【インタビュー】冷淡なCIAエージェントを演じたヘンリー・カヴィルが語る、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』撮影秘話
- Mitsuo
全世界累計興収3000億円以上(※1ドル=109円換算)!トム・クルーズが伝説的なスパイ、イーサン・ハントを演じるスパイ・アクション・シリーズ第6作目となる『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』。
パリ・凱旋門前を爆走するバイクアクション、トムが骨折したビルジャンプ、2,000時間の飛行訓練の末にトム自ら “ヘリコプター”を操縦し上空で展開する超絶ヘリスタント、成層圏ギリギリの高度約8,000mから特殊マスクを装着しスカイダイビングし地上寸前でパラシュートを開くヘイロージャンプなど、トム・クルーズ自らがノースタントで挑む〈全て、本物〉のド迫力のアクションは、本作でもさらにパワーアップしています。
”フォールアウト=予期せぬ余波”というタイトルと、これまでトム演じるイーサンが挑んだミッションすべてが本作の物語に繋がるという、さらなるストーリーの拡がりにますます期待が高まります。
7月には、トム・クルーズ、ヘンリー・カヴィル、サイモン・ペッグ、クリストファー・マッカリー監督4人が来日、記者会見とジャパンプレミアに姿を表し、日本のファンを熱狂の渦に巻き込みました。
Fan’s Voiceでは、本作で冷淡なCIAエージェントのオーガスト・ウォーカー役を演じたヘンリー・カヴィルにインタビュー!スーパーマンをはじめ、ヒーロー役で知られる同氏ですが、今作ではこれまでとは大きく異なる役柄に。撮影時の裏話から共演者との関係まで、たっぷりと語っていただきました。
Q 日本の夏はとても暑いですが、昨日のレッドカーペットはいかがでしたか?
「今はフロリダで多くの時間を過ごしているので、正直言ってこのような暑さには慣れています。ですが、そんな暑さの中でレッドカーペットを歩くのは……フロリダであのような格好はしませんからね。昨日はちょっと厚着すぎたような気がします。みなさん楽しんでいたようで、レッドカーペットは熱気に包まれていましたね。わたしは暑いのは大丈夫ですが、そんな中でカシミヤのセーターとジャケットは普段着ませんよ」
Q インスタグラムで「日本は特別な場所で、心惹かれるものがある」とコメントされていましたが、詳しく教えていただけますか。
「さまざまな古代文化に興味があるのですが、特に古代日本文化に以前から惹かれています。日本はとても古い国で、この場所にはとても長い歴史があります。その中でも特に、武士道、それに詩的な武士の気質にずっと興味があります。戦も、ただの争いにとどまらず芸術様式のように極められていたりしますしね。こういった心意気はその土地に由来することが多く、その昔この地に降り立ちこの場所の文化を形成した人たちが作り上げたのだと思うので、日本を探検し、実際に感じて、他国には見られないような武士道がこの場所でこれほどにまで極められたのか、理解を深めたく思います」
Q 作品の話題に移りましょう。今作であなたは冷酷なCIAエージェントのオーガスト・ウォーカーを演じています。彼の性格は彼の戦い方にどのように現れているのでしょうか。
「ウォーカーの冷酷な性格なため、まわりに被害がおよんでも一般市民が犠牲になっても、気にしません。精度はどうでもよく、いかにターゲットを徹底的に破壊できるかが彼にとって重要なのです。自身の体格を活かし、乱闘スタイルで相手にできる限りのダメージを与えます。また、打たれ強く、自身へのダメージはそれほど心配していません。彼はとにかく全力で、最も効率的に攻めにかかるのです」
Q ブラジリアン柔術の経験があると伺いましたが、ウォーカーの戦い方に役立ちましたか?
「いいえ。でも最終的には参考になります。ウェイド・イーストウッドのスタントチームの一員で、”格闘コーディネーター”のウルフギャング・スティージマンからテコンドーとボクシングのトレーニングを受けていました。さまざまな武術の訓練も受け、そこでの学びを実践に活用していくのです。今作で柔術は登場しませんでしたが、また別の作品で機会があるかもしれませんね」
Q 昨日の記者会見では、スーパーマンはCGが多用されるとおっしゃっていました。スーパーマンを演じる時は体力的負担は少ないのかもしれませんが、実戦が中心の今作の撮影は楽しまれましたか?
「もちろんです。実践的なスタントや撮影は楽しいです。きちんと行えば、例えば椅子から落ちそうなったり、パンチをくらったりしたときの感覚などを観客は全て感じることができ、没入感のある体験となります。“痛い”などといった感覚を伝えるのは、カメラの揺れではなく、俳優の演技ですからね。俳優次第というのは、私がとても好きな点です」
Q 本シリーズでのCGの少なさについては特筆してもしきれないと思います。実際に、かなりの拳のぶつかり合い、人が投げられたりするわけですが、撮影中に怪我をしてしまったりさせてしまったりしたことはありますか?
