Column

2017.04.24 16:00

【単独インタビュー】マーベル副社長C.B.セブルスキー氏に聞く!『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』とこれからのMCU

  • ichigoma

4月10日(月)に東京で『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』の2つのプロモーションイベントが開催されました。「ギャラクシー・カーペット・イベント」では来日キャストの姿に熱狂し、「スペシャル・スクリーニング・イベント」ではなんと世界最速で本編を上映するというまさかのサプライズに衝撃が走りました!

そして翌日、「ギャラクシー・カーペット・イベント」のカーペットにも登場した、マーベル副社長であるC.B.セブルスキー氏(以下C.B.)にFan’s Voiceの記者達が直撃インタビュー!『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』をはじめマーベルに関するあれこれを伺ってきました。

質問者は、Su、Nashi、Ichigomaのガールズ3人です。

Su: 昨日(4月10日)は「スペシャル・スクリーニング・イベント」で世界最速の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』を拝観しました。たくさん笑ってたくさん泣きました。素晴らしかったです。MCU最高傑作ではないでしょうか。いいシーンがたくさんありましたが、セブルスキーさんのお気に入りのシーンを教えていただけますでしょうか。

C.B.: 実は、残念ながら私は完成版をまだ観てないんです。SFXなど特殊効果が完全に施されていない未完成バージョンは観ていますが。先ほどジェームズ・ガン監督から聞いたことによると、本編は金曜日(4月7日)に完成したばかりとのこと。つまり月曜日(4月10日)に最速でご覧になったみなさんは、本当にラッキーですよ!

C.B.セブルスキー氏

で、お気に入りのシーンに関してですが、これからご覧になるファンのためにネタバレは避けたいと思います。まだ、僕自身、完成版を観ていませんしね。でも、そういう条件下でいうとすると、2箇所とても気に入っているシーンがあります。

ひとつ目はオープニングのシーン。ジェームズ・ガン監督がガーディアンズのキャラクターたちの個性やパーソナリティを素晴らしいカタチで紹介しています。押し付けがましくなく、彼らがどういう人達で、どういう力を持っていて、どういう集団なのかを非常に美しく見せています。

もう一つが最後のシーン。私も泣いてしまいました。内容に関してはとネタバレになってしまいますので言及を避けますが。このふたつにシーンはとても印象に残りましたよ。

Nashi: この続編は原題では『Guardians of the Galaxy Vol. 2』ですが、邦題は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』です。サブタイトルが変わったことについて、日本ではと思う人、よくないと思う人、ファンの間でも分かれていて、かなり物議を醸しました。“リミックス“という邦題にした意図はなんだったのでしょうか。

C.B.: 国ごとに状況が異なることを私たちはよく承知しています。また日本においては、マーベルが急成長を遂げていることも事実です。マーベルは現在、ウォルト・ディズニー社のファミリーとなっているわけですが、このタイトルは、ディズニー社のローカルチーム(日本支社)の指針やアドバイスによって決定されたものだと思います。日本支社から、私たちは日頃から映画についてだけではなく、さまざまな情報をもらっているんですよ。

もちろんファンの意見を我々はとても尊重しています。ファンの中には絶対にオリジナルに忠実であって欲しいという方もいるでしょう。「なぜVol.2ではないんだっ?」って思われる方もいらっしゃると思います。が、ファンのみなさんにはもう少しオープンなスタンスを取っていただけるといいと思います。

我々としては、もっとマーベルの映画やコミック、グッズなどをより多くの人に楽しんでいただきたいという思いが常にあります。従来のファンを大事にしながらも、新しいファンも増やしていきたいのです。もし、「Vol.2(第2章)」というタイトルのままだと、「第1章」をご覧になっていない人は、「楽しめないのかも?」という思いが生じてしまうかもしれません。

「リミックス」と言う表現は、とてもうまくこの映画のエッセンスを捉えていると思いますよ。1作目の内容や感覚を捉えて、その2作目として上手く表現しているのではないかと感じましたし、「リミックス」であれば「1」を観ていなくてもそこから入れるのではないかと思いました。「リミックス」にはそのような色々な意図があります。

©Marvel Studios 2017

Ichigoma: 今回の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』では、とても個性的なキャラクターが多く登場していますが、お気に入りのキャラクターはいますか?

