News

2023.07.25 21:10

第80回ベネチア国際映画祭(2023年)上映作品が発表!

  • Fan's Voice Staff

第80回ベネチア国際映画祭(8月30日〜9月9日)の公式ラインナップが、現地時間7月25日(火)に開催された記者会見にて発表されました。

デヴィッド・フィンチャー監督『The Killer』Photo credit: Netflix ©2023

5月2日から始まった米国のWGA(全米脚本家組合)に続き、SAG-AFTRA(映画俳優組合、米国テレビ・ラジオ芸術家連盟)によるストライキの影響により、オープニング作品に決定していたイタリアを代表する監督であるルカ・グァダニーノによるゼンデイヤ主演の『Challengers』がキャンセルされるなどの混乱に見舞われたベネチア映画祭。他の米国系作品の不参加が懸念されていましたが、蓋を開けてみると、ヨーロッパ勢よりもむしろ米国勢が目立つ、例年以上に派手なラインナップとなりました。

ブラッドリー・クーパー監督『Maestro』Photo credit: Netflix

コンペティション部門は、マイケル・マン、デヴィッド・フィンチャー、ブラッドリー・クーパー、ソフィア・コッポラといった米国のスター監督に加え、『グローリー/明日への行進』で知られるエヴァ・デュヴァネイ監督が、黒人女性監督として初のベネチア映画祭コンペ入りを果たしました。また、コンペ入りが確実視されていたサーチライト・ピクチャーズ製作によるギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス監督×エマ・ストーン主演の新作『哀れなるものたち』も順当にラインナップ。

『哀れなるものたち』© 2023 20th Century Studios All Rights Reserved.

アウト・オブ・コンペティション部門でも、ウェス・アンダーソン、ハーモニー・コリン、リチャード・リンクレイターといった米国の人気監督の最新作が上映予定です。

従来ならばこれらの作品に出演しているアダム・ドライバー、ジェシカ・チャステイン、エマ・ストーンらもベネチア入りするところですが、前述のストが解決しない限り、米国系俳優の来場は望めません。その分、英国、フランス、イタリアなどヨーロッパのスターたちがレッドカーペットを賑わしてくれるでしょう。

マイケル・マン監督『Ferrari』Photo credit: Eros Hoagland

日本勢では、『ドライブ・マイ・カー』(21年)でアカデミー賞国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督の新作『悪は存在しない』が、コンペ部門に初選出。『ドライブ・マイ・カー』で初顔合わせした音楽家の石橋英子との共同企画による本作は、石橋がライブパフォーマンスのための映像を濱口監督に依頼したことがきっかけで生まれた長編映画です。三大映画祭ではすでにカンヌ、ベルリンで受賞歴のある濱口監督ですが、ベネチアでも存在感を示すことが期待されます。

濱口竜介監督『悪は存在しない』©2023 NEOPA, Fictive

サイドバーのオリゾンティ・コンペティション部門には、ベネチアの常連である塚本晋也監督の『ほかげ』が選出。同様にベネチアでプレミアされた『野火』(14年)、『斬、』(18年)の流れを汲み、民衆の目線から戦争を描く作品となっているとのこと。

アウト・オブ・コンペティションのノンフィクション部門では、今年3月に逝去した坂本龍一氏の次男で映像作家の空音央による『Ryuichi Sakamoto | Opus』が上映されます。

塚本晋也監督『ほかげ』©2023 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

また、リュック・ベッソン(コンペティション部門)、ロマン・ポランスキー、ウディ・アレン(ともにアウト・オブ・コンペティション部門)ら性的虐待やセクシャルハラスメントなどで世間を騒がせてきた監督たちの作品も選出されており、今後物議を醸すでしょう。

以下、コンペティション部門、アウト・オブ・コンペティション部門、オリゾンティ部門のラインナップです。

コンペティション部門

『Comandante (Commander)』エドアルド・デ・アンジェリス(オープニング作品)
『Bastarden (The Promised Land)』ニコライ・アーセル監督
『Dogman』リュック・ベッソン
『La Bête (The Beast)』ベルトラン・ボネロ
『Hors-Saison (Out of Season)』ステファヌ・ブリゼ
『Enea』ピエトロ・カステリット
『Maestro』ブラッドリー・クーパー
『Priscilla』ソフィア・コッポラ
『Finalmente L’Alba』サヴェリオ・コスタンツォ
『Lubo』ジョルジョ・ディリッティ
『Origin』エヴァ・デュヴァネイ
『The Killer』デヴィッド・フィンチャー
『Memory』ミシェル・フランコ
『Io capitano (Me Captain)』マッテオ・ガローネ
『悪は存在しない』濱口竜介
『Zielona Granica (The Green Border)』アグニェシュカ・ホランド
『Die Theorie Von Allem』ティム・クレーゲル
『哀れなるものたち』ヨルゴス・ランティモス
『El Conde』パブロ・ラライン
『Ferrari』マイケル・マン
『Adagio』ステファノ・ソッリマ
『Kobieta Z… (Woman of)』マウゴジャタ・シュモフスカ、ミハウ・エングレルト
『Holly』フィエン・トロシュ

