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2022.10.25 17:00

藤ヶ谷太輔主演『そして僕は途方に暮れる』撮影現場レポート&新写真3点が到着

  • Fan's Voice Staff

2018年にシアターコクーンで上演され、各所から絶賛を浴びたオリジナル舞台を藤ヶ谷太輔主演で映画化した『そして僕は途方に暮れる』の撮影現場レポートと新写真3点が到着しました。

原作となった舞台版では、ロードムービー的な物語をステージ上でどう見せるかという工夫が施されていましたが、映画は文字通りロードムービーとして、2021年の3月~4月にかけて実際に各地へと足を運んで撮影されました。

追いつめられた裕一が帰る北海道の苫小牧は、三浦監督の生まれ育った地。「そこに強い思いがあったかと言われると、実はそういうことでもなくて。さんざん見てきた景色だったから切り撮りやすかったというのが、正直なところなんです(笑)。とはいえ、苫小牧独特の空気感が滲み出るような映像は撮れたのかなと思っています。何より、藤ヶ谷くん自身が苫小牧へ行って、菅原の生まれ故郷を体感してバックボーンを蓄積したことによって、その後の芝居においても役立ったように感じているんです」と監督は振り返っています、北海道での撮影は4月だったにもかかわらず、真冬のように寒かったといい、肉体的にも精神的にも追い込まれ、雪の中を途方に暮れて歩く藤ヶ谷の姿は、裕一により一層のリアリティをもたらしていることでしょう。

シネマスコープのサイズで撮影された本作について、監督は、「シネスコの狙いはまず、作品全体を『映画というもので包む』という意図があったので、仕掛けとして必要だったんです。あとは、一見、はたから見たら、どうでもいいと思えるような些細な物語なので、それを敢えて、映画的に見せ切ることが、歪で面白いと思ったんです」とコメント。

当初、シネスコサイズで撮ることに懐疑的でもあったというプロデューサーの小西啓介は、終わってみれば監督の選択が賢明だったと称賛。「前半は室内での会話シーンが多いのでシネスコサイズの効果がどれだけあるのだろうか?現場は狭いし、色々大変なんじゃないかとスケジュール面への影響なども心配していましたが、北海道ロケやドローンで撮った映像を見て、前半の窮屈な世界感と後半のギャップは効果的だと思いました」

そういったテクニカルな面もさることながら、本作では、三浦監督の変化がいくつか見られたよう。小西プロデューサーは、「終盤のある大事なシーンの撮影のワンテイク目で藤ヶ谷さんが完全に裕一が乗り移ったかのごとく……感情が溢れ出す凄いお芝居をされたんです。それは凄く良かったのですが、そのシーンの狙いとはやや違っていたので、その後、結構な数のテイクを重ねていたことがありました。ですが、後の編集ラッシュで監督はワンテイク目を使って、裕一の感情に寄り添った劇伴までつけていました。私が知る限りでは演出家としての三浦監督は俳優さんのお芝居に引っ張られてシーンの狙いを変えることがこれまでほぼなかったような気がします。少しでも違うなと思うとテイクを重ねながら微調整して完成形に近づけていく。そのあたりの徹底ぶりは凄いものがあります。でも、結果的にそのシーンではワンテイク目を使った。シーンのニュアンスを変える程、藤ヶ谷さんの演技に心を動かされたのだと思いました。その点はすごく印象に残っていますね」と語っています。

現場での藤ヶ谷は、人間関係を断って逃げる役柄ということもあり、和気あいあいというよりは、裕一という役に向き合って黙々と芝居に臨んでいたそう。演出面で監督に追い込まれ、藤ヶ谷自身も敢えて自分を追い込んでいたようにも見えたといい、撮影が進むにつれ、どんどんやつれて疲弊していった藤ヶ谷は、「まさに身を削って裕一役を演じ切った」と振り返っています。

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『そして僕は途方に暮れる』

自堕落な日々を過ごすフリーターの菅原裕一(藤ヶ谷太輔)は、長年同棲している恋人・里美と、些細なことで言い合いになり、話し合うことから逃げ、家を飛び出してしまう。その夜から、親友、大学時代の先輩や後輩、姉のもとを渡り歩くが、ばつが悪くなるとその場から逃げ出し、ついには、母が一人で暮らす苫小牧の実家へ戻る。だが、母ともなぜか気まずくなり、雪降る街へ。行き場を無くし、途方に暮れる裕一は最果ての地で、思いがけず、かつて家族から逃げていった父と10年ぶりに再会する。「俺の家に来るか?」、父の誘いを受けた裕一は、ついにスマホの電源を切ってすべての人間関係を断つのだが──。

出演/藤ヶ谷太輔、前田敦子、中尾明慶、毎熊克哉、野村周平、香里奈、原田美枝子、豊川悦司
脚本・監督/三浦大輔
原作/シアターコクーン「そして僕は途方に暮れる」(作・演出 三浦大輔)
音楽/内橋和久 
エンディング曲/大澤誉志幸「そして僕は途方に暮れる」
製作/映画「そして僕は途方に暮れる」製作委員会
制作プロダクション/アミューズ 映像企画製作部、デジタル・フロンティア

日本公開/2023年1月13日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
企画製作・配給/ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト
©2022映画『そして僕は途方に暮れる』製作委員会