【受賞結果】第79回ゴールデングローブ賞 映画部門（2022年）

第79回ゴールデングローブ賞（2022年）の受賞結果がロサンゼルス現地時間1月9日（日）に発表されました。

従来、ホテルでのパーティー形式で開催されていた授賞式は、主催団体であるハリウッド外国人記者協会（HFPA）への組織批判やスキャンダル報道などを受け、米NBCがTV放映の見送りを決定。今年度は、俳優を始め監督・プロデューサーらの出席のない、HFPAメンバーら関係者のみが集まるプライベートイベントが実施されました。

ドラマ部門で圧勝したのは、ジェーン・カンピオン監督の12年ぶりの新作『パワー・オブ・ザ・ドッグ』。ケネス・ブラナー監督『ベルファスト』と並んで最多7ノミネートを獲得していた本作ですが、作品賞、監督賞、助演男優賞の3部門を制覇し、強さを見せつけました。

2021年9月のベネチア国際映画祭で監督賞を受賞した『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は、1920年のモンタナ州の農場を舞台に、冷酷な農場主のフィル（ベネディクト・カンバーバッチ）、彼の弟と再婚した女性（キルスティン・ダンスト）とその息子（コディ・スミット＝マクフィー）の、息の詰まるような残酷な闘いを描いた人間ドラマです。ノミネートされたものの受賞には至らなかったカンバーバッチとダンストの演技はそれぞれキャリア最高との評価もあり、アカデミー賞での善戦が期待されます。

カンバーバッチを抑えて主演男優賞（ドラマ部門）に輝いたのは、実話を基にした感動作『ドリームプラン』のウィル・スミス。ビーナスとセリーナ・ウィリアムズというテニス界のスーパースター姉妹を育て上げた父親のリチャード・ウィリアムズに焦点を当てた人間ドラマで、家族の愛に支えられ、強い信念を貫く、個性的な父親を体現しました。

混戦のミュージカル・コメディ部門の作品賞を制したのは、名作ミュージカルをスティーブン・スピルバーグ監督が映画化した『ウエスト・サイド・ストーリー』。ニューヨークの異なる移民のグループの抗争と恋人たちの悲劇は、「分断」が深刻化する今日に新しい衝撃を与えます。演出、カメラワークなどすべてにおいて巨匠の技が冴え、フレッシュなキャストたちのパフォーマンスも見どころ。マリア役のレイチェル・ゼグラーが主演女優賞、マリアの兄の恋人アニータ役のアリアナ・デボーズが助演女優賞に輝き、同作は『パワー・オブ・ザ・ドッグ』と並び最多3受賞を果たしました。

非英語映画賞（旧外国語映画賞）を獲得したのは、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』。カンヌ国際映画祭での脚本賞をはじめ、アメリカの批評家賞も多数受賞しており、アカデミー賞でも国際長編映画賞（旧外国語映画賞）など複数部門でのノミネートおよび受賞が期待されます。

以下、映画部門の受賞およびノミネート一覧です（☆＝受賞）。

作品賞（ドラマ部門）

☆『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ジェーン・カンピオン監督（Netflix）
『ベルファスト』ケネス・ブラナー監督（Focus Features）
『コーダ あいのうた』シアン・ヘダー監督（Apple TV+）
『DUNE/デューン 砂の惑星』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督（ワーナー・ブラザース）
『ドリームプラン』レイナルド・マーカス・グリーン監督（ワーナー・ブラザース）

作品賞（ミュージカル・コメディ部門）

☆『ウエスト・サイド・ストーリー』スティーブン・スピルバーグ監督（ウォルト・ディズニー）
『シラノ』ジョー・ライト監督（MGM）
『ドント・ルック・アップ』アダム・マッケイ監督（Netflix）
『リコリス・ピザ』ポール・トーマス・アンダーソン監督（MGM）
『tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!』リン＝マニュエル・ミランダ監督（Netflix）

