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2023.04.22 14:00

『EO イーオー』イエジー・スコリモフスキ監督のインタビューが到着!

  • Fan's Voice Staff

第75回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した『EO イーオー』の監督・脚本を手掛けたポーランドの鬼才イエジー・スコリモフスキのインタビューが到着しました。

主人公は、愁いを帯びた瞳とあふれる好奇心を持つロバの“EO(イーオー)”。ある時、サーカス団から連れ出され、ポーランドからイタリアへと予期せぬ放浪の旅に出ることに。人間社会の不条理さと温かさを等しく経験する彼の目から見える世界とは──。

スコリモフスキ監督が「私が唯一、涙を流した映画」と語る、ロベール・ブレッソンの『バルタザールどこへ行く』(66年)にインスパイアされた今作。監督業を7年間離れていたスコリモフスキがポーランドとイタリアで撮影し、同監督史上最も自由で独創的な世界を持つ作品として、各国で高い評価を得ています。

以下、到着したインタビューです。

──本作は詩的な作品であり、世界に対する比喩的なビジョンのようにも感じられます。
何よりも感情に訴える映画を作りたいと思っていました。これまで撮ったどの作品よりも感情に基づいた物語を撮りたかったのです。

──あなたはキャリアの中で多くの偉大な俳優と仕事をしてきましたが、本作の主人公はロバですね。また異なるコミュニケーションが必要だったのではないでしょうか?
この作品の場合、説得のための唯一の方法は優しさを示すことでした。つまり彼の耳に言葉をささやき友好的に愛撫することです。そしてロバは“演技”が何であるかを知りません。彼らは何かのフリをすることができず、純粋に彼ら自身であり続けます。そして決してナルシシズムを見せません。自分の役柄に想定された意図に従って仕事をし、監督のビジョンに口をはさみません。彼らはとても優れた俳優なのです。

──主演“俳優”のキャスティングはどのように行われたのでしょうか?
ブリーダーからロバの写真を見せてもらいました。私はすぐにサルディーニャ種のロバが好きになりました。EOは目の周りに白い斑点のある灰色のロバにしたいと考えていたので、ワルシャワ近郊の厩舎に行き、写真の中で最も魅了されたロバに会いに行きました。彼の名前はタコでした。会った瞬間、彼が私の映画の主役になると確信したのです。

──一見、運命に翻弄され続けるEOですが、彼が保ち続ける純粋さについての映画とも言えるのではないでしょうか?
シニカルで世知辛い私たちの世界では、純粋さは世間知らずの証と受け止められ、弱さであると見なされることもあります。しかし私は今でも、自分の中に残った純粋さを育むよう努めています。また、人間と自然、人間と動物の関係性も考え直す必要があるというメッセージも込められています。動物に対しては毛皮や消費のための産業的な飼育ではなく、愛を以てポジティブな関係を育むが真っ当だと考えていますし、そうなればと願っています。

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『EO イーオー』

愁いを帯びた瞳とあふれる好奇心を持つ灰色のロバ、EO。サーカス団から連れ出され始まった予期せぬ放浪の旅のさなか、善人にも悪人にも出会い、運を災いに、絶望を思わぬ幸福に変えてしまう運命の歯車に耐えている。しかし、一瞬たりとも無邪気さを失うことはない。

監督:イエジー・スコリモフスキ
脚本・製作:エヴァ・ピアスコフスカ、イエジー・スコリモフスキ
出演:サンドラ・ジマルスカ、ロレンツォ・ズルゾロ、イザベル・ユペール
2022/ポーランド、イタリア/カラー/ポーランド語、イタリア語、英語、フランス語/88分/G

日本公開:2023年5月5日(金・祝)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ他にてロードショー
配給:ファインフィルムズ
後援:ポーランド広報文化センター
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