Column

2018.04.13 18:00

【インタビュー】ボイエガ、デナイト監督に直撃!『パシフィック・リム:アップライジング』製作の裏側と次作について激白!

  • Joshua

※本記事には映画『パシフィック・リム:アップライジング』に関するネタバレがありますので、ご注意ください。

「今作で東京は壊滅する」 そう言い放ったのは『パシフィック・リム:アップライジング』の監督を務めるスティーヴン・S・デナイトだ。『Marvel デアデビル』や『スパルタカス』などTVシリーズで成功を収めてきたスティーヴンは、前作『パシフィック・リム』の監督ギルレモ・デル・トロに代わり『パシフィック・リム:アップライジング』のコックピットに乗船した。はっきり言ってこのシリーズの監督はガンダムやゴジラといった怪獣、ロボット系アニメが大好きな”オタク”にしか務まらない。しかしスティーヴン・S・デナイトという男は、ギレルモ・デル・トロと勝るとも劣らない”オタク”魂を持つ男だ。前作の10年後を描いた今作は、前作の世界観をさらに押し広げその魅力を加速させてゆく。

日本公開を前に来日したスティーヴン・S・デナイト監督、前作の英雄スタッカー・ペントコストの息子ジェイク・ペントコスト役を演じたジョン・ボイエガ、ジェイクの朋友ネイサン・ランバート役を演じたスコット・イーストウッドの3人に話しを聞くことができた。インタビューで聞くことができた話を、なるべく現場の雰囲気を伝えられるようお話ししていきたい。勝利の栄光を君に!(シャア風)

PART1 ジョン・ボイエガ&スティーヴン・S・デナイト監督 インタビュー

Q 今作の怪獣のデザインはどこから着想を得たのですか?

デナイト監督「次元の裂け目が閉じて10年が経ち、イェーガーと同じようにプリカーサー達も10年の月日をかけて彼らの兵器を改造することが出来たんだ、怪獣という兵器をね。僕はギレルモが一作目でやったことはきちんと取り入れたかった。でも僕はその上で前作の怪獣達をより邪悪に、凶暴に、そしてディティールを細かくしたものを作り上げた。プリカーサー達が10年もの歳月をかけたってことを示すためにね。怪獣の体を流れる光るラインのようなものや、口を開けた時に見える青色なんかは一作目から残しておきたかったものだし、怪獣同士がコミュニケーションを取っている描写は彼らが前作より遥かに頭が良くなっているということを伝えたかったんだ。そして何より今作の見どころは怪獣達が合体してメガ怪獣になるところだね!」

プリカーサーとは前作からいる人類の敵のことで、アンティバースと呼ばれる異次元世界に住む知的生命体のことだ。プリカーサーらは次元の裂け目を通して開発したKAIJUを地球に送り、人類の滅亡を企む。ジェイク・ペンストコストが命を犠牲にして閉じることに成功したその次元の裂け目だが、10年という短い空白の時を経て、再びその地獄の扉が開く……。

10年という時間は短いようで案外、科学技術を進化させるには十分な時間かもしれない。ここ10年で携帯電話が急速に進化したことを想像すると、人類がイェーガーを10年間もの間再開発出来たのは、プリカーサーらに対する強力な武器となったはずだ。しかし忘れてはいけない。監督が言うように、プリカーサー達も10年間という月日をKAIJUの進化にあてることが出来たのだ。いや、高次元に存在するプリカーサーらにとって我々の10年があちらの10年と等しいとは限らない。もしかしたら時間間隔が極度に圧縮された次元であったら地球で10年が経つころにプリカーサー達の次元では100年経っているということも十分にあり得る。どちらにせよプリカーサー達との戦いは実に絶望的であるということだ。

Q お気に入りのイェーガーはどれですか?

ボイエガ「(頭を抱えて悩む)う〜ん、そうだなぁ、1番はセイバーアテナかな……。でも頻繁に1番は変わるんだ!(笑)あと怪獣はライジンだね!ライジンは他の怪獣と違って怖気付いたりしないんだ。”全員喰ったるぞ!”ってね(笑)」

デナイト監督「イェーガーは僕もセイバーアテナだね。コンセプトアートでセイバーアテネを初めて見たとき僕は ”YES!!(これだ!)”って思ったんだ(笑) 僕が好きなものが全部詰め込められているし、日本のアニメやポップカルチャーの影響をとても受けたイェーガーなんだ。あとね、KAIJUが三体の怪獣からどうやって合体して、どのように動くか考えたりね」

ボイエガ「メガ怪獣ってパブで暴れてる奴みたいに闘うよね、バーン!って(笑)」

セイバーアテナは日本刀のようなブレードを振り回す全身橙色の第六世代イェーガーで、監督が言うようにかなり日本の影響を受けた造形のイェーガーだ。新田真剣佑が乗り込んだ侍のようなイェーガーは日本のロボットアニメが大好きなジョンとスティーヴンにはウケたようだ。

ちなみにジョンは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15年)のときに来日した際日本のテレビカメラに向かって「I want to become HOKAGE!!(俺は火影になりたい!)」と言い放ち、それ以降日本のファンの一部からは”HOKAGE”と呼ばれるようになったという強烈なエピソードを持っている。こんなハリウッドスター他にいるだろうか?(火影とは漫画「NARUTO」に登場する里で一番偉い忍者のこと。ちなみに筆者はナルト検定を持ってるくらいナルト好きだ)

Q ギレルモ・デル・トロ監督は前作について”この映画はマコのための映画だ!”とおっしゃっていました。しかし今作ではかなり早い段階でマコが事故に遭い、死んでしまいます。マコの死についてギレルモから何か言われたことはありませんか?

