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2020.01.31 21:00

『スピリッツ・オブ・ジ・エア』デジタル・リマスター版、本編冒頭映像が解禁!

  • Fan's Voice Staff

『クロウ/飛翔伝説』(94年)、『アイ、ロボット』(04年)など近未来SF映画でその名を知られるエジプト出身の監督、アレックス・プロヤスのデビュー作にして最高傑作との呼声が高い『スピリッツ・オブ・ジ・エア』のデジタル・リマスター版公開に先立ち、本編冒頭映像が解禁されました。

初公開時オーストラリア・アカデミー賞の最優秀美術賞・最優秀衣装賞にノミネートされるなど高評価を得た本作。1990年開催の第1回ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映され、審査員特別賞を受賞。この映画祭の審査員を務めたのは、ジョン・ヴォイト、アンジェリーナ・ジョリー、ジョゼ・ジョバンニ監督、相米慎二監督、根津甚八、竹中直人という錚々たる映画人たちでした。翌91年には日本でも劇場公開され、レイトショーで12週間のロングランとなるヒットを記録するも、VHS発売以降、DVDやブルーレイ化はされず、観る事が難しい<失われた作品>として長年に渡り存在感を高めてきました。約30年ぶりとなる劇場公開では、監督自身の手によるデジタル・リマスター(16mm撮影、2Kスキャン)の鮮烈な映像で、スクリーンに甦ります。

赤い砂漠と紺碧の空の間に林立する巨大な十字架とぽつんと佇む一軒家。そこに住む足の不自由な兄フェリックスはこの場所ではないどこかへ飛び立とうと、飛行機づくりに明け暮れています。一方、偏執的な気質を持つ妹ベティは死んだ父の墓を守ることに執着しています。

冒頭映像は、日が沈み淡く蒼い色の空が広がる荒野を、人影が通り過ぎるシーンから始まります。穏やかな表情で弦楽器を奏でるベティが映し出された後、幽鬼のような黒い人影がゆっくりと近づいてくることに気づいた彼女の表情は一変し、狼狽する様子が捉えられています。

冒頭から流れる音楽は、ミニマルミュージックの作曲家フィリップ・グラスを想起させ、哀愁と憧憬を感じさせます。一瞬にして心を掴まれる映像美と印象深い音楽によって、観客の心を遥か彼方の荒廃した近未来へと誘います。

本作の音楽を手掛けたピーター・ミラーは、プロヤス監督の友人でもあり、脚本の段階ですでに作曲が行われていました。監督は、「撮影前からテーマ音楽があるというのは素晴らしく贅沢なことだった。本作では、音楽が個性的な3人のキャラクターの魂の一部でありながらも、風が全員を結びつけるように重要な役割を果たしている」と語っています。

制作に4年半を費やし、壮大なロマンの物語を完成させたアレックス・プロヤス監督。公開当時、「『スピリッツ・オブ・ジ・エア』は、目の前に立ちはだかる、時には馬鹿げているとさえ思えるような障害物と戦いながらも、夢を実現させようとする者たちの物語である。この映画に登場する人々は、エキセントリックで弱点も見せる。彼らのシチュエーションはしばしば滑稽であるが、それは実際に我々が経験している日常ほどではない。これは、ある意味での犠牲と失敗についての映画だ。それはただ、笑うしかすべのないものである」とコメントを残しています。

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『スピリッツ・オブ・ジ・エア』(原題:Spirits of the Air, Gremlins of the Clouds)

果てしなく広がる荒野に一軒だけの小さな家に住む足の不自由なフェリックス。彼は手作りの飛行機によって空を飛ぶという妄想に取り憑かれ、いつかこの場所からの脱出を夢見ている。一方、偏執的な気質を持つ妹ベティは、この場所を一生離れてはいけないという父の遺言を忠実に守り、十字架に囲まれて暮らしている。そんな2人の生活の中に、ある日、スミスと名乗る逃亡者が現れる…。

監督・脚本/アレックス・プロヤス
製作/アレックス・プロヤス、アンドリュー・マックスフェイル 
撮影/デヴィッド・ナウス
音楽/ピーター・ミラー
出演/マイケル・レイク、ザ・ノーム、ライズ・デイヴィス
1988年/オーストラリア/96分/カラー/スタンダードサイズ

日本公開/2020年2月8日(土)より新宿シネマカリテ他全国順次公開
提供/キングレコード
配給/アンプラグド   
公式サイト
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