News

2022.11.02 18:00

『殺しを呼ぶ卵【最長版】』日本版予告編&ポスタービジュアルが解禁!

  • Fan's Voice Staff

資本主義の非情と人生の虚無に切り込んだ、映画史上唯一の養鶏サスペンス『殺しを呼ぶ卵【最長版】』の日本版予告編とポスタービジュアルが解禁されました。

舞台は、ローマ郊外の巨大養鶏場。予告編は画面を埋め尽くすほどのニワトリがいる養鶏場から始まり、その後、陽気なボサノヴァ・サウンドに乗せて、登場人物の紹介へ。養鶏場の“社長”である主人公マルコ役には、去る2022年6月に死去した『男と女』(66年)、『Z』(69年)、『暗殺の森』(70年)の名優ジャン=ルイ・トランティニャン、“社長夫人”アンナ役には“イタリア美人”の代名詞として一世を風靡したジーナ・ロロブリジーダ、そして“夫人の姪”ガブリ役には当時18才のエヴァ・オーリンが登場。仲睦まじく笑い合う、裕福で幸せそうな家族の様子が印象的です。

ところが次の場面では一転、不穏な音楽と共に、怪しい研究者、こちらを睨みつける労働者らが映し出されたかと思うと、“愛欲”、“陰謀”、“猟奇”といった言葉や、“細胞分裂”、“突然変異”といった謎の研究に関する言葉が。現代音楽の作曲家であり指揮者としても活躍したブルーノ・マデルナによる耳に残るサウンドと、気味の悪さとスタイリッシュさを同時に感じさせる映像の後、ポスタービジュアルにもなっている自動車事故の様子で締めくくられます。

監督・脚本は、マカロニ・ウエスタン屈指の残酷描写で世界を騒然とさせた『情無用のジャンゴ』(67年)の鬼才ジュリオ・クエスティ。欲望渦巻く犯罪ドラマを倒錯嗜好と残酷趣味で毒々しく塗りたくっただけでなく、養鶏場のオートメーション化に伴う労働者解雇という資本主義社会の非情、餌をやらなくても成長を続ける首も羽根もない畸形ブロイラーの研究開発という、利潤追求のためには生命倫理をも蹂躙する企業の非人間性を暴き、同時期のパゾリーニ、アントニオーニ、エリオ・ペトリ監督作品にも通じる、社会派的メッセージを鮮明に打ち出しています。

1968年に公開され、「ゴダールが麻薬漬けになって撮ったようなスリラー」と評された本作。50年以上に渡り知る人ぞ知る作品だった本作の、日本初公開となる105分の【最長版】には、世界配給された90分前後の【国際版】にはない残酷場面、異常場面が収められており、本作が猟奇サスペンスの王道作でありながら、その定型から逸脱し、社会問題や実験的な映像表現、さらには現代にも通じるアイデンティティの喪失、世の不条理と人生の虚無にまで踏み込んだ、クエスティ監督唯一無二の作家性が発揮された野心作であることに気付かされるでしょう。

==

『殺しを呼ぶ卵 【最長版】』(英題:Death Laid an Egg)

出演/ジャン=ルイ・トランティニャン、ジーナ・ロロブリジーダ、エヴァ・オーリン、ジャン・ソビエスキー、レナート・ロマーノ
監督/ジュリオ・クエスティ
脚本/フランコ・アルカッリ、ジュリオ・クエスティ
1968年/イタリア=フランス合作/105分/ビスタ/モノラル/原題:La morte ha fatto l’uovo/PG12

日本公開/2022年12月2日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
提供/キングレコード
配給/アンプラグド
© Licensed by MOVIETIME SRL-Rome-Italy. All Rights Reserved.