デナイト監督「実は特に何も言われなかったんだ。驚いたことに僕が今作のストーリーを作ったときもギレルモはマコの死について特に問題はない様子だった。今作を大きなスケールでみると、1作目の『パシフィック・リム』は最初のピースで、2作目の今作は2番目のピース、3作目のピースは……あれば嬉しいね。マコの死は3作目で別の、そして大切な意味を与えてくれるんだ…。ちょっと話しすぎたみたいだ。そろそろレジェンダリーがドアを蹴破って入ってくる頃だね(笑) とにかくキャラクターを殺してしまうときは凄く注意が必要なんだ。TVでは僕は沢山の人気キャラクターを殺してきたことで有名だけれど、大事なことは物語と作品全体の構成を考えることなんだ。メインキャラクターを作品の中で殺してしまうときってのは常にストーリー上の理由があるんだ。そのキャラクターが誰であれ関係はないし、男性でも女性でも、子どもでも同じこと。ときにはその意味がすぐには分からない場合もあるけれど、必ず意味があってのことなんだ」

今作の監督がスティーヴンに決まった時点で僕はきっと誰かは死ぬだろうと思ってはいたが、まさかギレルモが”パシリムの主人公”と言っていた森マコが死ぬとは予想外で、僕も上映中”oh……”と声を漏らしてしまったほどだ。ただスティーヴンの言うようにマコの死は3作目でその本当の意味が明らかになると願おう。そしてそれは裏を返せば、スティーヴンはギレルモに対して不必要な忖度をすることなく今作を作り上げたということでもある。シリーズ物のジレンマをスティーヴンは気にすることなく気持ち良く破壊してくれたのだ。

ここまでかなり深い話が聞けたので、ちょっと趣向の違う質問をしてみた。スコット、ジョン、スティーヴンの3人で腕相撲をしたら誰か勝つのか? イェーガーを操縦するくらいだからスコットとジョンの腕っぷしの強さに疑いをかける人はいないと思うが、実はスティーヴンも実際に目にするとガタイが結構良い。ちょっと新手の筋肉評論家みたいになっているが、僕はこの3人良い勝負をすると勝手に思っている。それにもしかしたらその場でスティーヴンとジョンの腕相撲対決が見られるかもしれないじゃないか。

Q これはあくまで僕の興味なんですが、スコット、ジョン、スティーヴンの3人で腕相撲をしたら誰が勝つと思いますか?

デナイト監督「ハハッ、ジョンには負けないと思うよ(笑) ジョン、腕相撲なんてもう随分とやってないんじゃない?」

ボイエガ「ないよ、ないよ!そんな戦いに巻き込まないでくれ(笑) 俺が勝てるのはカラオケバトルだけなんだ(笑)」

Q じゃあきっと勝つのはスコット?

スティーヴン&ジョン「そうだね、スコットが勝つと思うよ(笑)」

なんと満場一致でスコットという結果に。残念ながらスティーヴンとスコットの対決は拝めなかったが腕力に関してはスコットに絶大な信頼を置いているみたいだ。この結果は次のインタビューでスコットに伝えておきたい。スコットがどんな反応をするか楽しみだ。

【プロフィール】

スティーヴン・S・デナイト

ニュージャージー生まれ。TVドラマ『スパルタカス』の企画、脚本、製作総指揮を務め、成功を収める。マーベル・コミックス原作のNetflixのTVシリーズ『Marvel デアデビル』で高い評価を得た。『トランスフォーマー』シリーズに脚本家のひとりとして参加。2016年、ギレルモ・デル・トロに代わり『パシフィック・リム:アップライジング』の監督に抜擢された。

ジョン・ボイエガ

1992年、イギリス出身。ジョー・コーニッシュ監督の『アタック・ザ・ブロック』(11年)でスクリーンデビュー。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15年)の主要キャラクターに抜擢され脚光を浴びた。また、キャスリン・ビグロー監督の『デトロイト』(17年)などにも出演。

PART2 スコット・イーストウッド編はこちら

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『パシフィック・リム:アップライジング』(原題:PACIFIC RIM UPRISING)

監督/スティーヴン・S・デナイト

脚本/エミリー・カーマイケル、スティーヴン・S・デナイト、T・S・ノーリン、キラ・スナイダー

製作/ギレルモ・デル・トロ、トーマス・タル、ジョン・ジャシュニ、メアリー・ペアレント、ジョン・ボイエガ、フェミ・オグンス

キャスト/ジョン・ボイエガ、スコット・イーストウッド、ジン・ティエン、ケイリー・スピーニー、菊地凛子、新田真剣佑、バーン・ゴーマン、アドリア・アルホナ、チャーリー・デイ ほか

全米公開/2018年3月23日(予定)

日本公開/2018年4月13日(金) 全国超拡大ロードショー

配給/東宝東和

公式サイト

©Legendary Pictures/Universal Pictures.