されてきました。

「だったら映像自体も100nits基準ではなく、もっと輝度を上げた方がクリエイター側の表現の幅が広がるんじゃない?」となるのは当然の流れで、じゃあどれ位の輝度や表現域を規格にするかを定めるかに当たって出てきたのが「HDR」(ハイ・ダイナミック・レンジ)という方式です。この方式には現在「Dolby Vision」「HDR10」「HLG」といった三大規格が存在し、今回体験してきたのはこの内の「Dolby Vision」になります。

Dolby Visionでは「人間の目が動画として視認出来るのは最大20000nitsだけど、10000nitsくらい見えていれば殆どの方が満足できる」という調査結果に基づき、最大輝度を10000nitsを基準としているもの。しかしながらこの10000nitsに対応したテレビは発売されていないそうで、その恩恵を家庭で実感するにはもうちょっと時間はかかりそうです。国内で初めて白黒テレビが発売されたのが1950年代、薄型テレビが出回り始めたのが2000年頃、そして今回の体験会で使用された4Kテレビが公表値ではないものの500nitsくらいと考えると、まだまだ2020年の東京オリンピックには間に合わなさそう。ぐすん。

本日の体験会では、音響も映画館で御馴染みの「Dolby Atmos」にて上映。以前『ニンジャバットマン』時空震サウンド聴き比べレポでも触れましたが、どの方向から音を出すのかを、前後左右だけではなく、右の後方や天井左側と言うように映像媒体側で細かく指定が出来るため、よりリアルな立体音響を楽しめるという代物です。まぁ物理的にもそれなりの数のスピーカーを揃えなきゃいけないワケですけどね。

以上でウンチクなお話は終了。掘り下げると小難しい話が沢山出てくるジャンルの話ゆえ、かいつまみでの説明をご容赦ください。

体験会に登場した機材達

ドルビージャパン株式会社に到着したところで案内されたのが、それ専用の体験ルーム。既に天井や壁面にスピーカーが仕込まれているガチの音響ルームです。

さて、高画質・高音質な「4K ULTRA HD」をDolby Visionで体験するには、もちろん、その規格に対応したオーディオ機器が必要です。そんなワケで、ドルビージャパンさんが今回の体験会で利用されたのはこちらの機材です。

▼4K ULTRA HD ディスクプレーヤー
UDP-203(OPPO製)
オープン価格、メーカーオンライン販売サイト価格 85,000円

DVDにはDVDプレイヤー、Blu-rayにはBlu-rayプレイヤーと言ったように、4K ULTRA HDも専用の再生機器が必要となります。これがないとただの平たい円盤。

▼4K対応有機ELテレビ(55インチ)
OLED55C7P(LG電子製)2017年モデル
オープン価格、Amazon価格 164,400円

プレイヤーとは違い既存の2Kテレビでも映像は映らなくはないですが、折角の美麗な4K映像を楽しむのなら、対応しているテレビで見るのがベストでしょう。

▼AVサラウンドアンプ
AVC-X8500H(DENON製)
メーカー希望小売価格 480,000円

室内の各位置にスピーカーをホームシアターを組む際に必要となる機材。このAVアンプに前方後方に左右に天井に配置したスピーカーを繋げて音を出します。音響の総司令官的ポジ。最大スピーカー13個、サブウーファー2個まで接続可能(13.2ch)

あとは室内に設置・埋め込みされているスピーカー群ですね。こちらは一部ドルビー社独自開発につき値段設定がない。

ちなみに、スピーカー抜きでのお値段、しめて72万9400円。こ、こりゃあ平民には手が出しにくいところ。実は「4K ULTRA HD」自体は次世代ゲーム機のXbox One S でも再生可能で、こちらだと3万円程度で入手可能ではあるんですが、うむむ。

Blu-Rayでもそうでしたが、規格自体がメジャーになってくれば再生プレイヤーの価格も下がってきますし、テレビも8K対応テレビが出回り始めてるので、4K対応テレビも比例してお値打ちになってくるのを祈りつつ。

いざ鑑賞!

