【全受賞一覧】第94回アカデミー賞(2022年)
- Fan's Voice Staff
第94回アカデミー賞の授賞式が、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで現地時間3月27日(日)に開催されました。

『コーダ あいのうた』© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS
大混戦の作品賞を制したのは、『コーダ あいのうた』。助演男優賞(トロイ・コッツァー)、脚色賞と合わせて、ノミネートされた3部門すべてで受賞を果たす快挙を成し遂げました。

『コーダ あいのうた』シアン・ヘダー監督 Photo by Robyn Beck / AFP
『コーダ あいのうた』は、聴覚障害者の家族の中でひとりだけ耳が聞こえる高校生の長女が、歌の才能に気付き、自らの人生を歩むまでを描く家族の物語。フランス映画『エール!』を、米国マサチューセッツ州の漁村に舞台を移してリメイクされました。脚本も手掛けた監督のシアン・ヘダーは、脚本を執筆する際にアメリカ手話(ASL)を学び、父、母、兄役には聴覚障害のある俳優トロイ・コッツアー、マーリー・マトリン、ダニエル・デュラントをそれぞれ配役。助演男優賞に輝いたコッツアーは、聴覚障害をもつ俳優としては『愛は静けさの中に』(86年)で主演女優賞を受賞したマトリンに続く史上2人目の受賞となりました。

『コーダ あいのうた』トロイ・コッツアー Photo by Frederic J. Brown / AFP
『コーダ あいのうた』は、ワールドプレミアされた2021年のサンダンス映画祭で観客賞を含む史上最多4部門で受賞し、Apple社が同映画祭史上最高額の約26億円で配給権を落札したことでも話題に。配信系初のアカデミー賞作品賞受賞となり、歴史にその名を刻むことになりました。
監督賞は『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のジェーン・カンピオン。『ピアノ・レッスン』以来2度目の監督賞ノミネートにして、初受賞となりました。本作は最多12ノミネートを獲得し、Netflix作品として初の作品賞受賞に期待がかかりましたが、結果、監督賞のみの受賞に留まりました。

『タミー・フェイの瞳』Courtesy of Searchlight Pictures. © 2021 20th Century Studios All Rights Reserved
主演女優賞は、『タミー・フェイの瞳』で実在のテレビ伝道師のタミー・フェイを演じたジェシカ・チャステインが受賞。3度目のノミネート(助演女優賞1回、主演女優賞1回)にして初受賞です。尚、実在のタミー・フェイは独特の濃いメークがトレードマークでしたが、『タミー・フェイの瞳』はチャステインの容姿を実物にそっくりにつくりあげた功績が評価され、メイク&ヘアスタイリング賞も受賞しています。
主演男優賞には、下馬評通り『ドリームプラン』のウィル・スミス。テニス界のスーパースターであるビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹の家族が、偏見や差別を団結して乗り越えていく様を描く感動作で、型破りな父親リチャード・ウィリアムズを熱演しました。アカデミー賞には『ALI アリ』『幸せのかけら』に続く3度目のノミネートで、念願の初受賞となりました。

『ドリームプラン』© 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
助演女優賞は、『ウエスト・サイド・ストーリー』で、プエルトリコ系移民のグループ「シャークス」のリーダーの恋人アニータを演じたアリアナ・デボーズ。シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を下敷きにしたブロードウェイミュージカルの名作『ウエスト・サイド・ストーリー』は、1961年にも『ウエスト・サイド物語』のタイトルで映画化され、第34回アカデミー賞において作品賞・監督賞・助演男優賞・助演女優賞など10部門を受賞。スティーブン・スピルバーグによって再映画化された本作には、61年度版でアニータ役を演じ助演女優賞を受賞したリタ・モレノも出演しており、アメリカにおける自由を平等を歌う「アメリカ」におけるデボーズのダンスシーンは、モレノからも絶賛されました。

『ウエスト・サイド・ストーリー』© 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
作品賞を含む計4部門にノミネートされていた濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』は、国際長編映画賞(旧・外国語映画賞)を見事受賞し、日本映画としては『おくりびと』以来13年ぶりの快挙となりました。

