【レポート】オールデン・エアエンライク、ロン・ハワード監督登壇!『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』来日記者会見
- Takashi Fujii
6月29日(金)の日本公開を前に6月11日(月)、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』でハン・ソロ役を務めたオールデン・エアエンライクと監督ロン・ハワードの来日記者会見が行われました。
『スター・ウォーズ』屈指の人気キャラクターである、密輸屋のならず者にして、後に反乱軍の英雄ともなるハン・ソロ。彼はいかにして、チューバッカという相棒と出会い、銀河最速のポンコツ宇宙船のミレニアム・ファルコンに乗り、DL-44ブラスターを愛用することになったのか?そのオリジンが描かれるのが本作です。
映画史に残る名キャラクター、ハン・ソロの若き日を演じたのはオールデン・エアエンライク、そして製作途中から監督に就任し、見事に『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』を完成させたロン・ハワード監督は、ワールドプロモーションの最後の地となる日本で何を語ったのか、克明にレポートしたいと思います。
チューバッカのシリウーク語のコメントをオールデン・エアエンライクが映画さながらに通訳!
ステージには、オールデン・エアエンライク、そしてチューバッカが姿を現し、続いて、ロン・ハワード監督も登場!「この『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』とともに、大好きな日本に来日出来たことを誇らしく思っている」というロン・ハワード監督。前日は東京ドームで野球を観戦するなど、4年ぶりの来日をすでに楽しまれているようでした。
今回が初来日となり、東京に来られたことをとてもうれしく思っているというオールデン・エアエンライクは、街を散策していたそうです。
そしてチューバッカ!人間には唸り声に聞こえるウーキーの言語、シリウーク語であいさつをしました。
このチューバッカのコメントをすかさず通訳したのがオールデン・エアエンライク。「日本に来ることが出来てとてもワクワクしている。日本は大好きな国です。みなさんにお会い出来てとてもうれしく思っている。ちょっとフラッシュは多いけど、大丈夫」
さすが撮影でチューバッカと一緒だっただけあって、オールデン・エアエンライクはシリウーク語に堪能のよう……まるで映画さながらのワンシーンでした。
ジョージ・ルーカスからのアドバイスとは?
ロン・ハワード監督は、世界中で愛されているハン・ソロを描く上で意識した点について問いかけられると、「今回は自分にとってクリエイティブでワクワクする冒険だった」とまず語りました。「人間関係とアクションの2つを通して、若きハン・ソロが様々な試練を乗り越えることで、我々がよく知るハン・ソロになっていく過程を描いたカスダン親子(ローレンス、ジョナサン)による脚本を心から信じました。そしてここにいるオールデンが間違いなく素晴らしいハン・ソロを演じ上げてくれるだろうという確信がありました」
『スター・ウォーズ』の生みの親であり、ロン・ハワード監督の親友でもあるジョージ・ルーカスからのアドバイスは、「すべての『スター・ウォーズ』映画の持つ精神は、名誉や志といったものが核にある。日本の文化や黒澤映画からインスピレーションを与えられたその部分は、登場人物たちの行動によって、また彼らの精神によって表現されている」というもの。
そして、もうひとつは「年を重ねても自分たちの中にある子供の部分、また実際に今、12歳くらいの少年少女に、将来こんな冒険に出たいと夢を抱かせてくれる作品でなければならない」ということ。まさに『スター・ウォーズ』のエッセンスを教えてもらったそうです。
ハリソン・フォードからのお墨付きをもらった期待の新星エアエンライク
3,000人もの候補者の中からオーディションで選ばれ、ハン・ソロ役を演じることになったオールデン・エアエンライク。ハン・ソロ役に決まった後、3ヶ月間は箝口令がしかれたそうですが、解禁された時には周囲に衝撃を与え、圧倒されるほどの反応があったそうです!
