『ワンダーウーマン』から『レジェンド・オブ・トゥモロー』まで!いま注目のDCコミックス映像化作品総まとめ
DCコミックスとは?
DCコミックス(以下、DC)は1930年代に発足した、マーベル・コミックスと双璧をなすアメリカの巨大コミック出版社です。“DC”というのは“Detective Comics”の略。もともとは同社の主力であったコミック誌の名前でしたが、後にそのまま社名になりました。
DCのコミックにはスーパーマンやバットマン、ワンダーウーマン、フラッシュやアクアマンなどによるヒーローチーム“ジャスティス・リーグ”、そしてジョーカーやハーレイ・クイン、デッドショットなどからなる悪役軍団“スーサイド・スクワッド”をはじめ、ヒーロー側にもヴィラン側にも魅力的なキャラクターが多数存在します。
近年はコミックも非常に多様化しているため一概には言えませんが、DCはマーベルと比較するとヒーローという存在による“神話”的な物語がよく語られる傾向にあると感じます。
DCコミックスを原作として映像化された作品は、1978年、クリストファー・リーヴが主演した『スーパーマン』が草分け的な存在です。近年では明朗快活なヒーロー映画のみならず『V・フォー・ヴェンデッタ』や『ウォッチメン』、そして『ダークナイト』などシリアスで重厚な作品たちも制作されています。
当記事ではそれらの映像化作品の中から、現在進行形で制作されている主な映画、ドラマシリーズをまとめてご紹介します!
DCEU
まずは、2017年11月23日に日本公開が予定されている『ジャスティス・リーグ』を中心に展開される“DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)”。
2013年の『マン・オブ・スティール』、2016年の『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』。同じくDC原作映画である『ウォッチメン』を手がけたザック・スナイダーが監督を務めるこの2作品から始まったDCEUは、ダークな雰囲気でありながらコアなDCファンにはたまらない演出を多数盛り込み、まさに“観るコミック”の体を成しています。
さらに、2016年9月に公開された『スーサイド・スクワッド』。本来バットマンの敵として立ちはだかるヴィラン(悪役)たちを主役に据えた挑戦的な作品です。マーゴット・ロビーが演じた“ハーレイ・クイン”や、ジャレッド・レトが演じた“ジョーカー”の強烈なビジュアルは、全世界のファンの心を鷲掴みにしました。
そしてこの夏(8月25日)、DCEU第4作目となる『ワンダーウーマン』が公開されます!主人公は、スーパーマンに比肩する史上最強のスーパーヒロイン、“ワンダーウーマン”ことダイアナ・プリンス。かつて『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』(1977年)『紅い旋風ワンダーウーマン』(1980年)のタイトルでドラマ化され、DCEUでは『〜ジャスティスの誕生』でもその強さと美しさを見せつけた彼女ですが、本作で描かれるのはそんな彼女と人類のファースト・コンタクト。
女性蔑視の風潮も残る第一次大戦期のヨーロッパを舞台とし、彼女が人間たちと距離を置くようになったきっかけが描かれます。もちろん、戦争に象徴されるシリアスなテーマだけでなく、男性を初めて見たり、人間社会をはじめて知るダイアナや、その強さゆえの周囲とのギャップといった面もコミカルに取り入れられています。
続く、今秋11月23日公開予定の『ジャスティス・リーグ』では舞台を現代に戻し、スーパーマン亡き後の世界が描かれます。『〜ジャスティスの誕生』にてスーパーマンから正義の魂を受け継いだバットマンが、ワンダーウーマンらと共に特殊な能力をもつ超人類“メタヒューマン”たちを集めたヒーローチーム“ジャスティス・リーグ”を結成。悪の天才レックス・ルーサーが予見した、”宇宙から襲い来る脅威”から地球を守るために戦います。
DCEUシリーズは『ジャスティス・リーグ』以降も、そのチームメンバーそれぞれを主役に据えた『アクアマン(原題)』『サイボーグ(原題)』『ザ・フラッシュ(原題)』、そして『ザ・バットマン(原題)』が制作中とのこと。
その他にも、宇宙の平和を守る光の守護者たち『グリーン・ランタン・コァ(原題)』や、キャットウーマンやポイズンアイビー、そしてハーレイ・クインら女性ヴィランたちがチームを結成する『ゴッサムシティ・サイレンズ(原題)』。
そして、原作コミックが“ガイマン賞”グランプリ、準グランプリをそれぞれ受賞するなど、日本でも人気の高いキャラクターである「ナイトウィング」や『シャザム!(原題)』など多数の作品が今後制作を予定されており、コミックファンとしても目が離せません!
