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2023.03.10 12:00

『大いなる自由』日本版予告編&ティザービジュアルが解禁!

  • Fan's Voice Staff

戦後ドイツで男性同性愛を禁ずる刑法175条のもと、愛する自由を求め続けた男の20余年にもわたる闘いを描いた『大いなる自由』の日本版予告編とティザービジュアルが解禁されました。

主人公ハンス(フランツ・ロゴフスキ)と、かつての恋人オスカーの幸せそうな8mmフィルムの映像と、刑法175条違反者の摘発のために公衆トイレで隠し撮られた監視カメラ映像の対比で始まる予告編。24ヶ月の実刑を受けたハンスは、長期刑受刑者のヴィクトール(ゲオルク・フリードリヒ)と「まだここに?」と軽口を叩き合う一方で、何度懲罰房に送られようとも愛を諦めず、新たな関係を築こうとします。刑務所の中での愛、そして別れを経て、ハンスは何を求めるのか──?

映像では、本作の見どころの一つであるヴィクトールとの絶妙な距離感や、強制収容所で腕に彫られた番号を新たな刺青で上書きする印象的なシーンなど、海外メディアで「言葉はいらない。この二人がいればいい」 と称賛された、名付けようのない唯一無二の関係性も垣間見えます。

ティザービジュアルには、何度も投獄されたハンスが独房の小窓から手を伸ばすシーンを配置。チラシの裏面には、ヴィクトールが通路からハンスを覗き込むシーンが配され、二つのシーンとチラシの表裏の関係が、刑務所の通路と扉そのものを思わせるデザインとなっています。

デザインを担当したのは、ゲルハルト・リヒターやマーク・マンダース、川内倫子、牛腸茂雄らの展覧会や作品集に関わってきたデザイナーの須山悠里。洋画のデザインを手がけるのは今回が初。実物のポスター/チラシには、ハンスが伸ばした手の指の下あたりに直径2mmの小さな穴が空いており、「劇中で印象的な“部屋の小さな窓” “本に穿った穴” “ミシンの針”に象徴される、微かに、あるのかどうかも分からないような自由へのアナロジーとして穴を開けたかった」と発案の意図を語っています。

ナチスの強制収容所から刑務所に送られた1945年、恋人オスカーと共に投獄された1957年、そして刑法改正が報じられた1968年。3つの時代を見事に演じ分けるのは、クリスティアン・ペッツォルト監督作『未来を乗り換えた男』や、ドイツ映画賞主演男優賞に輝いた『希望の灯り』などで大きな印象を残した次世代スターで、ダンサー・振付師でもあるフランツ・ロゴフスキ。20余年にもわたり「愛する自由」を求め続けた男ハンスを少ない言葉と雄弁な身体で表現しました。

さらに、『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督が初期代表作でタッグを組んだ撮影監督クリステル・フルニエによる、「レンブラントの絵画のよう」と評された美しい陰影や、北欧のフューチャー・ジャズを牽引するトランペッターのニルス・ペッター・モルヴェルによる、予告冒頭に流れるトランペットの音色にも注目です。

男性同性愛を禁ずる刑法175条は1871年に制定され、ナチス期に厳罰化。戦後東西ドイツにそのまま引き継がれた後、西ドイツでは1969年に21歳以上の男性同性愛が非犯罪化され、1994年にようやく撤廃。約120年間に14万人が処罰されたといわれ、本日3月10日は1994年にドイツ連邦議会が刑法175条の削除を決定した日にあたります。

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『大いなる自由』(英題:Great Freedom)

第二次世界大戦後のドイツ、男性同性愛を禁じた刑法175条の下、ハンスは自身の性的指向を理由に繰り返し投獄される。同房の殺人犯ヴィクトールは「175条違反者」である彼を嫌悪し遠ざけようとするが、腕に彫られた番号から、ハンスがナチスの強制収容所から直接刑務所に送られたことを知る。己を曲げず何度も懲罰房に入れられる「頑固者」ハンスと、長期の服役によって刑務所内での振る舞いを熟知しているヴィクトール。反発から始まった二人の関係は、長い年月を経て互いを尊重する絆へと変わっていく 。

監督・脚本/セバスティアン・マイゼ
共同脚本/トーマス・ライダー
撮影監督/クリステル・フルニエ
編集/ジョアナ・スクリンツィ
音楽/ニルス・ペッター・モルヴェル、ペーター・ブロッツマン
出演/フランツ・ロゴフスキ、ゲオルク・フリードリヒ、トーマス・プレン、アントン・フォン・ルケ ほか
2021年/オーストリア、ドイツ/116分/1:1.85/カラー/原題:Große Freiheit

日本公開/2023年7月7日(金)、 Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開
配給/Bunkamura
公式サイト
© 2021 Freibeuter Film GmbH / Rohfilm Productions
※刑法175条は男性のみを対象としており、女性同性愛については違法と明記されていなかった。