「誰もが知るハン・ソロになるまでの過程を演じることが楽しくワクワクした」とその感動を語ったエアエンライクは、ハン・ソロを演じる上で意識したことについて「本作のハン・ソロは、理想主義者で夢を見る男であり、リアルな人物として演じることと、物語を通していずれ彼がおなじみのキャラクターになるという一貫性とのバランスを見出すことが重要だった」とコメント。
さらに今回の大役を演じるにあたり、「『スター・ウォーズ』であるからこそプレッシャーはより重くなるし、期待を受け、批判されることもあるが、しかしプレッシャーはどの作品に取り組む際にもあるもの。観客に楽しんでもらえるように仕事をすることを重視し、役に対して責任を持ち、とにかく最善を尽くすことで、毎日の新しい挑戦を楽しんできた」と語りました。
また、「CGが少ない作品だったので、本当にエイリアンやパペットが目の前にいて、爆発が実際にそこで起きた。ミレニアム・ファルコンの飛行シーンも通常はグリーンスクーンで撮るところを、ファルコンの前のスクリーンに宇宙を投影して撮影し、究極のディズニーランドのアトラクションのような経験をするなど、楽しみながら仕事をすることが出来た」と撮影時を振り返りました。
ハリソン・フォードとは、彼のプライベートジェットの格納庫で5機の飛行機に囲まれながら話をしたそうで、「ハリソン・フォードからは必要なことはすべて教えてもらった」とのこと。ハン・ソロ役の引継ぎは万全だったことが伺えますが、その内容は口外しないように言われているそうで、ハン・ソロを演じた者だけの秘伝だとか。
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』を鑑賞したフォードは、作品をとても気に入ってくれたと、彼からのお墨付きをもらったことをエアエンライクは明かしてくれました。
一方で、映画の見どころを質問されたチューバッカは、雄叫び(シリウーク語)をあげて答えましたが、「オールデンと仕事をしたこと」と、エアエンライクがすかさず通訳していました。
名匠ロン・ハワードが『ハン・ソロ』で学んだこととは?
ハワード監督は、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の製作途中に監督となったことについては「ひとつの挑戦であった」と語りました。「今までの自分の経験やフィルムメーカーとしての感性を、自分が今まで愛してきた『スター・ウォーズ』に応用出来ることにワクワクした。作業を始めて、いかに『スター・ウォーズ』が世界中で多くの人々を楽しませているか、その層の深さを感じた」といい、「『スター・ウォーズ』映画がこれだけ人々を楽しませているのは、想像力やハイテクを駆使した映画作り、ユーモア、感動と共感を感じられるテーマ性といったすべての要素がひとつになって、楽しいアクションアドベンチャー映画になった」と分析。「製作に関わっているすべての人が『スター・ウォーズ』に情熱を感じており、『スター・ウォーズ』ギャラクシーでまだまだやれることがあると模索している姿にも感動しました」
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』を監督することで学びがあり、成長することが出来たというロン・ハワード監督。この年齢(64歳)で成長出来たと言えることに本人も心から感謝しているということで、これだけの名監督でもこうした発言が出来ることに感銘を受けました。
黒澤明からの教えが、『ハン・ソロ』に活きる
以前『ウィロー』(88年)のプロモーションで来日した際にロン・ハワード監督とジョージ・ルーカスが、黒澤明監督と一緒に夕食をしたエピソードも明かされました。映画作りについて話し、映画監督にとっての挑戦やワクワクする気持ちは異なる国でも変わらないことを感じたそうです。
黒澤監督からのアドバイスは、「映画のリズムや映画を作る時の環境や天気を味方につけ、自分の語る物語に上手く盛り込むこと、またその時の天気によって物語が影響を受けることをよしとすること、カットからカットへの移行が持つ力」など。そして本作の製作にも活用した教えもあったそうで、「監督とほか2人のキーマン、あわせて3人のトライアングルによって、映画作りで生じる問題を解決していくこと」。『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の製作にもこれは大いに役立ったそうで、ハワード監督が参加した時点ですでに公開日が決まっており、プレッシャーと複雑な挑戦があったことは周知の事実ですが、「カスダン親子の脚本家チーム、キャスリーン・ケネディが率いるプロデューサーチームをそれぞれひとりと見立てて、監督を含むトライアングルでスケジューリングの問題など、映画作りの上で突きつけられた挑戦を乗り越えていった」といいます。
ちなみに、黒澤監督とのゴージャスな夕食には、ハワード監督の娘である女優のブライス・ダラス・ハワードも同席していたそうですが、まだ7歳だった彼女は時差ボケでずっと寝ていたそう。
『ハン・ソロ』撮影現場に訪れたジョージ・ルーカス
