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2018.03.20 18:35

特殊メイクで日本人初となるアカデミー賞受賞!辻一弘さん凱旋帰国会見

  • Hikaru Tadano

去る3月4日(LA現地時間)に開催された第90回アカデミー賞においてゲイリー・オールドマン主演、ジョー・ライト監督の『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』でアカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞で日本人として初のオスカーを手にした辻一弘さんが、オスカー像とともに凱旋帰国!記者会見が開催されました。

現在は、映画界を離れてLAを拠点に現代美術家として活動している辻さんですが、主演のゲイリー・オールドマンからの直々のオファーによって、ハリウッドへ復帰しました。

「ゲイリーと最初に知り合ったのは、2001年の『Planet of The Apes/猿の惑星』(ティム・バートン監督)の時、ゲイリーがセード将軍役にキャスティングされ、メイクテストまでしたけれど、結局降りた。2002年に僕が製作したポートレート作品を個人的に見て感動してくれ、いつか一緒に仕事をしたいと言ってくれた。その後、僕は2012年に映画界を離れたけれど、2016年に(ゲイリーから)メールで連絡があった。もし、僕がメイクをできるなら、(チャーチルの役を)引き受けるけど、じゃなかったら諦める。僕は、とりあえず考えさせてくれと答えた。2012年に映画界を離れると決心したので、簡単にそれを撤回することにはためらいがあった。けれど、ゲイリーとは仕事がしたいと思った。もともと師匠のディック・スミスのリンカーン元大統領の彫刻を見たことがきっかけでこの世界へ入った。これまで2度アカデミー賞にノミネートされたが、コメディとかでばかりだった。ようやくこの作品のような機会が回ってきた、しかも、ゲイリー本人がもってきてくれた話だということも嬉しかった。人生に一回あるかないかのチャンスだと思ったので引き受けることにした」と語りました。

そういうゲイリーとともにアカデミー賞を受賞したことがなによりも嬉しかったそう。

「まだ受賞する前に、この仕事でふたりともアカデミー賞とれたら、やっと本当の意味でリタイアできるねと話していた。BAFTA(英国アカデミー賞)、クリティックス・チョイスアワード、メイクアップ組合賞などほとんどアワードには一緒に出席していたので、ふたりで一緒に受賞できたのは嬉しかった。まだパーティで少し話しただけだけど、落ち着いたら、ゆっくり会うつもり」

「デザイン的にも素晴らしいプロポーション」というオスカー像は、仕事部屋の応接エリアに飾られる予定とか。

オスカーは、師匠であるディック・スミスも受賞していますが、これで辻さんも名実ともに特殊メイク界の頂点に立ったといえます。

「周りからは、映画メイクに関しての新しい基準を築いた。以前は、メイクに見えたけれど、(辻さんのメイクは)メイクに見えないとみんなに言われた。ディックには、もう彼を追い越したと言われていたけれど、彼が築いたものは独特のもの。どうやっても追い越せないキャリアだ」

18歳でこの世界に飛び込んで四半世紀以上。今は、辻さんがあこがれられる存在になりました。

「若い人によく言うのが、自分の心に聞いて、自分のやりたいことやること。他人の意見を聞くなといっている。親や兄弟や先生もアドバイスをくれるけど、自分の心につながっていることは、自分しかわからない。自分の好きなことをやることが一番大事。そして、始めたら10年は続ける。海外に住んでみることもいい。僕も映画をまず12年やった。何かを積み上げるのには、10年かかる。その後は、やりたいことはいろいろ繋がっていくようになる。まずは、自分のやりたいことを見極めるのが大事。自分を信じる。“自分を信じない”のが日本人の悪い癖。それは直したほうがいい」

受賞スピーチでは、猫にも謝辞を捧げていた辻さんですが、3匹の雄猫は最大の癒しの存在だそう。

「猫は、ストレスを解消してくれる大事な存在。これは人間じゃできない。猫のすごいところ。2008年から飼い始めたけれど、その前は犬を飼っていた。(『ウィンストン・チャーチル』のメイクアップチームは)3人とも猫を飼っていて、猫の存在は大きい」

今後は、現代美術家としての活動に戻る辻さんですがが、今回のように諸条件が揃えば、再び映画も手がける可能性もあるそうです。

「2020年頃に日本で個展をやろうと思っている。現在は、下調べなど準備に忙しく、早く帰らなければいけない」と、母国に凱旋するもトンボ帰りでゆっくりと過ごす時間はないそうですが、アート作品のエキジビションの開催も楽しみです。

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『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(原題:Darkest Hour)

「彼の決断が、歴史を変えた——。」
1940年、第二次世界大戦初期。ナチス・ドイツの勢力が拡大し、フランスは陥落間近、イギリスにも侵略の脅威が迫っていた。連合軍がダンケルクの海岸で窮地に追い込まれるなか、ヨーロッパの運命は、新たに就任したばかりの英国首相ウィンストン・チャーチルの手に委ねられた。嫌われ者の彼は政敵に追いつめられながら、究極の選択を迫られる。ヒトラーに屈するのか、あるいは闘うのか——。

「世界のCEOが選ぶ、最も尊敬するリーダー」(2013年PwCJAPAN調べ)に、スティーブ・ジョブズやガンジーを抑えて選ばれた伝説の政治家チャーチルは、最大の国難に直面したその時、いかにして人びとに勇気と希望を与えたのか?本作は、実話を基にチャーチルの首相就任からダンケルクの戦いまでの知られざる27日間を描く、感動の歴史エンターテインメント。

監督/ジョー・ライト
出演/ゲイリー・オールドマン、クリスティン・スコット・トーマス、リリー・ジェームズ、スティーヴン・ディレイン、ロナルド・ピックアップ、ベン・メンデルソーン
2017年/イギリス/125分
ユニバーサル作品

日本公開/2018年3月30日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
配給/ビターズ・エンド/パルコ
公式サイト

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