「相手に怪我をさせてしまったことはないと思いますよ。ですが、殴ったり(投げられて)着地したりする中で、自分の方が”負傷してしまったかもしれない、やばい”と思ったことは何度もあります。そういうときは、周りに気づかれないように歩いたりストレッチします。もし気づかれてしまうと、医療チームが飛んできて、身体のあちこちをチェックしたり、瞳孔に光を当てたりしてきちゃいますからね。こんな事態になるほうが大変です。ですので、黙々と自分の役を演じ続け、状況がそれ以上ひどくならないよう祈るのです」
Q トイレのシーンはあなたにとって今作で最も難しいスタントだったのでしょうか?
「もちろん辛いシーンでした。4日間かけて、なるべくカット数を減らして(長回しになるような)撮影をする予定でしたが、非常に激しいシーンのため実際には4週間かかり、毎晩家に帰っては、足を引きずりながらベッドに入り、気を失ったように寝ました。本当にヘトヘトになる毎日でした。ヘリのシーンも同様に、本当に寒い中、風に対抗しながら飛行中のヘリのドアから重いマシンガンを外に向けて抱えるのは、体力的負担でした。ニュージーランドでもヘトヘトになりながらベッドに辿り着いていましたよ。トイレのシーンとは別の意味での難しさですが、どちらの方が難しかったのかは、自分でもよくわかりません」
Q トム・クルーズとの撮影初日の様子は覚えていらっしゃいますか?
「はい、覚えています。その時のシーンは本編からはカットされていますがね。ブルーレイ発売時の未公開シーンできっと観ることができると思いますが、ネタバレはしたくないので詳細は話さないことにします。とにかく、その日は楽しかったですよ。スタントがあって、”彼はどのくらいやる気があるか見てみよう”といった感じでトムたちからテストされていたような印象が、ちょっとだけありました。楽しくて、いい時間でした」
Q トムはココナッツクリームのケーキ(通称:クルーズ・ケーキ)を送りつけることで有名です。あなたも受け取られましたか?
「はい。クリスマスケーキとして”ハッピークリスマス トム・クルーズより”と書かれたケーキが送られてきました。”やばい、トム・クルーズからケーキをもらってしまった”と思いつつ、きっとヘルシーで身体にいいケーキだろうから絶対に手を付けることはないと思い、冷蔵庫に突っ込んでおきました。いや、冷蔵庫にすら入れず、その辺に放置しましたね。たまたまやってきた人がそれを見て”なにこれ!これってトム・クルーズからのケーキ?”と気が付き、”そうだよ、書いてあるとおり、トム・クルーズからのケーキだよ。彼はよくケーキを贈るそうなのだけど、僕は食べないよ。きっとスーパーヘルシーだからね”と返しました。その人は”いや、トム・クルーズからのケーキなのだから、一切れくらい食べないと”というので、僕は”わかったよ。仕方ないなあ”と言いながら食べてみると、もうこれまでで最高に体に悪そうなケーキでした(笑)そのままその人と一緒に4分の3ほど食べてしまいましたよ。とっても美味しいケーキだったので、次は放置せずにすぐに食べるようにします」
Q あなたはヒーローのイメージが強いですが、ウォーカーは冷酷なキャラクターです。演じる上で難しかったのはどちらでしょうか?また、ウォーカーは”嫌な奴”な側面もありますが、演じる際にモデルとなった人物はいますか?
「いいえ、ウォーカーを演じるにあたりモデルにした人はいませんよ。自分の中の”嫌な奴”の側面を掘り下げて、表現するようにしました。(ヒーロー役、ウォーカー役)それぞれに難しさはあります。映画前半でのウォーカーは、なるべく目立たないように、なるべく注意を引かないようにしながらも、まわりをイライラさせたりして相手がどういう反応するかを探ったりと、状況を伺いながら自分の周りで物事を起こらせつつも、静かにしています。これを演じるのは難しいことです。あまりやることがないので、つい動きを見せて、自分の存在を主張し、まわりの注意を引きたくなってしまいます。ですが実際には、この演技には“なにもしないこと”が求められ、細かい表現が重要になっています。もちろんミッションが進むに連れ、彼はその冷淡さを表に出す場面が増えていきますがね。
ヒーロー役、特にスーパーマンを演じる上で難しいのは、彼はとにかく強いために、彼を痛めつけられる存在が無く、普通の人間的な反応をすることができない点です。観客は、人間的な反応を自然と表現出来ていることに対して”彼は良い俳優だ”といった判断をするのに対し、スーパーマン役では真逆の演技が求められます。彼が意図的に人間的な反応を模しているように見せなければなりません。彼は本当の人間でいるというよりは、人間のようにあろうとしているのです。彼に恐怖感を与えるものは存在しないので、彼にとっての恐怖とは、普通とは全く異なる感情なのです。そのため、身体的表現も通常とは大きく異なり、脚本に記載があれば、感情を顕に表現することが可能となり、キャラクターに深みを出すことができます。ですが、まずは脚本に書かれていないといけません。脚本にそういった記載がなければ……スーパーマンはただの人間を模している男ということになります。ですので、キャラクターの内面をよく練り、キャラクター心理を掘り下げられた完璧な脚本でないと、スーパーヒーローを演じるのは非常に難しくなります」
Q ウォーカーはとあるシーンから一気に暴力的な面が顕になり、キャラクターが一変しますが、これはとても解放感のある瞬間だったのではないでしょうか。ヒーロー役ではなかなかできないことかもしれませんが。
「脚本にあれば、ヒーロー役でもそういった機会を作り出すことも可能でしょう。ただし、きちんと書かれた脚本でないと、ただの発狂したヒーローに見えてしまいますがね。ウォーカーの場合、”CIAのトップアサシンで、暗殺が必要となった場合に呼ばれる人物”として事前に告知されており、平然と大勢を殺してもなんとも思わない殺人者としての顔が潜んでいるのだと認識を、(観客を含め)周囲の人間は持っています。ですので、それほど違和感を与えることなく彼は暴力的な面が表面化させることができ、トイレのシーンでは必ずしも彼が優位なわけではありませんが、彼のそういった面を見ることができます」
Q あなたにとって、本作に関わる前と後にあった一番大きな変化はなんでしょうか?
