Column

2016.11.02 21:53

スタン・リーとは何者か?6つのポイントで分かるMarvelの父

  • Shink Kanda

日本初、12月2日から3日間に渡りいよいよ開催される東京コミコン。そのゲストとして、スタン・リーが来日することが発表されました。数々のMarvelヒーローを生み出したあの原作者が93歳で来日するというんですから「スタン・リーが来る!?」、「本当に!」とアメコミ、Marvelファンは騒然。

ところが映画ファンの一部からは「ああ、どのヒーロー映画にもたまに映ってるおじいちゃんでしょ?」「(同じくコミコンゲストの)ジェレミー・レナーは分かるけど、このお爺さんはどのヒーロー映画で演じてた人だっけ?」なんて声も聞こえ、映画ファン内においてはだいぶ、テンションにも差がある様子……。

そこで、東京コミコン、スタン・リー来日に備え、マーベルコミックの父、スタン・リーが誕生するまでを6つのポイントで解説します。

スタン・リー

Photo by Alberto E. Rodriguez/WireImage

Photo by Alberto E. Rodriguez/WireImage

1. 生まれはNY

1922年。アメリカはニューヨーク・マンハッタンに住むリーバー家に生まれたのが、スタンリー・マーティン・リーバー。後のスタン・リーです。自身がNYで生まれ育った所から数々のヒーローたちの活躍拠点もNYの設定になったんですね。

2. 作文が得意な俳優志望の少年

読書や映画鑑賞が大好きなスタンリーは自ら文章を書くようになります。作文コンテストに応募すれば何度も入賞。あんまり何度も入賞するので、後には失格になってしまったとか。これだけ文才があるのに本人は「俳優になりたい!」と演劇学校へ。後に数々の映画にカメオ出演しているのもこの頃の夢を叶えたいからかも?

3. 叔父さんの手伝いでアメコミ編集者に

スタンリーの叔父、マーティン・グッドマンはタイムリー・コミックスという出版社の社長でした。1939年、第二次世界大戦が始まり、余りにも人手が足らないというので、スタンリーは渋々、この叔父の依頼でタイムリー・コミックスに編集助手として手伝いに行く事に。
このタイムリー・コミックこそが後のマーベルコミックなんです。
そしてこの時に任された作品が「キャプテン・アメリカ」。若干17歳でキャプテン・アメリカの編集やストーリー執筆を任されていたというんですから驚きです。

4. 倒産寸前の出版社を救うヒーロー

もともと文才があるスタンリーですから、ヒーローものだけではなく、西部劇や恋愛ドラマやホラー等々様々なコミックの原作を任される様になります。一時期は、ひと月に80本以上の原案を抱えていたというからまさにアメコミ界の超人。しかしそれに反してコミックの売上は不振で、会社は倒産寸前…ここでスタンリー。「もう潮時だ。コミックの仕事は辞めよう」と決意します。ところが…

5. 「好きな事をやってみたら?」

この時妻から「どうせ辞めるんだったら、最後に好きな事をやりきってからにしたら?」と諭されたのです。「確かにその通りだ」と思い直し、ライバル社であるDCコミックスが売り出していたヒーローチーム〝ジャスティスリーグ〟に対抗して、自分の好きな要素を詰め込んだ新しいヒーローチームのコミックを世に送り出しました。この作品こそが「ファンタスティック・フォー」。これがたちまち大人気に!このヒットを受けて、倒産寸前だったはずの会社は持ち直し、「ファンタスティック・フォー」の続編はもちろんのこと、新しいヒーローのコミックの原作を!と次から次へとスタンリーの元に仕事が舞い込んで来ます。「ハルク」「マイティ・ソー」「スパイダーマン」「アイアンマン」と、今大人気のアベンジャーズのヒーローの面々が生み出されたのも、まさにこの頃だったのです。スタンリー、辞めないで良かった…

6. 「エクセルシオール!」

数々のヒーローを生み出していき、マーベル・コミックの父となったスタン・リー。自身が編集したコミックの後記はいつも「エクセルシオール!」というラテン語の言葉で締められていました。さらに上へ、という意味のこの言葉は、数々の新しいヒーローを創り出した彼にぴったりな言葉です。また、最近のとあるインタビューでは次のように語っていました。

「僕はずっと自分が楽しむために書いてきたんだよ!それが上手くいったんだ」

93歳になっても好きな事を楽しんで、上を目指しているスタン・リー。コミック、映画は勿論、2017年には、日本スタッフと共同制作のアニメ『THE REFLECTION』の配信も控えています。これからも更に上の、新しい世界を創り出し、我々を楽しませてくれるのに間違いありません。

エクセルシオール!