【単独インタビュー】『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』ポム・クレメンティエフの選択と挑戦
- Erina Ueno
「ミッション:インポッシブル」シリーズ最新作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』が5月23日(金)に全国公開されます。
舞台は前作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』(23年)から2カ月後。前作のラストでイーサン・ハント(トム・クルーズ)が手にした”鍵”が導く運命は──?
公開に先立ち、トム・クルーズをはじめとした主要キャストとクリストファー・マッカリー監督らが来日。本作のワールドツアーで最初のPR地となった日本で、レッドカーペットイベントやジャパンプレミアに参加。Fan’s Voiceでは、前作に続きパリス役を演じたポム・クレメンティエフに単独インタビューを行いました。
──本作であなたが演じたパリスは、ガブリエルに強い復讐心を抱くキャラクターとして登場します。その展開について、脚本を最初に読んだ時はどう感じましたか?
撮影中にいろいろなことが変わったので、このキャラクターがどうなるのか、最初から明確に決まっていたわけではありませんでした。常に変化していて、クリストファー・マッカリー監督やトム・クルーズと頻繁に話し合いながら、一緒にキャラクターを作り上げていきました。だから、何かを期待していたというわけでもなく、物語とキャラクターを一緒に築き上げていったという感覚です。この映画でパリスは復讐を目的に登場しますが、そこから彼女なりの変化がとても良く描かれていると思います。
──今回ご自身が演じたアクションで特に気に入っているものはありますか?
今回は本当にすごいファイトシーンをいくつも撮りました。どれもかなり激しくて私にとっては挑戦だったのですが、とても楽しかったです。自分の限界に挑戦できるのはやはりワクワクしますし、自分にはできないと思っていたことをするのは本当に刺激的です。今回は「複数の相手と闘う」のが私の役割になっていたようで(笑)、同時に何人もを相手するシーンがいくつもあります。
一番好きなのは、映画の冒頭、他のキャラクターたちと再会する場面。2人の男性を相手に闘う大きなファイトシーンですが、私は手錠をかけられていたので撮影はすごく難しく、技術的にもかなり大変でした。手が自由に使えない分、ハイキックを多く取り入れたり、バランスの取り方にも工夫が必要でした。制約がある中でどう動くかを考えるのはすごく面白くて、例えば後ろに回転してからキックを繰り出すような動きなどもありました。しかも、その時の衣装も動きにくく、それもまたチャレンジでした。でも、その衣装をあえて選んだのは、見た目のインパクトを大事にしたかったから。細かい話になってしまいましたが、私にとってはすごく楽しい撮影でしたし、結果として強いビジュアルになったと思います。
──今作はトム・クルーズをはじめサイモン・ペッグやヘイリー・アトウェルといった素晴らしい俳優と共に様々な場所で撮影されましたが、特に印象に残るエピソードは?
たくさんあって一つに絞るのが難しいのですが……撮影中でもオフの時間でも、本当に思い出がいっぱいです。特に印象に残っているのは、北極で撮影したときのことですね。本当に美しい場所での撮影だったのですが、私たちは船に泊まって、そこから撮影場所に移動していました。でもある時、「ダメだ、船に戻らないと!」となりました。というのも、シロクマが現れてしまって(笑)。そうした経験は、普段の生活ではなかなかできない、とても楽しくて特別な体験でした。
南アフリカでも撮影したのですが、もっと長くいたかったです。短い時間でしたが、本当に綺麗な風景を目にすることができました。特別だったのは、トムがヘリコプターを自ら操縦して私たちをいろんな場所に連れて行ってくれたこと。一緒に仕事している相手がヘリに乗せてくれるなんて、他の映画では経験したことがありません(笑)。
様々な場所でのロケが多かった分、キャスト同士で過ごす時間も長く、とても絆が深まりました。前作とあわせて2本分の映画をほぼ連続で撮っていたので、それだけ長い期間を一緒に過ごすうちに、かけがえのない思い出がたくさんできました。個人的なものも含めて。
──ポムさんにとって『ミッション:インポッシブル』シリーズとは、どんな存在でしょうか?
子どもの頃からずっと大ファンでした。新作が出るたびに楽しみにしていて、今回の新作も本当に待ちきれません。実は、今夜初めてこの作品を観るのですが、ファンの一人として観るつもりです(笑)。
トムは毎回自分の限界を超えていて、本当に刺激をもらえます。ストーリーにはいつも深みがあって、女性キャラクターもとても魅力的ですし、登場人物それぞれに感情移入できます。映像は本当に美しく、マッカリー監督の構図のセンスも素晴らしいです。観ているだけで心が動かされるし、音楽も最高で、聴くたびに鳥肌が立ちますね。
──今作には、「人生を決めるのは運命ではなく、自分の選択だ」というメッセージが込められていますが、この考え方に共感されますか?
とても深い質問ですね。私たちは日々何かしらの選択をしていて、それが未来を形作っていくのだと思います。でも、あまり考えすぎても動けなくなってしまうので、バランスが大事ですね。私の場合は、「規律」と「楽しむこと」の両方が大切だと思っています。例えば、ロサンゼルスへの移住を決めた時は、私にとって大きな転機となりました。当時は英語も話せず、周囲からは「やめておいた方がいい」と言われましたが、誰の意見も聞かずに自分の意思で踏み出しました。それが今につながっています。
──俳優としてのキャリア初期と比べて、ご自身の意識に変化はありましたか?
もちろん、俳優としても人としても変わりました。毎日なにかしら学んでいますし、変わっていけていることを本当に嬉しく思っています(笑)。失敗からもできるだけ学び、いろいろなことに挑戦し続けたいです。
──ポムさんは日本にも縁があり、これまで何度も日本を訪れていらっしゃいますね。
はい、小さい頃に京都に住んでいたことがあります。当時は日本語も話せたのですが、もう全部忘れてしまいました(笑)。京都は今も大好きですし、もちろん東京も大好きです。今回は1週間ほど前に来日して、渋谷に泊まりながら街を歩き回ったり、写真を撮ったりして楽しみました。
前回は直島にも行って、アートをたくさん観てきました。本当に美しくて、まるで魔法のような体験でした。また行きたいですし、他にも日本にはまだ訪れたことのない場所がたくさんあるので、これからももっと探索してみたいと思っています。
Photography by Takahiro Idenoshita
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『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(原題:Mission: Impossible – The Final Reckoning)
監督:クリストファー・マッカリー
出演:トム・クルーズ、ヘイリー・アトウェル、ヴィング・レイムス、サイモン・ペッグ、ヴァネッサ・カービー、イーサイ・モラレス、ポム・クレメンティエフ、マリエラ・ガリガ、ヘンリー・ツェニー、ホルト・マッキャラニー、ジャネット・マクティア、ニック・オファーマン、ハンナ・ワディンガム、アンジェラ・バセット、シェー・ウィガム、グレッグ・ターザン・デイヴィス、チャールズ・パーネル、フレデリック・シュミット
全米公開:2025年5月23日
日本公開:2025年5月17日(土)~22日(木)先行上映、23日(金)公開
配給:東和ピクチャーズ
公式サイト
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