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2022.03.31 8:00

『親愛なる同志たちへ』著名人6名より称賛コメントが到着!

  • Fan's Voice Staff

ソ連崩壊後の1992年まで30年間に渡り国家に隠蔽されてきた衝撃的な歴史の真実に迫り、第77回ベネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞した巨匠アンドレイ・コンチャロフスキー監督作『親愛なる同志たちへ』の公開に先立ち、増田ユリヤら著名人6名より称賛コメントが到着しました。

1962年6月1日、ソ連南部ノヴォチェルカッスクの機関車工場でストライキが勃発。「雪どけ」とも称されたフルシチョフが目指した豊かな共産主義統治にも陰りが見え始め、困窮にあえぐ労働者たちが物価の高騰や給与カットに抗議の意思を示したのでした。社会主義国家で大規模なストライキが起こったことに危機感を覚えた政権は、スト鎮静化と情報遮断のために最高幹部を現地に派遣し、翌日には約5,000人の市民への銃撃を開始。熱心な共産党員で市政委員も務める主人公のリューダ(ユリア・ビソツカヤ)は、18歳の愛娘スヴェッカの身を案じ、凄まじい群衆パニックが巻き起こった広場を駆けずり回ります。三つ編みに青いリボン…スヴェッカはどこにいるのか、すでに銃撃の犠牲者となってしまったのか。長らく忠誠を誓ってきた共産党への疑念に揺れるリューダが、必死の捜索の果てにたどり着いた真実とは──。

『暴走機関車』(85年)、『映写技師は見ていた』(91年)やタルコフスキー作品の共同脚本などで知られる巨匠アンドレイ・コンチャロフスキーは、事件を再現するため徹底して細部にまでこだわり、サスペンスとアクション、そして心理表現を巧みに織り交ぜ、リューダがたどる激動の3日間をスリリングに描出しました。

事件から60年が経つ現在も、ロシアによるウクライナ侵攻、香港やミャンマー、ウイグル地区など問題は絶えず、本作は、この不穏な世界情勢と地続きにある、決して遠い過去の話と言えない重いメッセージをはらんでいます。ソ連解体から30年、まさに「今」観るべき作品です。

以下、到着したコメントです(敬称略・順不同)。

落合信彦(作家、国際政治ジャーナリスト)
素晴らしい映画だ!まさに階級社会である共産国そのものを描いている。
コンチャロフスキー監督が命懸けで不条理なロシアへの別れを告げる、その覚悟が見えた。 

増田ユリヤ(ジャーナリスト)
冷戦下のソビエトで起きた事件が、現在のロシアを彷彿とさせ、戦慄が走った。政権に不都合な市民に銃口を向け、犠牲者の存在をかき消す。国家とは、生きる希望とは何か。

小熊英二(歴史社会学者)
『戦争は女の顔をしていない』で描かれた独ソ戦の女性兵士たちと、現代のウクライナ情勢の間を架橋する一遍。1962年を再現した禁欲的な白黒画面が、日本にとって「近くて遠い国」に生きる人々のリアリティと、1937年生まれの監督の執念を伝える。

津久田重吾(軍事史研究家)
スターリンの恐怖政治が終わり、人々は新しい生き方を見いだせないまま次の混乱に直面する。選ばれた手段は過去の繰り返し。その延長線上で現在の私たちが立ちすくむ。

ジェーニャ(声優)
どんな時代でも、人間はよくなることを信じる。生きるために何かを信じないといけない。
そんな人間の心の強さを描いた映画です。この時代だからこそ観ていただきたい。

大澤真幸(社会学者)
ロシアがプーチンの一存でウクライナに侵攻できるのは、この国が全体主義の体制だからだ。
では全体主義は、その内側の国民にどう体験されるのか。この映画が教えてくれる。

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『親愛なる同志たちへ』(英題:Dear Comrades!)

監督・脚本/アンドレイ・コンチャロフスキー
出演:ユリア・ビソツカヤ 、ウラジスラフ・コマロフ、アンドレイ・グセフ
2020年/ロシア/ロシア語/121分/モノクロ/スタンダード/5.1ch/原題:Дорогие товарищи!/日本語字幕:伊藤美穂

日本公開/2022年4月8日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館 ほか全国公開
提供/ニューセレクト
配給/アルバトロス・フィルム
公式サイト
© Produced by Production Center of Andrei Konchalovsky and Andrei Konchalovsky Foundation for support of cinema, scenic and visual arts commissioned by VGTRK, 2020