まずはドルビージャパンさんが用意しているDolby Visionのデモ用映像「Core Universe」を鑑賞。漆黒の画面に赤・青・緑の光の三原色で作られたCGが色鮮やかなに表示され、まずは色の鮮明さに驚かされます。

そして右から左にとシアタールームを大きく移動していく立体音響と、迫力よりも透明感を感じるクリアなサウンド。

音響も凄いですが映像の美しさが本当に際立っています。黒背景で各色のグラデーションを表現させた時の色の豊富さと言いますか、深みのある色合いに素直に感銘を受けました。ってか、Dolby Visionスゴいです。この画質で『レディ・プレイヤー1』を観られるの、ちょっとヤバいんじゃなんいですかね?

続けてお待ちかねの『レディ・プレイヤー1』体験!映画全編を流すのではなく、Dolby Visionの表現力をよりよく実感できる、ドルビージャパンさん選りすぐりのチャプターを見せていただきました。

最初は配給ロゴから第1ゲームのシーン。現実世界と仮想世界「OASIS」の両方の世界観が紹介され、スピード感溢れるカーレースも見所のチャプターですが、OASIS内で使われているヌルヌルっとした3DCGの表面の質感・テクスチャーと、現実世界のあっさり質感の対比が非常に分かりやすいです。

映画館で観た時もこの違いは割と分かりやすい部分でしたが、OASISの世界が据置型の次世代ゲーム機で見る3D感と似通ったものがあり、レースシーンについては作品を知らない人にこの部分を見せて「ゲームと思うか映画と思うか」を尋ねたとしたら、意見が割れそうな画質です。

次に鑑賞したのは、主人公パーシヴァルとヒロインのアルテミスのダンスシーン。なんと言っても、華麗に舞い踊るアルテミスの動きに合わせて軌跡を描く真っ赤なドレスの裾表現でしょう。

映画館でIMAXで観た時もこのシーンは印象的でしたが、暗闇の中でネオンカラーのように光を残す、深い赤色と背景との境界線。鮮明な赤色の奥から背景の暗闇が透けて見える色合いやグラデーションの表現は、正直IMAX画質よりもこっちの方が好みです。所々アップで写る、スポットライトを浴びてるアルテミスの肌のテクスチャー感、瞳の色合いなんかも非常に綺麗です。全国のアルテミス推しの皆様にはご満足いただける内容となっています。

続いてのシーンは、第2ゲームのアレ。本編をご覧になった方なら分かると思いますが、最上級の高画質キャラ達が敢えて低画質な世界で表現される一幕の流れの辺りです。ここでは今までのヌルヌル画質がザラザラ画質に格下げされてしまっているのですが、それでも画面に観やすさを感じるのはやはり輝度、明るさ故かなと感じました。明るいだけでなくコントラストもちゃんと調整されているのでメリハリがあるといいますか。また、機械部分の多いエイチのボディや攻略時にもらえる鍵の金属表現も特筆したく、特に鍵表面に施された鏡面反射が、これぞ光り輝くお宝!感が強いです。アルテミスさんが一人で奮闘するシーンなんて、引っこ抜く時の音がやけに生々しいですね。ふえぇぇ。

最後のシーンは、第3ゲーム、呪文もにゃもにゃから全員集合までの流れの辺り。呪文を唱えるとあら不思議な事が起きるワケですが、発動した時の波のように広がるうねうねとした光の輝き方や動き、完成した時の美しさはラストバトルに相応しいものでした。

全員集合の場である広大な大地や、作中の名シーンの一つでもあるパーシヴァルの長台詞に至るまでの現実世界とOASISの場面転換も、しっかり没入できる映像です。そして全員集合!これは一時停止しながら観るなら絶対に「4K ULTRA HD」が有利でしょう。と言うか他のシーンにも言える事ですが、『レディ・プレイヤー1』のように途中一時停止して確認したいシーンが多い作品は、画質が綺麗な環境で観るのが最強だと思います。

体験会の最中、チャプターを飛ばす時に場面がコマ停止で映る事が度々ありましたが、どのコマも綺麗で見やすく、Blu-Rayのそれよりも技術の高さを実感できました。動画も静画も美麗なDolby Vision最高かよ…!

