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2022.09.01 19:00

『あの娘は知らない』著名人19名より称賛コメント&イラスト4点が到着!

  • Fan's Voice Staff

福地桃子を主演に迎え、井樫彩監督がオリジナル作品で挑む喪失と再生の物語『あの娘は知らない』の公開に先立ち、各界の著名人19名からの称賛コメントと、作品に着想を得たイラスト4点が到着しました。

海辺の町でひっそりと旅館を営む中島奈々(福地桃子)と、喪ってしまった恋人の足跡を辿りその町に行き着いた青年・藤井俊太郎(岡山天音)、お互いに「喪失」を抱えた二人の新しい紐帯と希望を描く作品。

監督を務めたのは、『溶ける』で日本人最年少でのカンヌ国際映画祭の出品を果たした井樫彩。『真っ赤な星』(18年)、『21世紀の女の子』『君のシーツ』(19年)、『NO CALL NO LIFE』(21年)と、同世代を生きる若者の心情を捉える確かな作劇と特有の映像センスで観客を魅了してきました。本作は、『真っ赤な星』(18年)以来の長編オリジナル作品となります。

なお、9月3日(土)9:30より前売券が発売。メインビジュアルを手掛けた石井勇一のデザインによる紙の前売券は新宿武蔵野館で販売。オンラインムビチケも同時発売予定です。

フィルムを模した特殊なデザインの前売券

以下、到着したコメントおよびイラストです。イラストは劇場用パンフレットにも掲載される予定とのこと。

板橋駿谷(俳優)
ジリジリと暑い太陽の下で、主人公たちの気持ちもゆっくりと溶けるように解けていく。
その様子が、丁寧に作られた画の中にじんわりと染み出ている。
大切な何かを失うと時計が止まってしまう。
動かすには時間と、そして不意にやって来る必然的偶然が必要なのだと改めて思う。
あの二人に幸あれ。

上坂あゆ美(歌人)
あの娘から成仏したい僕たちは互いのために献花を渡す
感情の亡霊としてわたしたちそれでも生きてゆくんだね 夏

奥浜レイラ(映画・音楽パーソナリティ)
静寂からも波のように心情が伝わって、ふたりの傷にそっと触れながら「この場所が誰かの心ない言葉や安易なカテゴライズで壊されませんように」と願った。静かで、派手ではないけれどシーンごとに豊かさを感じる映画だ。
身体の外側にまとった「あなたが誰で」「性別は何で」「どんな人を愛すのか」といった属性を一枚ずつ剥がして、その剥がれた部分も認め合いながら、孤独なまま繋がる安らぎをあなたにも感じてほしい。

日下玉巳(俳優・映画監督)
奈々と俊太郎の、子供のような表情・会話の隙間から溢れ出る「受け入れてほしい」を感じた時、なぜか見てはいけないものを見たような気がしました。
大人になってから、皆んなが必死に隠している面なのかもしれない。
多くの言葉を重ねながら、言葉じゃない部分へ、手を伸ばし続ける2人の勇気に胸が詰まりました。

志村貴子(漫画家「おとなになっても」)
街で見知らぬ人とすれ違う。あるいは喫茶店で過ごすとき、自分を含めた客たちがそれぞれの席でコーヒーや紅茶を飲んでいる。ときに会話を盗み聞きする。自分と関わることのない人々の生活を想像しては絵や漫画にする。私はそういう仕事をしている。
この映画にいわゆる大きな事件は起こらない。
だけど自身の営む小さな宿に訪れた宿泊者が亡くなって、警察が事情聴取にやってきて、その後その宿泊者の恋人だった男が現れるとその男と懇意になり、ふたりで夜の海に入ったりするのはだいぶ非日常な出来事だ。
街の中ですれ違ったり、喫茶店のひとときを共にしただけの誰かにもそういう日常があったかもしれない。そういうことを考えた。

鈴木真海子
孤独だけど人といたいし、崩したくないけど変わってみたいし、知りたいけど知りたくない。人と人が完全に分かり合うことはできないけれどそれでいいと思うし、それがいいと思う。
奈々と俊太郎が向き合った時間と過去の記憶は、お守りのようになり最後は二人の背中を押していた。見終わった後、静かにじゅわっとあったかくて明るい気持ちになったのは、言葉にできなかった自分の気持ちをこの映画に聞いてもらったように感じたから。ほどける映画でした。最高!