C.B.: 実は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に関しましては、1作目と2作目でお気に入りのキャラクターは違います(笑)

まず1作目では、アライグマのロケットがとても好きなキャラクターです。なぜかと言いますと、元々私はマーベル・コミックで育ち、大ファンです。で、コミックに初めてロケットが登場した時から好きなキャラクターだったんです。私はアメリカの非常に小さな田舎町の出身で、地元にたくさん自然のアライグマがいたということもあり、マーベルが、ヒーローキャラクターとしてアライグマを登場させたことにとても衝撃を受けたんです。そして映画化された際も、アライグマのロケットと言うキャラクターの真髄をちゃんと見事に、完璧に作られていて紹介されていると思いました。

2作目に関してはお気に入りのキャラクターはドラックスです。本当に大好きです。1作目では、このドラックスというキャラクターを紹介し、他のキャラクターとの関係を構築していくという流れがありました。そして本作(リミックス)ではさらにそのキャラクターが掘り下げられ、発展しているんです。ユーモアもあり、実際に作品の中でも色々なものを牽引するような存在にもなっています。本当にハートのあるキャラクターなんです。ドラックスは悲惨な過去を抱えているのですが、今では新しい家族を持ち、とても成長しているのが作品の中でも見られます。

©Marvel Studios 2017

それと同時に、演じているデイヴ・バウティスタについても、役者としての成長を本作では非常に感じることができます。彼の台詞や他キャラクターとのやりとりも本当に素晴らしい。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに限らずMCUの中でも最も素晴らしいキャラクターのひとつだと思いますよ。

また、残念ながらこちら(米国版と同じ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』の集合版ポスターを指して)のポスターではなく、もう一つのグルートが登場しているものですね。日本で宣材として使用しているこのポスターは、世界で最も素晴らしい『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』のポスターだと思います

©2017 Marvel

Su :『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は、ポップでキュートでエキサイティングで、ちょっと今までのMCUの作品とは違いますね。今後ガーディアンズのメンバーたちがどのようにMCUを盛り上げていくのか、プランはありますか。

C.B.: まず、ケヴィン・ファイギ率いるマーベル・スタジオは、今までとても素晴らしい仕事を成し遂げていて、”マーベルはただのスーパーヒーローものではない”ことをちゃんと見せる事が出来ていると思います。

特に日本でマーベルと言うと、人によっては「特殊能力やスーパーパワーを持った、コスチュームを身につけたヒーローたちの映画でしょ」と思われがちですが、そうではありません。ファンのみなさんはすでにご存知のように、マーベルはもっと奥が深いことを証明出来ていると思います。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』はまさにその代表だと思います。

また「アベンジャーズ」までは所謂スーパーヒーローとして、マーベル・ユニバースを確立してきました。そしてそれ以降、ケヴィン・ファイギと彼のチームはもっと違うジャンルにも手を伸ばせるのではないかという思いがあったんです。

『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』は内容的にはいわゆるスパイスリラー的なものでしたし、『アントマン』はラブストーリーとしても紹介されました。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は宇宙ヒーローもの、実際には“本物のヒーロー”ではないのですが、SFもののヒーローという扱いです。おかげでマーベル・シネマティック・ユニバースがこれだけ深く広いものであることを見せることができたと思います。

また主人公たちも、特殊能力がなくても十分に“ヒーロー”なんです。ピーター・パーカーもその能力が無くてもヒーローで通用しますし、キャプテン・アメリカも血清を打たなくてもその彼自身がヒーローでいられます。またヒーローになりたいと思って活躍しているワケではありませんが、ピーター・クイルもスター・ロードとして立派なヒーローになりえています。また木(グルート)やアライグマ(ロケット)にも人間性と人間味があり、キャラクターすべてにハートがあることも、多くのファンの方に支持される理由だと思います。

また本作に関しましては、まずハートがあります。マーベル・シネマティック・ユニバースには、こういう話もあるのだということを観ていただけると嬉しいですね。そして今後どういう方向でこのマーベル・シネマティック・ユニバースが広がっていくのかという指標にもなる作品です。

Nashi: 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』では、チーム・キャプテン・アメリカ、チーム・アイアンマンにMCUのヒーローたちが分かれて戦いました。もしガーディアンズのキャラクターが「シビル・ウォー」に参戦したとしたら、それぞれのキャラクターはどっち側につくと思いますか。キャプテン・アメリカでしょうか?それともアイアンマンでしょうか?

C.B.: いい質問ですね(笑) すっごくいい質問ですね(笑)

考え込むセブルスキー氏

まずはロケット。ロケットはトニー・スターク側につくと思います。元傭兵ですし、トニーの方には研究所やラボもあって、資金もありますから。きっと彼は色んな物をいじって、何か新しいものを作り出したいんじゃないんかと思います。

ピーター・クイルは反乱者なので、アイアンマン側にいくかなと思いきや、実際はキャップの方につくと思います。理由は、彼の母親に対する思いや育ちを考えると、アイアンマンの考えを尊重するももの、キャップの”体制に対しての戦い”という視点に共感を覚えると思います。