今後の公開予定:
『ワンダーウーマン』2017年8月25日 日本公開
『ジャスティス・リーグ』2017年11月23日 日本公開
※以下、原題
『アクアマン』2018年12月21日 米国公開
『シャザム!』2019年4月5日 米国公開
『サイボーグ』2020年4月3日 米国公開
『グリーン・ランタン・コァ』2020年7月24日 米国公開
『ザ・フラッシュ』(公開日未定)
『ザ・バットマン』(公開日未定)
『ゴッサム・シティ・サイレンズ』(公開日未定)
『ジャスティス・リーグ』続編(公開日未定)
『マン・オブ・スティール』続編(公開日未定)
『スーサイド・スクワッド』続編(公開日未定)
『ワンダーウーマン』続編(公開日未定)
『ジャスティス・リーグ・ダーク』(公開日未定)
『ブラックアダム』(公開日未定)
『ナイトウィング』(公開日未定)
『バットガール』(公開日未定)
アローバース
お次はCWネットワークのTVドラマ作品群、アローバース。
“アローバース”とは、DCコミックに登場する緑のフードの弓使い“グリーンアロー”をベースにしたドラマシリーズ『ARROW』と、そこから連なるスピンオフ作品群(または、その作品世界そのもの)を指します。
それぞれの作品が別々のヒーローを主役にした、独立した物語でありながらも、すべてひとつの同じ作品世界を共有しているため、ストーリー上で互いにリンクする要素があったり、同じキャラクターが別の作品に登場したりと、まさにコミックの世界そのもの。TVドラマとしても異色のシリーズになっています。
昼は御曹司のプレイボーイ、オリバー・クイーンを演じる弓の達人“アロー”が大都会の闇を射抜く『ARROW/アロー』(2012年〜)はシーズン1〜4、
地上最速の男“フラッシュ”ことバリー・アレンとその仲間たちが、悪の超人たちから街を守る『The FLASH/フラッシュ』(2014年〜)はシーズン1・2、
そして『アロー』『フラッシュ』に登場した“二軍”ヒーローたちが、コミックにも登場しないオリジナルのチームを結成。タイムマシンで時空を超えて伝説を塗り替える『レジェンド・オブ・トゥモロー』(2016年〜)はシーズン1、が現在日本でリリースされています。
そして、スーパーマンの従姉妹である“スーパーガール”ことカーラ・ゾー=エルが、恋に仕事に頑張りながらも地球を狙う侵略者たちと戦いを繰り広げる『SUPERGIRL/スーパーガール』(2015年〜)もシーズン2から本シリーズに合流!こちらは現在シーズン1が日本でリリースされています。
『スーパーガール』のシーズン1はもともとCBSによる制作であり、『フラッシュ』とのコラボエピソードなどもありましたが、あくまで別の世界観という設定でした。ところが視聴率が振るわず、危うく打ち切り・シリーズ終了の危機に立たされた時、アローバースを擁するCWネットワークがライセンスを引き受け、シーズン2以降の制作が決定したのでした。
もともとアローバースには並行世界“アース”の概念があり、アローたちの住む世界がアース1、その隣の世界がアース2、さらに隣がアース3……と定義されていました。この設定を利用し、スーパーガールの住む世界は“アース38”、すなわちアローバースと同じ世界観の中での並行世界のひとつである、ということになったのです。
余談ですが、これはDCのコミック作品における2011年のリランチ(世界観や設定の仕切り直し)、THE NEW 52!(DCの宇宙に52個の並行世界が存在するという世界観)を想起させる設定となっています。
最新シーズンとなる『スーパーガール』S2、『アロー』S5、『フラッシュ』S3、『レジェンド〜』S2は、本国アメリカではそれぞれ月・火・水・木曜にほぼ毎週放送され、話題を呼びました。中でもヒーロードラマ史上最大のクロスオーバー・エピソードとなった『インベージョン!』ではアローバースのヒーローたちが全員集合し、3夜連続でエイリアンたちと戦い抜いたのです。
ちなみに、日本ではこの3エピソードを『インベージョン!最強ヒーロー外伝』としてまとめ、8月23日にDVDでレンタル&リリースされる予定です。
これらのアローバース作品はすべてDC作品やそのキャラクターたちを原作としており、あのスーパーマンやスーサイド・スクワッド、そして火星人の生き残りである“マーシャン・マンハンター”ジョン・ジョーンズや悪魔祓いコンスタンティンなどなど、コミックファンにはおなじみのキャラクターたちも多数登場。
実写ドラマだけでなく、アローバースと同じ世界観で描かれ『ARROW/アロー』や『レジェンド・オブ・トゥモロー』にも登場する女戦士“ビクセン”のオリジン(はじまりの物語)が描かれるWebアニメシリーズ『VIXEN/ビクセン』も、この秋に日本でディスク化予定です!