主演男優賞（ドラマ部門）

☆ウィル・スミス『ドリームプラン』
マハーシャラ・アリ『スワン・ソング』
ハビエル・バルデム『愛すべき夫妻の秘密』
ベネディクト・カンバーバッチ『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
デンゼル・ワシントン『マクベス』

主演女優賞（ドラマ部門）

☆ニコール・キッドマン『愛すべき夫妻の秘密』
ジェシカ・チャステイン『タミー・フェイの瞳』
オリヴィア・コールマン 『ロスト・ドーター』
レディー・ガガ『ハウス・オブ・グッチ』
クリステン・スチュワート『スペンサー』

主演男優賞（ミュージカル・コメディ部門）

☆アンドリュー・ガーフィールド『tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!』
レオナルド・ディカプリオ『ドント・ルック・アップ』
ピーター・ディンクレイジ『シラノ』
クーパー・ホフマン『リコリス・ピザ』
アンソニー・ラモス『イン・ザ・ハイツ』

主演女優賞（ミュージカル・コメディ部門）

☆レイチェル・ゼグラー『ウエスト・サイド・ストーリー』
マリオン・コティヤール『アネット』
アラナ・ハイム『リコリス・ピザ』
ジェニファー・ローレンス『ドント・ルック・アップ』
エマ・ストーン『クルエラ』

助演男優賞

☆コディ・スミット＝マクフィー『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
ベン・アフレック『僕を育ててくれたテンダー・バー』
ジェイミー・ドーナン『ベルファスト』
キアラン・ハインズ『ベルファスト』
トロイ・コッツァー『コーダ あいのうた』

助演女優賞

☆アリアナ・デボーズ『ウエスト・サイド・ストーリー』
カトリーナ・バルフ『ベルファスト』
キルスティン・ダンスト『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
アーンジャニュー・エリス『ドリームプラン』
ルース・ネッガ『PASSING －白い黒人－』

監督賞

☆ジェーン・カンピオン『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
ケネス・ブラナー『ベルファスト』
マギー・ジレンホール『ロスト・ドーター』
スティーブン・スピルバーグ『ウエスト・サイド・ストーリー』
ドゥニ・ヴィルヌーヴ『DUNE/デューン 砂の惑星』

脚本賞

☆ケネス・ブラナー『ベルファスト』
ポール・トーマス・アンダーソン『リコリス・ピザ』
ジェーン・カンピオン『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
アダム・マッケイ『ドント・ルック・アップ』
アーロン・ソーキン『愛すべき夫妻の秘密』

非英語映画賞（旧外国語映画賞）

☆『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督（日本）
『Compartment No. 6』ユホ・クオスマネン監督（フィンランド／ロシア／ドイツ）
『The Hand of God』パオロ・ソレンティーノ監督（イタリア）
『A Hero』アスガー・ファルハディ監督（フランス／イラン）
『Parallel Mothers』ペドロ・アルモドバル監督（スペイン）

作曲賞

☆ハンス・ジマー『DUNE/デューン 砂の惑星』
アレクサンドル・デスプラ『フレンチ・ディスパッチ』
ジャーメイン・フランコ『ミラベルと魔法だらけの家』
ジョニー・グリーンウッド『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
​アルベルト・イグレシアス『Parallel Mothers』

歌曲賞

☆“No Time To Die”『007／ノー・タイム・トゥ・ダイ』
“Be Alive”『ドリームプラン』
“Dos Oruguitas” 『ミラベルと魔法だらけの家』
“Down to Joy”『ベルファスト』
“Here I Am (Singing My Way Home)”『リスペクト』

アニメーション映画賞

☆『ミラベルと魔法だらけの家』（ウォルト・ディズニー）
『Flee』（Neon / Participant）
『あの夏のルカ』（ウォルト・ディズニー）
『My Sunny Maad』（Totem Films）
『ラーヤと龍の王国』（ウォルト・ディズニー）