Review

2019.04.20 16:00

大傑作の声続出の『シャザム!』を4DX吹替版で観賞!体験レビュー

  • ichigoma

DC映画最新作『シャザム!』が4月19日(金)、ついに日本公開されました。

DCから飛び出してきた新たなヒーロー、それが魔法の守護者“シャザム”。子どもの頃に遊園地で母とはぐれ、孤児として育ったビリー。少し捻くれてはいるものの、心根のまっすぐな14歳の少年は魔術師に見出され、屈強な成人男性の肉体と全能の力を手に入れます。

一足先に公開された北米では大絶賛され、アメリカの映画批評サイトRotten Tomatoesでは90%Freshと高い評価を得ている本作(※記事掲出時点)。

日本公開では、2D字幕版、吹替版に加え、IMAXや4DXという、多彩な上映形式が展開されています。その中でも最もアトラクション性が高いであろう4DX吹替版を観てきたので、レポートしたいと思います!

劇場はユナイテッド・シネマ アクアシティお台場です。

客席108席、スクリーンサイズは5.0 x 10.4m

ここ数年でぐっと認知度を上げてきた4DX上映ですが、そのシステムを軽くおさらいしておきましょう。その機能を具体的にいうと、モーション、エアー、ミスト、香り、バブル、霧、風、フラッシュ、嵐、熱風などです。

つまり、映画のシーンに合わせて座席が前後左右に動いたり、座面全体が振動したり、水しぶきやスモーク、匂いなどのリアルな演出がプラスされることによって映画の世界に入り込める、まるでアトラクションのような体感型の上映形式です。

4D上映にもユナイテッドシネマ系を中心に導入されている4DXと、TOHOシネマズ系を中心に提供されているMX4Dの2つがありますが、4DXの方が座席の振動が激し目です。

で、4DXで観た『シャザム!』最初の感想。

この上映方式、『シャザム!』に超合っている!テンション上がるし、吹替版の演出も演技も普通に面白い!!

まずは演出面。

この映画で多用されるのは、まずは、“フラッシュ”です。

『シャザム!』は、シャザムのヒーロースーツにもあしらわれているように、フラッシュはこの作品のキーポイントのひとつです。“変身”をはじめとする激しい光を伴うシーンでは、劇場内のフラッシュも焚かれます。普段は暗闇で覆いつくされている場内が、一瞬白い光に包まれ、否応無くテンションが上がります。臨場感ももちろん200%UP。

両サイド天井に設置された、送風機などの数々

続いて、“ムーブメント”と“風”。

これらの機能は、アクションに迫力を与えてくれるため、アメコミ映画には欠かせないアイテムですが、ドライブシーンや飛行シーンなどが多いこの作品は、さらにこれらの演出の効果が際立っていました。

また、先ほど4DXは座席振動がやや強いと記載しましたが、この作品は子供も鑑賞することを意識してか、震度は最大値ではなく、少し手加減してくれている気がします。とはいっても、メリハリ持ってしっかり動いてくれるので、4DXファンもご安心を。これはいくら睡眠不足でも眠れませんね!

本編のネタバレになりかねないので具体的には言えませんが、4DX上映だと頻繁に使われることが多い、刺激強めのとあるエフェクトがほぼ使用されていないのも印象的でした。そういう意味では、どの世代でも楽しめるオールマイティな演出だと思います。

座席番号は足元です

さて、吹替版の出来栄え。

『銀魂』『HK 変態仮面』等のコメディ映画を世に送り出してきた福田雄一監督が監修・演出を務め、シャザムの声を俳優・菅田将暉が担当した、“例の”吹替版です。私も映画好きの端くれとして、この両名の名前を聞いた時の原作ファンや映画ファンの心によぎった気持ちは何となく分かります。大好きな作品がまったく想像してなかった、斜め上の方向で脚色されるのではないかといった不安や、テレビで活躍してる俳優やタレントの日本語吹替を聴いて、「これじゃない」と思うかもしれないという疑念。

しかし、しかしですよ。こうした吹き替えキャスティングの場合、実際にフタを開けてみたら、声優さん顔負けの演技力と声量で圧倒されるパターンに遭遇する事があるのもまた事実。百聞は一見に如かず、実際観てみてから判断しようじゃありませんか。

コメディ要素の吹替は、海外では通じるジョークをどこまで日本の文化と同じ内容に落とし込めるかと、原語と同じレベルの笑いに調整できるかがポイント。例えばあちらでは有名だけど日本では知られてないテレビ番組等のパロディが出てくる場合、そのままの翻訳だと何が面白いのかツボが分からなくなってしまうのを、日本人でも通じる言い回しや表現にアレンジするのが肝ですが、福田監督が持ち合わせてる独特のセンス、所謂「福田イズム」で、原語では絶対言ってないようなやりたい放題の台詞や表現で作品全体が色濃く染まってる感じはなく、終始作品に対する敬意を払ったものに仕上がっていました。

そして吹替声優。

皆さんが一番気にされてるのは「菅田将暉の吹替、大丈夫なの?」って所だと思いますが、私個人としては安心して合格点を出せる演技でした。スーパーパワーを得て大人の体になった時のとまどいの部分や、その力を無邪気に行使する様など、ちゃんと気持ちが伝わってくるものになっていました。

あとは菅田将暉の声を、シャザム役のザッカリー・リーヴァイの声として聞けるかどうか。こればかりは個人の好き好きもありますし、似てる・似ていないも主観によるものが大きいので難しいところですが、それでも大きくはみ出した出来栄えではないと思います。

と言うか、本作のヴィランであるDr.シヴァナの吹替を担当した子安武人の演技がアクが強すぎで、そっちの方が気になりました(笑)。一言で言えばいつもの子安です。子安節全開。

その他シャザムの変身前・ビリー少年を演じるアニキこと緒方恵美や、ビリーの悪友であるフレディ役の阪口大助、ビリーと同じグループホームで暮らす姉・メアリー役の平野綾等、実力も確かな声優陣も勢揃いしていますので、こちらも期待していただきたいです。

洋画を字幕で観るか吹替で観るか。そして声優ではなくタレントを起用した吹替キャストはどうなのか。この論争は映画ファンの中でも長きに渡って繰り広げられていますが、周囲の意見や固定概念に囚われすぎて、目の前にある箱を開けずにスルーしてしまうのはもったいない!

何より『シャザム!』自体はアクション満載ギャグ満載の面白い映画に仕上がっているので、ぜひ劇場で観ることをオススメします!

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『シャザム!』(原題:SHAZAM!)

監督/デヴィッド・F・サンドバーグ
製作/ピーター・サフラン
出演/ザッカリー・リーヴァイ、アッシャー・エンジェル、マーク・ストロング、ジャック・ディラン・グレイザー
全米公開:2019年4月5日

日本公開/2019年4月19日(金)、ロードショー
配給/ワーナー・ブラザース映画
公式サイト
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