もちろんどれか一つだけでも十分に楽しめますが、シリーズ作品を併せて観ると120パーセント楽しめるようになっています。興味のあるところから手をつけてみて、気になったキャラクターがいれば別作品に手を出してみる、などの楽しみ方も面白いかもしれません(コレもまさにコミックと同じですね!)。王道ヒーローものながら、どれも非常に挑戦的な作品ばかりで、日本でもより多くのアメコミファン・映画/ドラマファンに観てほしいシリーズです。
リリース情報:
『ARROW/アロー<フィフス・シーズン>』
2017年10月4日 Blu-ray/DVDリリース、
2017年9月20日 デジタルセル先行配信
『The FLASH/フラッシュ<サード・シーズン>』
2017年9月20日 Blu-ray/DVDリリース
2017年8月23日 デジタルセル/レンタル先行配信
『レジェンド・オブ・トゥモロー<セカンド・シーズン>』
2017年11月17日 Blu-ray/DVDリリース
デジタルセル先行配信中
『SUPERGIRL/スーパーガール<セカンド・シーズン>』
2017年9月6日 Blu-ray/DVDリリース
2017年8月23日 デジタルセル先行配信
『VIXEN/ビクセン』
2017年9月13日 Blu-rayリリース
『インベージョン!最強ヒーロー外伝』
2017年8月23日 DVDリリース
GOTHAM
3つ目にご紹介するのは、FOXのTVドラマシリーズ『GOTHAM/ゴッサム』(2014年〜)!
“闇の騎士”バットマンが拠点とする街であり、故郷でもあるゴッサムシティ。バットマンといえば、これまでティム・バートンが監督した『バットマン』(1989年)をはじめ、多数の映画作品が制作されてきました。
本作品では、ダークヒーローとしての彼が目覚める前、つまり両親を殺されたブルース・ウェインが波乱の少年時代を過ごすゴッサムが描かれます。主人公は若き日のジム・ゴードン。腐敗と汚職にまみれたゴッサム市警にその身を置きながら、誰よりも熱い正義感と一片の闇を併せ持つ彼は、後にバットマンの無二の協力者となる刑事です。
まだ幼いながらも、両親の謎やウェイン家の血塗られた運命に立ち向かおうとするブルース少年との交流も描かれ、クリストファー・ノーラン版バットマン三部作(『ダークナイト』など)にも通じるふたりの絆に、グッとくるファンも多いのではないでしょうか。
また、バットマンといえばやはりゴッサムに巣食う個性豊かなヴィランたちの存在も欠かせません。一介の傘持ちから裏社会を成り上がっていく“ペンギン”ことコブルポットや、難病を抱えた妻のために悪事に手を染めてしまう“Mr.フリーズ”、そして聖騎士“アズラエル”や、バットマン永遠のライバルであるジョーカーなど、多数のキャラクターたちのオリジンも描かれています。
シーズン3からは、なんとゴッサムを裏から支配してきた闇の組織“梟の法廷”も登場。彼らはコミックでも2011年のリランチで登場したばかりの存在であり、このドラマが紋切り型の“前日譚”では終わらないものであることを決定付けています。
リリース情報:
『GOTHAM/ゴッサム<サード・シーズン>』
2017年11月3日 Blu-ray/DVDリリース
デジタルセル先行配信中
その他
今年3月に日本上陸を果たした『LUCIFER/ルシファー』は、地獄の統治に飽きてしまった堕天使ルシファーが現代のロサンゼルスにやって来るTVドラマ。
放送前から「悪魔が主人公なんて!」という反対署名運動が勃発するなど波乱のシリーズですが、ファンの声によってシーズン2の話数が延長され、シーズン3の制作も決定しているほどの高い人気を誇っています。
また、日本では未リリースですが『iZombie』にも注目です。
ゾンビになってしまった女子医大生が検視室で働きながら、食べた脳の記憶から難事件を解決していく犯罪ドラマ。アクションやラブコメ要素も盛り込まれたポップな作風で、3シーズンが制作されている人気作品です。
また、元ヒーローでありながら引退して教師になった男を主人公としたTVドラマ『ブラック・ライトニング(原題)』も現在制作中とのこと。
まさに群雄割拠と言わんばかりに多数の作品が制作されながらも、それぞれ違った魅力を放ちつづけるDCコミックス原作の映像作品群。神話的とも称されるDCの世界観を壮大なスケールで描き出す映画シリーズは、いずれ新たなジャンルとして確立されていくことでしょう。
まだまだ新しい設定も独自の解釈で貪欲に取り入れていくドラマシリーズは、初心者からコアなファンまで楽しむことができ、コミック作品への入口としても申し分ない作りになっています。
これから先も、まだまだ拡大していくDCヒーローたちの映像世界。“コミック原作”の歴史に新たな伝説を刻み続けていくことでしょう。