グルートはロケットについていくでしょう。で、ガモーラはピーターに付いて行くと。そして残されたのはドラックス……。

んー、ドラックスはどっちのチームも入らず、いわゆるハルク的な存在になるのかなぁ(笑) そうだ、きっとドラックスはキャップの方につくでしょう。本人もあまり理由がわからないまま、直感的にトニー・スタークじゃなくてキャップだな、と思うんじゃないかと。

Ichigoma: 六本木ヒルズで開催中の「マーベル展」についておうかがいします。今回のマーベル展には、原画やコミックの原本があったりとさまざまな展示があったのがファンとしては嬉しいものでした。中には日本のクリエイターさんが描かれているバリアントの展示もありましたが、C.B.自身も自らの手でクリエイターの発掘を行われていると伺ってます。クリエイターの発掘についてポイントがあれば教えてください。そして、これからアメコミを描いてみたいと思っているクリエイターにひとこといただけますか?

C.B.: まず、「マーベル展」にご来場いただいたてありがとうございます。本当に素晴らしいマーベルの展示会で、私も今まで目にした事がないようなものも展示されています。初めて来場した時には非常に驚きました。Marvel Comics #1(1939年発行)があったり、オリジナルの表紙やカバーがあったり、「アベンジャーズ」の実際のページがあったりですとか、本当にびっくりするものばかりでした。

©2017 Marvel

またコミックや劇場公開された映画作品、いろいろなスタチュー等も沢山あり、そして日本のアーティストを紹介したりする事で、マーベルが日本に与えた影響や、マーベルが日本から受けた影響と言う所も見せている所も、マーベル、ディズニーとしても大変嬉しく思っています。

これはすべてのクリエイター達、アーティスト達にお伝えしている事ですが、とにかく「個性」。やはりユニークである事ですね。自分のスタイルをちゃんと持っていることが大切です。

マーベルのコミックを見て、自分のスタイルを決して変えないで欲しいですね。合わせようとしないで下さい。なぜならその私達はそういったものをもうすでに目にしていますし、私達は似たようなものを求めているワケではありません。私達は常に見たことのないものを探して求る傾向があります。我々は、もうすでに最高のアーティスト陣を抱えています。なので、私たちの目を引いたり、関心や興味をもてるものでお願いします。

「イミテーション」と「インスピレーション」は違います。非常に微妙なものですが、その線引きをして欲しいと思います。日本のマーベル展で紹介しているゆでたまご先生、村田雄介先生、タケダサナ先生、弐瓶勉先生、林田球先生、それぞれちゃんと独特の視点・感性を持ってます。異なるスタイルや視点と言うものをマーベルにもたらせたらいいと思います。

マーベルのキャラクターを描く際ですが、映画の中で観たキャラクター、アベンジャーズやガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと言うキャラクターだけではなく、過去のキャラクター達をちょっと描いてみていただきたくよいいかもしれません。その独特の個性をちゃんと表現して欲しいですね。

マーベル・スタジオでも実際にそれぞれ異なるジャンルに挑戦し、紹介しているように、コミックの方でも異なるスタイルをご紹介していきたいと思っています。それが少年漫画、少女漫画、ホラーなどなんであってもいいんですけれども、いろいろなところで探求して欲しいですね。ファンのみなさんのお好きなものは異なると思いますので、何か独特なもの、得意なもの、個性のあるものを求めています。

一同: 本日は色々とお答え頂きまして、ありがとうございました!

各イベントでちらっと遭遇する事はあったC.B.氏。実際にお話をさせていただくととても人懐っこい、世界中誰しもが知る企業の上層部の方とは思えないチャーミングな方でした。

こちらが持参していたロケットのぬいぐるみを見ると目をキラキラさせ、「ロケットのぬいぐるみは集めてるんだ!」と人懐っこい笑顔を返されたり、シビル・ウォーの話の下りではロケットのぬいぐるみと、ご自身が持って来られたグルートのぬいぐるみを左右の手に持って語られる姿には、こちらの緊張も吹き飛ぶものがありました。

C.B.氏が絶賛するオープニングと、思わず涙してしまうと言うラストシーン、そして意外なドラックスの活躍!?と「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」、ますます公開日が楽しみです!

Thanks, C.B.!

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』

ならず者たちが行きがかり上、チームを結成し銀河系の危機を救うハメに! マーベル・シネマティック・ユニバースの中でも異色の”ヒーロー”たちが活躍するアクション・アドベンチャー映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14年)の第2弾。ピーター・クイル役のクリス・プラットを始めとするおなじみのキャストに加えて、カート・ラッセル、シルベスタ・スタローンなど大物スターも参戦。

監督/ジェームズ・ガン

製作/ケヴィン・ファイギ

出演/クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタ、ヴィン・ディーゼル(声)、ブラッドリー・クーパー(声)他

配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン

公開/2017年5月12日

公式サイト