『ドライブ・マイ・カー』©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
以下、受賞およびノミネート一覧です(☆=受賞)。
作品賞
☆『コーダ あいのうた』シアン・ヘダー監督
『ベルファスト』ケネス・ブラナー監督
『ドント・ルック・アップ』アダム・マッケイ監督
『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督
『DUNE/デューン 砂の惑星』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督
『ドリームプラン』レイナルド・マーカス・グリーン監督
『リコリス・ピザ』ポール・トーマス・アンダーソン監督
『ナイトメア・アリー』ギレルモ・デル・トロ監督
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ジェーン・カンピオン監督
『ウエスト・サイド・ストーリー』スティーブン・スピルバーグ監督
主演男優賞
☆ウィル・スミス『ドリームプラン』
ハビエル・バルデム『愛すべき夫妻の秘密』
ベネディクト・カンバーバッチ『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
アンドリュー・ガーフィールド『tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!』
デンゼル・ワシントン『マクベス』
主演女優賞
☆ジェシカ・チャステイン『タミー・フェイの瞳』
オリヴィア・コールマン 『ロスト・ドーター』
ペネロペ・クルス『Parallel Mothers』
ニコール・キッドマン『愛すべき夫妻の秘密』
クリステン・スチュワート『スペンサー ダイアナの決意』
監督賞
☆ジェーン・カンピオン『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
ケネス・ブラナー『ベルファスト』
濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』
ポール・トーマス・アンダーソン『リコリス・ピザ』
スティーブン・スピルバーグ『ウエスト・サイド・ストーリー』
助演女優賞
☆アリアナ・デボーズ『ウエスト・サイド・ストーリー』
ジェシー・バックリー『ロスト・ドーター』
ジュディ・デンチ『ベルファスト』
キルスティン・ダンスト『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
アーンジャニュー・エリス『ドリームプラン』
助演男優賞
☆トロイ・コッツァー『コーダ あいのうた』
キアラン・ハインズ『ベルファスト』
ジェシー・プレモンス『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
J・K・シモンズ『愛すべき夫妻の秘密』
コディ・スミット=マクフィー『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
脚色賞
☆シアン・ヘダー『コーダ あいのうた』
濱口竜介、大江崇允『ドライブ・マイ・カー』
ジョン・スペイツ、ドゥニ・ヴィルヌーヴ、エリック・ロス『DUNE/デューン 砂の惑星』
マギー・ジレンホール『ロスト・ドーター』
ジェーン・カンピオン『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
脚本賞
☆ケネス・ブラナー『ベルファスト』
アダム・マッケイ『ドント・ルック・アップ』
ザック・ベイリン『ドリームプラン』
ポール・トーマス・アンダーソン『リコリス・ピザ』
エスキル・フォクト、ヨアキム・トリアー『わたしは最悪。』
国際長編映画賞
☆『ドライブ・マイ・カー』(日本)
『FLEE フリー』(デンマーク)
『The Hand of God』(イタリア)
『ブータン 山の教室』(ブータン)
『わたしは最悪。』(ノルウェー)
撮影賞
☆『DUNE/デューン 砂の惑星』
『ナイトメア・アリー』
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
『マクベス』
『ウエスト・サイド・ストーリー』
衣装デザイン賞
☆『クルエラ』
『シラノ』
『DUNE/デューン 砂の惑星』
『ナイトメア・アリー』
『ウエスト・サイド・ストーリー』
編集賞
☆『DUNE/デューン 砂の惑星』
『ドント・ルック・アップ』
『ドリームプラン』
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
『tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!』
メイクアップ&ヘアスタイリング賞
☆『タミー・フェイの瞳』
『星の王子ニューヨークへ行く2』
『クルエラ』
『DUNE/デューン 砂の惑星』
『ハウス・オブ・グッチ』
作曲賞
☆『DUNE/デューン 砂の惑星』
『ドント・ルック・アップ』
『ミラベルと魔法だらけの家』
『Parallel Mothers』
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
音響賞
☆『DUNE/デューン 砂の惑星』
『ベルファスト』
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
『ウエスト・サイド・ストーリー』
歌曲賞
☆“No Time To Die”『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』
“Be Alive”『ドリームプラン』
“Dos Oruguitas” 『ミラベルと魔法だらけの家』
“Down to Joy”『ベルファスト』
“Somehow You Do”『Four Good Days』
美術賞
☆『DUNE/デューン 砂の惑星』
『ナイトメア・アリー』
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
『マクベス』
『ウエスト・サイド・ストーリー』
視覚効果賞
☆『DUNE/デューン 砂の惑星』
『フリー・ガイ』
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
長編アニメーション賞
☆『ミラベルと魔法だらけの家』
『FLEE フリー』
『あの夏のルカ』
『ミッチェル家とマシンの反乱』
『ラーヤと龍の王国』
長編ドキュメンタリー賞
☆『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』
『Ascension』
『Attica』
『Flee』
『燃え上がる記者たち』
短編実写映画賞
☆『The Long Goodbye』
『Ala Kachuu – Take and Run』
『The Dress』
『On My Mind』
『Please Hold』
短編アニメーション賞
☆『The Windshield Wiper』
『Affairs of the Art』
『Bestia』
『ボクシングバレー』
『ことりのロビン』
短編ドキュメンタリー賞
☆『The Queen of Basketball』
『オーディブル: 鼓動を響かせて』
『私の帰る場所』
『ベナジルに捧げる3つの歌』
『When We Were Bullies』