【受賞結果】第78回ゴールデングローブ賞(2021年)映画部門
- Fan's Voice Staff
第78回ゴールデングローブ賞の授賞式がアメリカ現地時間2月28日(日)に開催されました。
ドラマ部門は、ベネチア国際映画祭で金獅子賞(最高作品賞)を受賞以来、賞レースを席巻してきたクロエ・ジャオ監督の『ノマドランド』が作品賞と監督賞という重要賞をダブル受賞しました。女性監督としては1984年のバーブラ・ストライサンドに続く2人目、アジア系の女性監督としては初の監督賞受賞になります。
『ノマドランド』は、ジェシカ・ブルーダーによるベストセラーノンフィクション「ノマド:漂流する高齢労働者たち」(春秋社刊)を基にしたロードムービー。リーマンショックの煽りを受け失業した60代の女性が、季節労働で生活費を稼ぎながら車上生活を送り、バンでアメリカ大陸を横断する様子を通じて“現代のノマド”たちの姿を捉えます。主演のフランシス・マクドーマンド、デヴィッド・ストラザーンらスター俳優に加え、実際の車上生活者をキャスティングした真実味のある演出も評価されています。
中国生まれで、英国や米国で教育を受けたクロエ・ジャオはインディーズ映画で注目され、長編3作目にして映画界のトップに躍り出ました。次回作は、大作のMCU映画『エターナルズ』ですが、すでに撮影を終え、本年度公開が予定されています。製作も兼ねた主演のフランシス・マクドーマンドは、主演女優賞の有力候補として名前が取り沙汰されていましたが、惜しくも受賞はならず。が、アカデミー賞でもノミネートは確実視されています。
ミュージカル・コメディ部門では、『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』が作品賞と主演男優賞をサシャ・バロン・コーエンがダブル受賞しました。2006年に製作された前作の主人公であるカザフスタンの架空のテレビレポーター、ボラット(コーエン)が米国大統領ドナルド・トランプに貢物を届けるミッションを担うという社会派風刺コメディ。トランプ政権への痛烈な批判が満載で、大統領選に照準を合わせたこともあり、大ヒットしました。
外国語映画賞は、A24×プランBがタッグを組んだアメリカ映画ながら、本編の大半が韓国語の『ミナリ』が受賞しました。ゴールデン・グローブ賞では本部門以外にノミネートされませんでしたが、アカデミー賞では作品賞、俳優賞などでの多数ノミネートが期待されています。
映画部門で最多22ノミネートを獲得していたNetflixは4つの受賞となり、サーチライト・ピクチャーズおよびピクサーを擁するディズニー(Hulu作品を除く)と同数受賞となりました。
以下、受賞およびノミネート作品の一覧です(☆=受賞作)。
作品賞(ドラマ部門)
☆『ノマドランド』クロエ・ジャオ監督(サーチライト・ピクチャーズ)
『ファーザー』フロリアン・ゼレール監督(Sony Pictures Classics)
『Mank/マンク』デヴィッド・フィンチャー監督(Netflix)
『Promising Young Woman』エメラルド・フェネル監督(Focus Features)
『シカゴ7裁判』アーロン・ソーキン監督(Netflix)
主演男優賞(ドラマ部門)
☆チャドウィック・ボーズマン『マ・レイニーのブラックボトム』
リズ・アーメッド『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』
アンソニー・ホプキンス『ファーザー』
ゲイリー・オールドマン『Mank/マンク』
タハール・ラヒム『The Mauritanian』
主演女優賞(ドラマ部門)
☆アンドラ・デイ『The United States vs. Billie Holiday』
ヴィオラ・デイヴィス『マ・レイニーのブラックボトム』
ヴァネッサ・カービー『私というパズル』
フランシス・マクドーマンド『ノマドランド』
キャリー・マリガン『Promising Young Woman』
作品賞(ミュージカル・コメディ部門)
☆『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』ジェイソン・ウォリナー監督(Amazon Studios)
『ハミルトン』トーマス・ケイル監督 (ディズニープラス)
『Music』シーア監督
『パーム・スプリングス』マックス・バーバコウ監督(Hulu/Neon)
『ザ・プロム』ライアン・マーフィー監督(Netflix)
主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)
☆サシャ・バロン・コーエン『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』
ジェームズ・コーデン『ザ・プロム』
リン=マニュエル・ミランダ『ハミルトン』
デヴ・パテル『どん底作家の人生に幸あれ!』
アンディ・サムバーグ『パーム・スプリングス』
主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)
☆ロザムンド・パイク『I Care a Lot』
マリア・バカローヴァ『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』
ケイト・ハドソン『Music』
ミシェル・ファイファー『French Exit』
アニャ・テイラー=ジョイ『Emma.』
助演男優賞
☆ダニエル・カルーヤ『Judas and the Black Messiah』
サシャ・バロン・コーエン『シカゴ7裁判』
ジャレッド・レト『The Little Things』
ビル・マーレイ『オン・ザ・ロック』
レスリー・オドム・Jr『あの夜、マイアミで』
助演女優賞
☆ジョディ・フォスター『The Mauritanian』
グレン・クローズ『ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌』
オリヴィア・コールマン『ファーザー』
アマンダ・セイフライド『Mank/マンク』
ヘレナ・ゼンゲル『この茫漠たる荒野で』
監督賞
☆クロエ・ジャオ『ノマドランド』
エメラルド・フェネル『Promising Young Woman』
デヴィッド・フィンチャー『Mank/マンク』
レジーナ・キング『あの夜、マイアミで』
アーロン・ソーキン『シカゴ7裁判』
脚本賞
☆アーロン・ソーキン『シカゴ7裁判』
エメラルド・フェネル『Promising Young Woman』
ジャック・フィンチャー『Mank/マンク』
クリストファー・ハンプトン、フロリアン・ゼレール『ファーザー』
クロエ・ジャオ『ノマドランド』
作曲賞
☆トレント・レズナー、アッティカス・ロス、ジョン・バティステ『ソウルフル・ワールド』
アレクサンドル・デスプラ『ミッドナイト・スカイ』
ルドウィグ・ゴランソン『TENET テネット』
ジェームズ・ニュートン・ハワード『この茫漠たる荒野で』
トレント・レズナー、アッティカス・ロス『Mank/マンク』
歌曲賞
☆“Io Si (Seen)”『これからの人生』
“Fight for You”『Judas and the Black Messiah』
“Hear My Voice”『シカゴ7裁判』
“Speak Now”『あの夜、マイアミで』
“Tigress & Tweed” 『The United States vs. Billie Holiday』
アニメーション映画賞
☆『ソウルフル・ワールド』ピート・ドクター監督(ピクサー)
『The Croods: A New Age』ジョエル・クロフォード監督(ドリームワークス・アニメーション)
『2分の1の魔法』ダン・スキャンロン監督(ピクサー)
『フェイフェイと月の冒険』グレン・キーン、ジョン・カース監督(Netflix)
『ウルフウォーカー』トム・ムーア、ロス・スチュアート監督(Apple TV+/GKIDS)
外国語映画賞
☆『ミナリ』リー・アイザック・チョン監督(アメリカ)
『Another Round』トマス・ヴィンターベア監督(デンマーク)
『ラ・ヨローナ ~彷徨う女~』ハイロ・ブスタマンテ監督(フランス、グアテマラ)
『これからの人生』エドアルド・ポンティ監督(イタリア)
『Two of Us』フィリッポ・メネゲッティ監督(アメリカ、フランス)