アウト・オブ・コンペティション部門

フィクション

『Coup De Chance』ウディ・アレン
『The Wonderful Story of Henry Sugar』ウェス・アンダーソン
『The Penitent』ルカ・バルバレスキー
『La Sociedad De La Nieve (Society of the Snow)』J・A・バヨナ(クロージング作品)
『L’Ordine Del Tempo (The Order of Time)』リリアーナ・カヴァーニ
『Vivants (On the Pulse)』アリックス・ドラポルト
『Daaaaaali!』カンタン・デュピュー
『The Caine Mutiny Court-Martial』ウィリアム・フリードキン
『Making Of』セドリック・カーン
『Aggro Dr1Ft』ハーモニー・コリン
『Hit Man』リチャード・リンクレイター
『The Palace』ロマン・ポランスキー
『Xue Bao (Snow Leopard)』ペマ・ツェテン

ノンフィクション

『Amor』Virginia Eleuteri Serpieri
『Frente A Guernica (Versione Integrale) (In Front Of Guernica [Extended Version])』イェルバン・ジャニキアン、アンジェラ・リッチ・ルッキ
『Hollywoodgate』Ibrahim Nash’at
『Ryuichi Sakamoto | Opus』空音央
『Enzo Jannacci Vengo Anch’io』Giorgio Verdelli
『Menus Plaisirs – Les Troisgros』フレデリック・ワイズマン

シリーズ

『D’Argent Et De Sang (Episodes 1-12)』グザヴィエ・ジャノリ、Frédéric Planchon
『Znam Kako Dišeš (I Know Your Soul) (Episodes 1-2)』Alen Drljević、Nemin Hamzagić

短編映画

『Welcome To Paradise』レオナルド・ディ・コスタンツォ

オリゾンティ部門

オリゾンティ・コンペティション

『A Cielo Abierto』Mariana Arriaga
『El Paraíso』エンリコ・マリア・アルテール
『Oura El Jbel (Behind the Mountains)』モハメド・ベン・アッティア
『The Red Suitcase』Fidel Devkota
『Paradiset Brinner (Paradise is Burning)』ミカ・グスタフソン
『The Featherweight』Robert Kolodny
『Invelle』Simone Massi
『Tereddüt Çizgisi (Hesitation Wound)』Selman Nacar
『Tatami』ガイ・ナティーヴ、ザーラ・アミール・エブラヒミ
『Sem Coração』Nara Normande, Tião
『Una Sterminata Domenica』Alain Parroni
『Ser Ser Salhi (City Of Wind)』Lkhagvadulam Purev-Ochir
『Magyarázat Mindenre (Explanation For Everything)』Gábor Reisz
『Gasoline Rainbow』ビル・ロス、ターナー・ロス
『En Attendant La Nuit』Céline Rouzet
『Domakinstvo Za Pocetnici (Housekeeping for Beginners)』ゴラン・ストレフスキ
『ほかげ』塚本晋也
『Yurt (Dormitory)』Nehir Tuna

オリゾンティ・短編コンペティション

『Aitana』Marina Alberti
『Sea Salt』Leila Basma
『A Short Trip』エレニック・ベキリ
『Et Si Le Soleil Plongeait Dans L’Océan De Nuages』Wissam Charaf
『Wander to Wonder』Nina Gantz
『The Meatseller』Margherita Giusti
『Dive』Aldo Iuliano
『Area Boy』Iggy London
『Cross My Heart and Hope to Die』Sam Manacsa
『Dar Saaye Sarv (In The Shadow of The Cypress)』Hossein Molayemi
『Bogotá Story』Esteban Pedraza
『Sentimental Stories』Xandra Popescu
『Duan Pian Gushi (Short Story)』Lang Wu

オリゾンティ・エクストラ

『Bota Jonë (Notre Monde)』Luàna Bajrami
『Nazavzhdy-Nazavzhdy (Forever-Forever)』Anna Buryachkova
『El Rapto』Daniela Goggi
『Day of the Fight』ジャック・ヒューストン
『In the Land of Saints and Sinners』ロバート・ロレンツ
『Felicità』ミカエラ・ラマゾッティ
『Pet Shop Boys』Olmo Schnabel
『Stolen』Karan Tejpal
『L’homme d’argile』Anaïs Tellenne

==

©Lorenzo Mattotti per La Biennale di Venezia – Foto ASAC

第80回ベネチア国際映画祭

会期:2023年8月30日(水)〜9月9日(土)
開催地:イタリア・ヴェネチア
フェスティバル・ディレクター:アルベルト・バルベラ
© Asac – La Biennale di Venezia.