多喜れい(漫画家「ラストジェンダー ~何者でもない私たち~」)
冒頭からラストまで、沢山の感情が押しては引いてを繰り返してきた。
美しい鮮やかな映像とは裏腹に胸を絞めつける奈々と俊太郎の人生は、決して他人事ではない。気が付けば私も、二人の様に望郷の念を抱いていたのかもしれない。
「愛」とは人それぞれ様々な形がある。ストーリーが進むにつれて、私は奈々と俊太郎の間に確かな愛を感じた。それは恋愛ではなく、友情とも違うかもしれない。
ただただこの二人の幸せを、祈らずにはいられない。
そして歳を越していく中で、またこの二人に、私は会いたくなるだろう。
一秒も無駄なシーンはない。辛いのに、何回だって観たくなる。この作品に出合えたことは奇跡か必然か。光栄であることには違いない。

中村ゆりか(俳優)
夏の汗ばむ額や体から伝わる生きているという心地、喪失した者同士の奈々と俊太郎の歩幅が徐々に重なり合う瞬間、今、それでも生きている事が素晴らしいと、再生への道導に繋がる瞬間だと感じました。
台所に立つ奈々(福地桃子ちゃん)の、自然体さから微かに漂う孤独感は現実的に存在している、奈々の人生そのものに胸を打たれました。

増田有華(俳優・タレント)
静かに流れゆく時間の中、当たり前のように目の前に現れる“死”と“多様な愛の形”。
1人では生きていけないことを知りながら、それでも時に孤独を選んでしまう。
呼吸をするごとに傷つくようで、はたまたふいに立ち直れるようで。そんな不安と期待が入り混じる中、人は迷いながら本当の愛を知っていくのでしょうか。
穏やかで美しい景色とは対照的に映る、主人公2人の葛藤や悲しみ。ジリジリと静かに音を立てて燃える青い炎のように虚に揺れる奈々の長いまつ毛が印象的でした。
秋の気配が近づく中、ひとつ深呼吸をしてみる。このひと夏の尊さを忘れないでおきたい。

真魚八重子(映画評論家)
昔、電話でSMプレイをするバイトをしていた。大半の客は性的なことにしか興味がないが、一人、不思議なほど優しい記憶に残っている男性がいる。彼は「ただ普通に話したいんだ」と言った。知らない相手との胸襟を開いた会話では、こちらもなんのてらいも忘れて、正直な言葉があふれる。知らない人のほうが不意打ちのように心底に触れ、素直な言葉を引き出すのだ。そこには所詮深く知ることなく別れるという、ちょっと寂しい気兼ねのなさもある。しかしそれでも、知らない人への思いやりは見返りがない、ただ利他的な無償の奉仕だ。
その男性に「芸能人で誰に似てる?」と聞いたら、「知らないかな、西武のデストラーデ」と照れながら答えていた。

南沙良(女優)
美しい映画だな、と思った。
刹那的な瞬間が多く描かれていながら、悲しみや痛みや悩みが静かに心を蝕んでいく感覚に襲われた。
何度見ても、新鮮で新しい発見が見つかるような気もした。
人は誰しもが物理的にも心理的にも孤独を抱えているものだと思う。
自分のことをたったひとりだと感じ、寂しくなったり、泣いたりした夜を思い出した。
しかしそんないくつものどうしようもなかった夜が、これから先の地軸を作っていくのかもしれないな、と奈々を観て感じた。
いつか去ってしまうことを知りながら、過ぎゆく刹那を愛でること。
ないまぜで不安定な毎日を確かなものにしていけるのは、きっと自分だけだ。

三原勇希(タレント・ラジオDJ)
ネットで簡単に情報を集めて誰もが発言できるこの時代、確かでない話を信じたり、知らない人の意見を正しいかのように感じてしまったりする。でも誰も知ることができない、「知らない」ままでいいことってあるよなぁと、この映画を観て心地よく感じました。あまり知らない人の方が、ふっと心のうちを晒せたりすることも。そんな人間の複雑さを繊細にとらえた、静かだけど色彩豊かな映像が印象的でした。

ミヤザキタケル(映画アドバイザー)
あらゆる幸せは全て束の間で、人と人とが真に分かり合うことは難しい。けれど、それが親しい間柄の者であれ、出会ったばかりの他人であれ、一瞬だけならば分かり合える瞬間も訪れる。その一瞬に宿る美しさや尊さ、言葉では言い表し難い儚い心のゆらめきを、壊れてしまわないよう、こぼしてしまわないよう、とても丁寧にすくいとったやさしい作品でした。
余談ですが、同じ系列の専門学校に通っていた身として、井樫監督の活躍が嬉しいです。

