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2019.02.06 11:00

アリーチェ・ロルヴァケル監督『幸福なラザロ』日本版予告編が解禁

  • Fan's Voice Staff

カンヌ国際映画祭グランプリ作『夏をゆく人々』など、長編監督作の全てがカンヌに出品されてきたアリーチェ・ロルヴァケル監督待望の最新作『幸福なラザロ』の日本版予告編が解禁されました。

20世紀後半、イタリアの小さな村で暮らすラザロや村人たちは誰も外の世界を知らない。この映像では、オルゴールやピアノの優しい音色と村人たちがラザロを呼ぶ声が響き、広大なタバコ畑で慎ましく働き穏やかに暮らす人々の姿を温かなタッチで映し出していく。しかしその実態は、「人間は獣と同じ」などと語り小作制度の廃止を隠蔽する伯爵夫人に騙され、村人は社会と隔絶した生活を強いられているのだ。ある日、夫人の息子で町からやってきた美しい青年タンクレディと出会ったラザロは、山の上にあるささやかな隠れ家を教え、ふたりはやがて強い絆で結ばれるようになる。ところが、母親に反発するタンクレディが自身の誘拐騒ぎを起こしたのをきっかけに、夫人による大規模な労働搾取の実態が明るみとなり、物語は思わぬ展開に向けて動き出す。谷底で野生の狼によってラザロが目を覚ました時、全ては変わっていた。しかし、ラザロの決して曇ることのない澄んだ眼差しだけは変わらない──。

監督を務めたアリーチェ・ロルヴァケルは、前作『夏をゆく人々』で鮮烈な印象を残し、世界が注目したイタリアの才能。本作は、例年にも増して話題作が並んだ2018年カンヌ国際映画祭で、パルムドールを受賞した『万引き家族』と共にコンペティション部門で話題をさらい、見事脚本賞を受賞しました。

本作製作のきっかけになったイタリアで実際に起こった農民達の隔離や労働搾取という驚愕の事件について、ロルヴァルケル監督は「歴史的な転換期に乗り遅れてしまったこの農民たちの物語に、私はずっと心を動かされてきました。この新聞記事は次の日には忘れられてしまうようなニュースです。壁に貼られた記事はすっかり日焼けし黄ばんでも、この記事だけが、世界が崩壊したこと、そして彼らが置き去りにされたことを示す記録だったのです」とコメント。また、本作のテーマを「この映画が伝えるのは、この世で生きていく上で、誰のことも疎まず、人を信じ切ることの尊さです。生きていく方法は他にもあると思い込み、善なる生き方を拒み続けている私たちに、その事実を突きつけるのです」と語っています。

主人公ラザロを演じるアドリアーノ・タルディオーロは、公立高校在学中に監督によってスカウトされ、1,000人以上の同年代男子の中から発掘された新星。それまで全く演技経験はなかったが、その無垢な瞳は見る者の心を溶かし、まさに現代に蘇ったラザロを体現し圧倒的かつ鮮烈な印象を残します。そのほか、イタリア映画界を代表する女優で監督の実の姉であるアルバ・ロルヴァケルが『夏をゆく人々』に続いて出演。侯爵夫人を『ライフ・イズ・ビューティフル』などで知られる女優ニコレッタ・ブラスキが演じます。

NYタイムズが2018年ベスト映画の5位に選出し「すでに古典といえる最高傑作」と激賛されるなど、海外メディアから高い評価を受けている本作。昨年秋の北米公開を前にして本作を観たマーティン・スコセッシは絶賛し、映画完成後という異例のタイミングながらエグゼクティブ・プロデューサーに名乗りを上げたことも注目に値します。

日本では4月19日に公開される『幸福なラザロ』。ラザロが絵本の世界に迷い込んだかのような印象的な海外のアートワークを採用した特製イラストポストカード付き特別鑑賞券(税込1,500円)は、Bunkamuraル・シネマほか一部上映劇場で発売中です(ポストカードは限定数・先着順)。

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『幸福なラザロ』(英題:Happy As Lazzaro)

時は20世紀後半、社会と隔絶したイタリア中部の小さな村。純朴なラザロと村人たちは領主の侯爵夫人から小作制度の廃止も知らされず、昔のままタダ働きをさせられていた。ところが夫人の息子タンクレディが起こした誘拐騒ぎをきっかけに、前代未聞の労働搾取の実態が明るみとなる。ついに村人たちは恐る恐る外の世界へ出て行くが、ラザロだけは……。

監督・脚本/アリーチェ・ロルヴァケル
出演/アドリアーノ・タルディオーロ、アニェーゼ・グラツィアーニ、アルバ・ロルヴァケル、ルカ・チコヴァーニ、トンマーゾ・ラーニョ、セルジ・ロペス、ニコレッタ・ブラスキ
2018年/イタリア/イタリア語/127分/1.66:1
原題:Lazzaro Felice/日本語字幕:神田直美

日本公開/2019年4月19日(金)よりBunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー
配給:キノフィルムズ/木下グループ
公式サイト
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