インフィニティ・ストーン〜MCUにおける最大の力の行方〜
- Aquila
マーベル・コミックス作品世界において最大の力のひとつであるインフィニティ・ストーン。原作コミックでのインフィニティ・ストーンは全部で六つあり、それぞれに精神、現実、力、空間、時間、魂のパワーを司る。すべてを手に入れた者は宇宙を支配できると言われ、サノスがそれを成し遂げた際には、ヒーローたちを大いに苦しめた。マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)においても例外ではなく、これまでの映画作品で我々は何度もその絶大なパワーの片鱗を見せつけられてきた。今回はMCU作品にこれまで登場したインフィニティ・ストーンそれぞれの経緯と、今後登場するであろうストーンについて考察する。
テッセラクト
まず1つ目は、MCUで最初に登場したストーンである「テッセラクト」だ。コズミックキューブ、あるいは四次元キューブとも呼ばれ、青く輝く立方体の形をしている。
『マイティ・ソー』のラストシーンで初登場したテッセラクトは、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』でも登場。かつて地球を訪れたオーディンが地球に残し、保管されていたものをレッドスカルが兵器に転用しようとしたが、そのパワーに溺れた彼を次元の彼方へと消滅させた。また『アベンジャーズ』ではロキがこの力を使い、ニューヨーク上空に穴を開けて宇宙からチタウリの軍団を呼び寄せた。アベンジャーズに敗北した彼とソーをアスガルドへと送り返したのもキューブの力である。このことから、テッセラクト(あるいはその中に封じ込められた石)は”空間”を操作する能力を持つと考えられる。
エーテル
2つ目は『マイティ・ソー ダーク・ワールド』に登場した赤く輝く「エーテル」。ソーの恋人であるジェーンが体内に取り込んでしまったため、彼女はダークエルフから狙われることとなった。ソーたちの活躍によってジェーンから分離した後、ラストシーンでコレクターの保管庫に収められる様子が描かれたが、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で保管庫が破壊されてしまったため現在は行方不明。
オーブ
3つ目は「オーブ」。『ガーディアンズ〜』にて初登場したこの紫色に輝くストーンは、前述した保管庫の破壊を引き起こした原因でもある。一撃で惑星ひとつを丸ごと破壊するほどの能力を持つと言われるこの石は、スター・ロードことピーター・クイルが盗み出した後ロナンに奪われてしまい、ザンダー星の破壊に利用されかけた。すんでの所で阻止され、その後ザンダー星のノバ軍によって保管されている模様。
マインド・ストーン
4つ目は「マインド・ストーン」。それまでの作品でも人の心を操る杖「セプター」として登場しロキが所持していたが、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』でその先に付いていた石がインフィニティ・ストーンのひとつであったことが判明する。セプターは『アベンジャーズ』でもホークアイやセルヴィグ教授を洗脳し、ロキの計画に利用するために使われていた。『エイジ・オブ〜』では、ストーンの中に閉じ込められていた情報をもとにウルトロンのAIが生み出され、またこれを額に埋め込んだヴィジョンは”ジャーヴィスでもウルトロンでもない”個としての人格を持つに至った。これらのことから、その名の通り”精神”を操る力を持つことは明らかだろう。
MCUにおけるインフィニティ・ストーンも原作同様に六つ存在すると語られており、すでに挙げた4つを除けば残りは2つ。また、「テッセラクト」「エーテル」「オーブ」「セプター」の頭文字はそれぞれT、A、O、Sであり、6つ揃うと”THANOS”すなわちサノスの名前が完成するのではないか、との説もある。
日本では2017年1月公開の『ドクター・ストレンジ』には、MCUにおいて初めての”魔術”が登場する。他の作品群、他のヒーローたちとは一線を画すこの作品にもまた新たなインフィニティ・ストーンが登場するのではないか、と私は考えている。例えば、ストレンジが首に提げたネックレス「アガモットの目」(ネックレスが”N”に当たる?)は、原作コミックにおいてもすべてを見通す魔眼であり、強大なパワーを持っている。あるいはもっと重要な、ストレンジたち魔術師の力そのものがストーンのひとつによるものなのかもしれない。
数々の事件の裏に見え隠れするサノスが「インフィニティ・ガントレット」と思われる黄金の籠手を手に入れたことからもわかる通り、2018年・2019年に2部作で公開される『アベンジャーズ: インフィニティ・ウォー』ではすべてのストーンが登場し、大勢のスーパーヒーローたちと巨悪サノスとの大決戦が勃発することに疑いはない。ヒーローたちを時には救い、時には苦しめ、またすべてのMCU作品を繋ぐ架け橋ともなっているインフィニティ・ストーン。その行方からは、今後も目が離せない。