森田想(俳優)
いつまでも見ていられる奈々の横顔は、時折赤色に染まっていた。
それが凄く綺麗で忘れられない。
印象的な作品を照らす光の色はさまざまで、信号の点滅が雨の降る地面に反射した夜も、花の色と似た服で街を歩く姿まで、息の詰まる切なさを残しながら、この物語を彩る。
ぽっかり空いた心の拠り所を探すような再生の物語。大好きな映画です。

門間雄介(ライター、編集者)
孤独な女と男が出会い、そこに何かが生まれる。
繊細な演技や、時間を性急に進めない抑制的な演出や、いくつかの息を呑むような場面が、それを静かに浮かび上がらせる。
それは光だ。
闇と闇が溶け合い、色彩を完全に失くしたかに見えたあとの、一気にこぼれる、目がくらむほどの眩い光。
すべてを癒す光――。

矢部華恵(エッセイスト)
誰に話していいかわからなくて、ひとりきりで抱える、大切な思い。
それを人と共有するのは、幸せであり、怖くもある。
奈々と俊太郎のストーリーを、周囲の人が知ることは、きっとない。
二人の仲を名づける言葉も、きっとない。
あまりに言葉が少ないので、気持ちを読み取ろうと必死に顔に見入ってしまう。
あ、もしかしてこういうこと?と観ていて何度か展開を予測するが、すぐに打ち消される。
曖昧で脆い関係の二人の、共に過ごす綺麗な時間。
あれ、何だったんだろう?っと、二人は後から思い出すのだろうか。
そんな余白が、今、恋しい。

雪見みと(女優)
海辺の街に流れるゆったりとした時間。孤独な2人の間で丁寧に紡がれる会話。その節々に、どこか懐かしい「匂い」がする気がした。海の匂い、雨の匂い、タバコの匂い、花の匂い。匂いは記憶や感情を呼び起こすというけれど、この映画の中にある「匂い」は、いなくなった誰かの面影なのではないだろうか。少なくとも私はこの映画を観て、もう会えない人をふと思い出して一筋涙を流してしまったのです。

吉本実憂(俳優)
まだ知らないあの娘の感情の色が、少しずつ淡く色づいてゆく様子が、観ている自分にも伝染し、淡く染まっていった。その過程で自分自身が、誰を大切にしているのか、大切にしたいのか、その人物が感情の根の部分から浮き出てきた。
そして、奈々と俊太郎さんに迫りくる「何か」の感情。その「何か」をとてつもなく知りたいのに、手を伸ばしきれない自分もいた。
観終わった後は燃ゆる感情を抑えながら帰るのに必死だった。これは私だけではないというのを、席から離れる人々の顔を見て思った。これが本来の映画の存在価値。
リアルな内容に、色鮮やかなロマンチックすぎる描写。でもそのロマンチックさは不思議とフィクションに見えない。生々しいほどリアルに感じた。
これが私の大好きで尊敬する井樫彩監督の作品。

涌田秀幸(映画プロデューサー)
消魂しく鳴く蝉の声よりも強く、二人の底知れぬ哀しみの叫びが聞こえた。
人が皆抱えているどうしようも無い事を、誰かと一緒だからこそ溶かす事が出来る。
私はこの映画を観て、大嫌いを大好きに変えられる事が出来るという希望の存在を、改めて感じました。

あおのこ

大島悠

北村みなみ

三上唯

==

『あの娘は知らない』

若くして、海辺の町にある旅館・中島荘を営む中島奈々(福地桃子)。中島荘が休業中の9月上旬、ひとりの青年・藤井俊太郎(岡山天音)が「どうしても泊めてほしい」と訪ねてくる。彼は一年前に愛する人を失い、その恋人が亡くなる直前に、この旅館に宿泊していたと語る。奈々は亡くなってしまった俊太郎の恋人のことがすぐに思い当たり、彼女について、「笑顔が印象的でした」と振り返る。
俊太郎は恋人の足跡を辿り、彼女の死を理解するために、昼も夜も町に海にと彷徨い、歩き回る。そんな俊太郎の姿を目にしていた奈々は、この土地の案内役を買って出て、いつしか彼と行動をともにするようになり──。

キャスト/福地桃子、岡山天音、野崎智子、吉田大駕、赤瀬一紀、丸林孝太郎、上野凱、久保田磨希、諏訪太朗、安藤玉恵
脚本・監督/井樫彩
エグゼクティブプロデューサー/本間憲
企画・プロデュース/菊地陽介
プロデューサー/木滝和幸
制作プロダクション/マグネタイズ
製作/レプロエンタテインメント、東放学園映画専門学校
2022年/日本/76分/カラー/5.1ch

日本公開/2022年9月23日(金・祝)から新宿武蔵野館ほか全国公開
配給/アーク・フィルムズ、レプロエンタテインメント
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