ジョージ・ルーカスの『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の感想は、「本当に良かった」というものだったそうですが、ルーカスは製作中にもサポートをしてくれたことをハワード監督は明かしました。
ルーカス・フィルムをウォルト・デイズニーに売却後、『スター・ウォーズ』シリーズの撮影現場にジョージ・ルーカスが来ることは基本的にありませんが、旧友ハワード監督による本作の撮影初日には、ルーカスはスタジオに登場し現場は大興奮となったそう。
「押し付けるようなアドバイスはしたくない」ということで、物静かに数時間、撮影を見守っていたルーカス。ただ、エアエンライク演じるハンがエミリア・クラーク演じるキーラからマントを受け取る様子を見ると、「ハンはそういう風にはしないんじゃないか」と、ハンがマントを肩にかけることをルーカスが提案。そして、その演技をルーカス自らがやってくれたというのです!エアエンライクがルーカスの動作を真似て演技すると、まさにハン・ソロに見えたとのこと。ハワード監督は、ハリソン・フォードが「ハン・ソロは僕が生み出したキャラクターではなく、ジョージ・ルーカスが生み出したキャラクター」であると話していたことを思い出した、と語りました。
日本語吹替版カメオ声優、市川海老蔵からのプレゼント
イベント終盤には、『スター・ウォーズ』のファンにして、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の日本語吹替版にてカメオ声優として出演している市川海老蔵が登場。チューバッカも、熱烈な毛皮の抱擁で歓迎しました!
市川海老蔵の役どころは、ハン・ソロとチューバッカが初めて出会う場所にいるストームトルーパー役。
声優として出演した感想を聞かれた市川海老蔵は、「子どもの頃から好きだった『スター・ウォーズ』にほんのわずかでも声の出演が出来たことが大変光栄で、『スター・ウォーズ』に参加出来たことを、『スター・ウォーズ』が好きだった父(十二代目・市川團十郎)に伝えたい」と、親子二世代に渡ってのファンであることを語りました。
ちなみに、市川海老蔵が2015年に主演した「地球投五郎宇宙荒事(ちきゅうなげごろううちゅうのあらごと)」という演目は、ダブル主演の中村獅童演じるキャラクターが駄足米太夫(だあしべいだゆう)であるなど、なんと『スター・ウォーズ』パロディのある歌舞伎でした!
そんな市川海老蔵からは、エアエンライクへ歌舞伎の隈取りをプレゼント。この隈取りは、海老蔵主演の公演「壽三升景清(ことほいでみますかげきよ)」にて演じた悪七兵衛景清(あくしちびょうえかげきよ)の隈取りを高度な染色技術で、忠実に再現したもの。
市川海老蔵が感じる『スター・ウォーズ』の魅力は、「日本では出来ないような見ているだけでただただ楽しいエンタテイメントと、そして市川家が持つ歌舞伎十八番の『勧善懲悪』に通じる善と悪の構成」。「ヒーローとは、ブレないこと。愛や自分が信じるもの、そしてどんな逆境が起こってもそれを貫く力は、ハン・ソロにも通じるヒーロー像なのではないか」とコメント。
初めて父に映画館に連れて行ってもらったのは、新宿で鑑賞した『スター・ウォーズ』だったと明かす市川海老蔵は、すでに子どもたちと家で『スター・ウォーズ』を観て楽しんでいるそう。『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』は、かつて自身が父に連れられて行った時と同じように、新宿の映画館で子どもたちと見ようと思っているとのこと。世代を超えていく『スター・ウォーズ』ならではのエピソードと言えますね。
まさにハン・ソロな、エアエンライクのまなざし
オールデン・エアエンライクと、ロン・ハワードの口から繰り返し聞かれたのは、挑戦という言葉。ジョージ・ルーカスが創造し、ハリソン・フォードが演じた名キャラクターであるハン・ソロの若き日を描く映画を作り上げることが、いかに困難なものであったかを感じさせられます。会見中にエアエンライクが見せるまなざしに、危険で不敵なハン・ソロの視線を感じさせられ、ハッとさせられました。
この挑戦の結果は、映画館でぜひ確かめてみてください。
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』は、6月29日(金)公開です。
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『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(原題:Solo: A Star Wars Story)
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監督/ロン・ハワード
製作/キャスリーン・ケネディ
出演/オールデン・エアエンライク、ウディ・ハレルソン、エミリア・クラーク、ドナルド・グローヴァー、ヨーナス・スオタモ
日本公開/2018年6月29日(金) 全国公開
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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