映画館とは別ベクトルの映像体験・4K ULTRA HD(Dolby Vision)

ひとことで映画好きと言っても、私のように映画館で観るのがメインな方もいればレンタルで観る事が多い方、近年では動画配信サービスなんかで観ると言う方も増えてきました。

どれが良い、どれが悪いという話ではなく、映画に対して映像の迫力や音の臨場感を求めている解として映画館を選んでいるのですが、今回体験してきた『レディ・プレイヤー1』4K ULTRA HD(Dolby Vision)は、これだったらホームシアターでも観たいと思える映像でした。

というのも当たり前の話なのですが、映画館では白または銀色のスクリーンに映像を投影する関係上、明るい画面は明るく見えても全体的に明るくなりがちな事が多いです。かといって逆に暗い画面になると、今度は暗くなりすぎてしまい、作品によっては、なにをしているのかよく分からないといった状態もしばしばです。

一方でホームシアター、特に今回鑑賞した有機ELテレビでは、元が黒い画面を発光させて表現するため、背景色に依存する事がありません。特に「4K ULTRA HD」、Dolby Visionが強みとしている輝度がキーとなるシーン、つまり明るい所は明るく、暗い所は暗くと明確に表現する部分については、スクリーンでのそれよりも得手としてると思います。

音響についても映画館よりも小ぶりながら「Dolby Atmos」による立体音響がちゃんと効いていますし、これから映画を楽しむ環境の一つとして、選択肢に入れてみたいなぁと考えを改めました。

後は、そうですね、ホームシアターを整備できるだけの物件と費用ですかね!お、お、お客様の何処かに石油王の方とかいらっしゃいませんかー!?(笑)

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『レディ・プレイヤー1』(原題:Ready Player One)

さぁ、最高の初体験へ――。新世代 VR ワールド[オアシス]に仕掛けられた3つの謎を解け!
今から 27 年後の未来。経済が破綻を迎えた、荒廃した世界。人類はゴーグル1つですべての夢が実現する新世代のVRワールド[オアシス]に生きていた。 食べたり眠ったりトイレに行く以外は、すべてオアシスでやる。どんな夢も叶い、なりたい自分になれる場所。そこは現実では冴えない 17 歳のウェイドにとって、 唯一生きがいを感じる場所だった。 ある日、オアシスの天才創設者から全世界に遺言が配信される。“オアシスに眠る3つの謎を解いた者をこの世界の後継者にし、全財産 56 兆円を与える” 突然の宣告に世界中が湧き立ち、全人類の夢を懸けた壮大な争奪戦が始まった。ウェイドも仲間と共に参戦するが、世界を牛耳ろうとする巨大企業も出現し て…。仲間との友情、謎の美女アルテミスとの恋のゆくえ。想像を超えた戦いの先に勝利を手にするのは一体誰だ!

監督/スティーブン・スピルバーグ
脚本/ザック・ペン
原作/アーネスト・クライン著「ゲームウォーズ」(SB文庫)
キャスト/タイ・シェリダン、オリビア・クック、マーク・ライランス、サイモン・ペッグ、T・J・ミラー、ベン・メンデルソーン、森崎ウィン

2018年7月25日(水)デジタルセル先行配信開始
2018年8月22日(水)ブルーレイ&DVD 発売・レンタル開始/デジタルレンタル配信開始

■ブルーレイ&DVDセット(2枚組)¥3,990+税
■【初回仕様】ブルーレイ&DVDセット(2枚組/ブックレット付)¥4,990+税
■【初回仕様】3D&2Dブルーレイセット(2枚組/ブックレット付)¥6,990+税
■【数量限定生産】プレミアム・エディション<4K ULTRA HD&3D&2D&特典ブルーレイセット> (7,000セット限定/4枚組/ブックレット付) ¥9,990+税

発売・販売元/ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
公式サイト
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