【受賞結果】第80回ゴールデングローブ賞映画部門（2023年）

Fan's Voice Staff

第80回ゴールデングローブ賞（2023年）の授賞式がロサンゼルス現地時間1月10日（火）に開催され、受賞結果が発表されました。

作品賞（ドラマ部門）はスティーヴン・スピルバーグ監督の自伝的ドラマ『フェイブルマンズ』。昨年9月のトロント国際映画祭で観客賞を受賞以来、アカデミー賞でも本命視されており、順当に受賞しました。スピルバーグは監督賞も受賞しており、強さを見せました。

作品賞（ミュージカル・コメディ部門）は、マーティン・マクドナー監督の『イニシェリン島の精霊』が受賞。コリン・ファレルが同部門の主演男優賞、またマクドナーが脚本賞も受賞しており、最多3冠となりました。

A24史上最高のヒット作として多数の受賞を期待されていたミュージカル・コメディ部門の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』（『エブエブ』）は、主演女優賞のミシェル・ヨー、助演男優賞のキー・ホイ・クァンの2冠。両者とも初受賞となります。

混戦となった今年はバランスよく賞を分け合う結果となりましたが、おおかた下馬評通りで、サプライズはなかったといえます。ゴールデングローブ賞は以前より、他の批評家賞に比べて作品の質よりもスターや人気監督が優先される傾向だと批判を受けており、今年もノミネーションに関してはその傾向は見られたものの、受賞作品・受賞者に関しては多くの人が納得する無難な結果となったと思われます。

米国で最も歴史のある映画賞の一つであるゴールデングローブ賞は、HFPA（ハリウッド外国人映画記者協会）のメンバーによる投票で決定する賞ですが、HFPAの差別的および閉鎖的な体質が非難され、2021年にはNBCによる授賞式のテレビ放映が中止に。その後、HFPAは非白人や女性の新会員を増やすなどして組織改革を進めたほか、今回は米国外に在住の批評家103名にも“International Voter”として投票を求めることで、従来の倍以上となる計200名を超す記者の投票により受賞者が選定されました。

今年はNBCによる授賞式のTV中継が再開し、レッドカーペットにも以前の華やぎが戻ってきましたが、HFPAによるこの2年間の改革が認められ、信頼を取り戻せたのかの判断にはまだ時間がかかるでしょう。

以下、映画部門の受賞およびノミネート一覧です（☆＝受賞）。

作品賞（ドラマ部門）
☆『フェイブルマンズ』スティーヴン・スピルバーグ監督（ユニバーサル）
『アバター：ウェイ・オブ・ウォーター』ジェームズ・キャメロン（ウォルト・ディズニー・スタジオ）
『エルヴィス』バズ・ラーマン（ワーナー・ブラザース）
『TAR／ター』トッド・フィールド（Focus Features）
『トップガンマーヴェリック』ジョセフ・コシンスキー（パラマウント）

作品賞（ミュージカル・コメディ部門）
☆『イニシェリン島の精霊』マーティン・マクドナー（サーチライト・ピクチャーズ）
『バビロン』デイミアン・チャゼル（パラマウント）
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート（A24）
『ナイブズ・アウト：グラス・オニオン』ライアン・ジョンソン（Netflix）
『逆転のトライアングル』リューベン・オストルンド（Neon）

主演女優賞（ドラマ部門）
☆ケイト・ブランシェット『TAR／ター』
オリヴィア・コールマン『エンパイア・オブ・ライト』
ヴィオラ・デイヴィス『The Woman King』
アナ・デ・アルマス『ブロンド』
ミシェル・ウィリアムズ『フェイブルマンズ』

主演男優賞（ドラマ部門）
☆オースティン・バトラー『エルヴィス』
ブレンダン・フレイザー『ザ・ホエール』
ヒュー・ジャックマン『The Son／息子』
ビル・ナイ『生きる LIVING』
ジェレミー・ポープ『The Inspection』

主演男優賞（ミュージカル・コメディ部門）
☆コリン・ファレル『イニシェリン島の精霊』
ディエゴ・カルバ『バビロン』
ダニエル・クレイグ『ナイブズ・アウト：グラス・オニオン』
アダム・ドライバー『ホワイト・ノイズ』
レイフ・ファインズ『ザ・メニュー』

主演女優賞（ミュージカル・コメディ部門）
☆ミシェル・ヨー『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
レスリー・マンヴィル『ミセス・ハリス、パリへ行く』
マーゴット・ロビー『バビロン』
アニャ・テイラー＝ジョイ『ザ・メニュー』
エマ・トンプソン『Good Luck to You, Leo Grande』

助演女優賞
☆アンジェラ・バセット『ブラックパンサー／ワカンダ・フォーエバー』
ケリー・コンドン『イニシェリン島の精霊』
ジェイミー・リー・カーティス『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
ドリー・デ・レオン『逆転のトライアングル』
キャリー・マリガン『SHE SAID／シー・セッドその名を暴け』

助演男優賞
☆キー・ホイ・クァン『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
ブレンダン・グリーソン『イニシェリン島の精霊』
バリー・コーガン『イニシェリン島の精霊』
ブラッド・ピット『バビロン』
エディ・レッドメイン『グッド・ナース』

監督賞
☆スティーヴン・スピルバーグ『フェイブルマンズ』
ジェームズ・キャメロン『アバター：ウェイ・オブ・ウォーター』
ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
バズ・ラーマン『エルヴィス』
マーティン・マクドナー『イニシェリン島の精霊』

脚本賞
☆マーティン・マクドナー『イニシェリン島の精霊』
トッド・フィールド『TAR／ター』
ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
サラ・ポーリー『ウーマン・トーキング私たちの選択』
スティーヴン・スピルバーグ、トニー・クシュナー『フェイブルマンズ』

アニメーション映画賞
☆『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』ギレルモ・デル・トロ監督
『犬王』湯浅政明
『Marcel the Shell with Shoes On』ディーン・フライシャー＝キャンプ
『長ぐつをはいたネコと9つの命』ジョエル・クロフォード
『私ときどきレッサーパンダ』ドミー・シー

非英語映画賞
☆『アルゼンチン1985 ～歴史を変えた裁判～』サンティアゴ・ミトレ監督（アルゼンチン）
『西部戦線異状なし』エドワード・ベルガー（ドイツ）
『Close』ルーカス・ドン（ベルギー）
『別れる決心』パク・チャヌク（韓国）
『RRR』S.S.ラージャマウリ（インド）

作曲賞
☆ジャスティン・ハーウィッツ『バビロン』
カーター・バーウェル『イニシェリン島の精霊』
アレクサンドル・デスプラ『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』
ヒルドゥル・グーナドッティル『ウーマン・トーキング私たちの選択』
ジョン・ウィリアムズ『フェイブルマンズ』

歌曲賞
☆“Naatu Naatu”『RRR』
“Carolina”『ザリガニの鳴くところ』
“Ciao Papa”『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』
“Hold My Hand”『トップガンマーヴェリック』
“Lift Me Up”『ブラックパンサー／ワカンダ・フォーエバー』