「この業界でものすごく豊富な経験を持つクリストファー・マッカリー監督とトム・クルーズと一緒に仕事ができたこと、これが私にとっての最大の変化です。前に比べて、ずっと多くの知識を得たし。二人は、彼らの持つ”知識”に門戸を開いてくれました。編集ルームに私を招き入れて、”なにか知りたいことは?”と聞いてくれて、”これと、これと、これが知りたい”と答えると、”こうする理由はこうでね”と教えてくれて。自分をチームの一員として迎え入れてくれ、それにより学ぶことができました。閉ざされたことはなく常にオープンで、”我々は、これを、こうやってやるんだ。編集ルームはそこだから、来ていいんだよ”と。”邪魔になるといけないから…”と私が遠慮しても、”いやいや、おいでよ”と招いてくれて、編集を務めたエディ(・ハミルトン)からとにかくいろいろなことを学びました」
Q ヘリコプターの操縦も学びたいと伺いましたが?
「はい、ぜひ習得したいですね。ニュージーランドで何度かヘリを操縦しました。スタント・コーディネーター兼セカンド・ユニット・ディレクターのウェイド・イーストウッドが、自身のヘリ操縦のコーチを紹介してくれて、一緒に小さなヘリコプターで飛び回りました。難しかったですが、とても楽しかったです。トムが操縦しているのを見て、自分も今後のためにさまざまなスキルを習得しておかなければならないと思いました、やりますよ。週末コースで学べるような簡単なことではないので、まずはニュージーランドで過ごす時間を確保しないといけませんけど」
Q ちなみに、これまでのインタビューで、ウォーカーの”髭”について尋ねられましたか?
「アメリカ国内の最初のプレス取材では、何度も聞かれました。ここ(日本)ではあまり触れられませんがね。作品の評価が高かったからでしょうが、特に否定的な意見もなく、髭に関する質問は出なくなりました。髭はウォーカーのキャラクターづくりに役立ったと思いますよ」
Q (自身の愛犬に)秋田犬を選んだ理由は?
「さまざまな犬種がありますが、秋田犬は見た目にも立派で、しかも忠誠心が深く、飼い主に忠実です。頑固さもあり、自分の性格に似ている気がしたので選びました」
(聞き手:マックスウェル・パワーズ)
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『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(原題:Mission: Impossible – Fallout)
何者かに複数のプルトニウムが盗まれた。標的は<3つの都市>。イーサン・ハントとIMFチームは、その”同時核爆発を未然に防ぐミッション”を受ける。猶予は72時間、だが手がかりは薄く、”名前しか分からない正体不明の敵”を追う中でのミッション遂行は困難を強いられた。タイムリミットが刻一刻と迫る中、IMFに立ちはだかるのは、イーサン・ハントを疑うCIAが送り込んだ敏腕エージェントのウォーカーで、イーサンは彼との対決を余儀なくされる。そして、いくつもの<フォールアウト(予期せぬ余波)>が絶体絶命のイーサン・ハントに降りかかる。今度のミッションの不可能は一つではなく、連鎖したたみかけるようにIMFに迫る!
監督・製作・脚本/クリストファー・マッカリー『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』『アウトロー』
製作/J.J.エイブラムス、トム・クルーズ
出演/トム・クルーズ、サイモン・ペッグ、ヴィング・レイムス、レベッカ・ファーガソン、アレック・ボールドウィン、ミシェル・モナハン、ヘンリー・カヴィル、ヴァネッサ・カービー、ショーン・ハリス、アンジェラ・バセット、ほか
全米公開/7月27日(金)予定
日本公開/8月3日(金)より全国公開!
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