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2023.08.01 11:00

ジャンニ・アメリオ監督『蟻の王』11月10日公開決定!日本版ポスターが解禁!

  • Fan's Voice Staff

第79回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に選出されたイタリア名匠ジャンニ・アメリオ監督最新作『Il signore delle formiche』が、邦題を『蟻の王』として11月10日(金)より全国順次公開されることが決定し、日本版ポスタービジュアルが解禁されました。

人と人の繋がりを、時に冷徹に、時に繊細に描き続けてきたアメリオ監督が選んだ題材は、同性愛者の存在すら認められなかった時代に恋に落ちた、実在した詩人で劇作家のアルド・ブライバンティとその教え子にインスパイアされた、“人間の尊厳”を問い直す物語。

1960年代、イタリア・ポー川南部の街ピアチェンツァに住む詩人で劇作家、蟻の生態研究者でもあるアルド(ルイジ・ロ・カーショ)は、教え子の若者エットレ(レオナルド・マルテーゼ)と惹かれ合い、ローマに出て共に暮らし始めます。ところが、エットレの家族は二人を引き離し、アルドは逮捕、エットレは同性愛の“治療”として電気ショックを受けるため矯正施設に送られてしまいます。世間の好奇の目に晒されながら始まった裁判を、新聞記者エンニオ(エリオ・ジェルマーノ)は熱心に取材を重ね、不寛容な社会に声を上げますが──。

ファシスト政権下のイタリアでは同性愛者は存在すら認められず、それを禁ずる法はなかったものの、その一方で“教唆罪”という犯罪が成立。1968年にアルド・ブライバンティは、若者をそそのかした「教唆」の罪に初めて問われて逮捕され、裁判となりました。これに、小説家のアルベルト・モラヴィアやウンベルト・エーコ、映画監督のピエル・パオロ・パゾリーニ、マルコ・ベロッキオら芸術家たちは強く反対の意を表明し、世に激しい議論を巻き起こし、のちに“ブライバンティ事件”と呼ばれました。アメリオは製作の動機を「今も存在する“異なる人”に対する憎悪に立ち向かう勇気を与えたい」と語っています。

主人公のアルドを演じたのは、『輝ける青春』『夜よ、こんにちは』『いつだってやめられる』シリーズ等で知られるイタリアの名優ルイジ・ロ・カーショ。本作での演技は「ブライバンティの複雑さと弱さを驚くほど繊細に表現している、卓越した演技」(London Mums Magazine)と称賛を浴びました。

アルドとの愛を貫き通そうとするエットレ役には、『若者のすべて』のアラン・ドロンを彷彿とさせる新星レオナルド・マルテーゼ。その全身全霊の演技を、アメリオは「映画の奇跡」と称しました。裁判のゆくえを見守る新聞記者エンニオ役には、カンヌ国際映画祭主演男優賞受賞歴を持つエリオ・ジェルマーノ。

『蟻の王』は第79回ベネチア国際映画祭でワールドプレミアされ、独立賞5部門で受賞を果たしました。

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『蟻の王』(英題:Lord of the Ants)

監督・脚本:ジャンニ・アメリオ
脚本:エドアルド・ペティ、フェデリコ・ファバ
編集:シモーナ・パッジ
撮影:ルアン・アメリオ・ウイカイ
美術:マルタ・マッフッチ
出演:ルイジ・ロ・カーショ、エリオ・ジェルマーノ、レオナルド・マルテーゼ、サラ・セラヨッコ
2022年/イタリア/イタリア語/ビスタ/カラー/Dolby Digital/140分/字幕翻訳:吉岡芳子/原題:Il signore delle formiche/G

日本公開:2023年11月10日(金)公開!ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺ほか
配給:ザジフィルムズ
後援:イタリア大使館、イタリア文化会館 
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