『殺しを呼ぶ卵』【最長版】12月2日より日本初公開決定!
- Fan's Voice Staff
50年以上に渡り知る人ぞ知る作品だった『殺しを呼ぶ卵』の【最長版】が、12月2日(金)より日本初公開されることが決定しました。
ローマ郊外の巨大養鶏場。業界の名士として知られていた社長のマルコですが、経営の実権と財産を握る妻アンナに対する苛立ちは日々強くなる一方でした。同居するアンナの十代の姪、ガブリとは愛人関係にあっただけでなく、妻への憎しみを女性へのサディズムで発散する異常性格者でした。そして3人それぞれの隠された欲望が暴かれる時、事態は予想もできない展開に。想像を絶する畸形ニワトリを産まれ──。
主人公マルコ役には、去る2022年6月に死去した『男と女』(66年)、『Z』(69年)、『暗殺の森』(70年)の名優ジャン=ルイ・トランティニャン、妻アンナ役には一世を風靡したジーナ・ロロブリジーダ、そしてガブリ役にはスウェーデン出身で当時18才のエヴァ・オーリンが扮しています。
監督・脚本は、マカロニ・ウエスタン屈指の残酷描写で世界を騒然とさせた『情無用のジャンゴ』(67年)の鬼才ジュリオ・クエスティ。本作では、イタリアン・ホラーの名手マリオ・バーヴァが先駆け、後にダリオ・アルジェントが確立する猟奇サスペンスに挑戦。欲望渦巻く犯罪ドラマを倒錯嗜好と残酷趣味で毒々しく塗りたくっただけでなく、養鶏場のオートメーション化に伴う労働者解雇という資本主義社会の非情、餌をやらなくても成長を続ける首も羽根もない畸形ブロイラーの研究開発という、利潤追求のためには生命倫理をも蹂躙する企業の非人間性を暴き、同時期のパゾリーニ、アントニオーニ、エリオ・ペトリ監督作品にも通じる、社会派的メッセージを鮮明に打ち出しています。
初公開時に世界配給された90分前後の【国際版】にはない残酷場面、異常場面を含む105分の【最長版】を今改めて観直せば、本作が猟奇サスペンスの王道作でありながら、その定型から逸脱し、社会問題や実験的な映像表現、さらには現代にも通じるアイデンティティの喪失、世の不条理と人生の虚無にまで踏み込んだ、クエスティ監督唯一無二の作家性が発揮された野心作であることに気付かされるでしょう。
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『殺しを呼ぶ卵 【最長版】』(英題:Death Laid an Egg)
出演/ジャン=ルイ・トランティニャン、ジーナ・ロロブリジーダ、エヴァ・オーリン、ジャン・ソビエスキー、レナート・ロマーノ
監督/ジュリオ・クエスティ
脚本/フランコ・アルカッリ、ジュリオ・クエスティ
1968年/イタリア=フランス合作/105分/ビスタ/モノラル/原題:La morte ha fatto l’uovo
日本公開/2022年12月2日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
提供/キングレコード
配給/アンプラグド
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