園子温監督『エッシャー通りの赤いポスト』本予告&新場面写真3点が解禁!
- Fan's Voice Staff
園子温監督が役者の卵たちと創り上げた遊び心と映画愛あふれる最新作『エッシャー通りの赤いポスト』の本予告と新場面写真3点が解禁されました。
自主映画からキャリアをスタートさせ『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』など、強烈な個性を色濃く反映させた傑作、怪作を生み出してきた園子温。「忘れていた感情がもどってきた」と語る本作は、園子温が映画を作ることで原点回帰を遂げた、映画愛にあふれる瑞々しい青春群像劇。
2019年に心筋梗塞で生死の境をさまよった園にもたらされたのは、劇作家の松枝佳紀が主催する「アクターズ・ヴィジョン」からのワークショップの誘いでした。役者の卵たちに少なくない額を負担させて行うワークショップには抵抗があったという園ですが、受講者全員が出演する映画も同時に撮るのであれば、出演実績が残る上に、映像の世界で演じる上で欠かせない“カメラの前での芝居”を学べることから、「園子温による役者のための実践的ワークショップ」には、2週間で697名の応募があり、最終51名の役者たちが選抜されました。
園がワークショップのために用意した脚本『エッシャー通りの赤いポスト』は、映画『仮面』に出演するために様々な境遇の人々が思いを募らせて応募用紙をポストに投函し、オーディション会場に集う物語。まさに今、ワークショップを受講する役者たちと同じシチュエーションが用意され、同じ環境にある役を〈演技〉でどのように表現するかが求められました。
撮影は2019年の8月。クライマックスとなる商店街のシーンは、園監督の故郷である豊橋の商店街で大がかりなロケーションを敢行。ワークショップの全参加者が集結し、通りを歩くすべての人々が主役となる、本作でしか実現できない感動的な場面になっています。
解禁された本予告では、“人生が決まる”オーディション会場に向かう、まだ“何者でもない”者たちが映し出されます。オーディションにはさまざまな個性的なキャラクターが登場し、鬼才映画監督・小林が、全員新人で撮ろうとした企画を、エグゼクティブプロデューサーによって阻まれそうになっている様子もうかがえます。園子温監督が経験した映画業界あるあるをエンターテインメントに昇華し、さらに、“仮面”をかぶって生きる全ての人へ畳み掛けるように、「エキストラでいいんか?人生のエキストラで」と投げかけ、「仮面を外して、衝動のまま突き進め」と鼓舞する本編のメッセージを詰め込んだ、エモーショナルな予告編となっています。
予告のラストシーンは、渋谷のスクランブル交差点。90年代に園が率いた街頭詩パフォーマンス「東京ガガガ」を考えると、園の十八番であり、まさにインディーズ映画に戻ってきた証ともいえます。
殺気立った訳ありの女・安子を演じるのは、藤丸千。狂気をみなぎらせながら、可憐さも持つ独特の存在感は、『愛のむきだし』で登場した満島ひかり、安藤サクラに匹敵。俳優志望だった亡き夫の遺志を継いでオーディションに応募する切子を演じるのは、黒河内りく。これまで演技経験がなかったとは思えない凛とした姿は、『紀子の食卓』の吉高由里子、『ヒミズ』の二階堂ふみらを輩出してきた園作品に新たなヒロインの誕生を印象づけます。
映画監督の小林役には、舞台で長らく活動してきた山岡竜弘。小林を支える恋人の方子役には、モデル・フォトグラファーとしても活動するモーガン茉愛羅。柔らかさと儚さを持つキャラクターによって、映画に幻想的な雰囲気を漂わせています。助監督のジョー役には、映画・ドラマ・舞台でキャリアを重ねてきた小西貴大。さらにベテラン俳優の藤田朋子もワークショップに自ら応募し、選考を経て選抜された51名の1人として参加しています。
それぞれ経歴も年齢も異なる役者たちが、園監督が全員のキャラクターを踏まえて作り上げたそれぞれの役を、実人生を生きるように熱演する姿は、群像劇ならではの迫力に。さらに渡辺哲、諏訪太朗、吹越満といった園作品でおなじみのベテラン俳優たちが脇を固め、作品と若き役者たちを力強く支えています。
『エッシャー通りの赤いポスト』は世界13の国際映画祭で上映され、第49回モントリオール・シネヌーヴォー映画祭では観客賞を受賞しています。
12月25日(土)からの日本公開に先立ち、今週末11月6日(土)より前売限定ステッカー付劇場鑑賞券が劇場にて発売されます。
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『エッシャー通りの赤いポスト』(英題:Red Post on Escher Street)
鬼才のカリスマ映画監督・小林正(山岡竜弘)は新作映画『仮面』に、演技経験の有無を問わず広く出演者を募集する。浴衣姿の劇団員、小林監督の親衛隊である“小林監督心中クラブ”、俳優志望の夫を亡くした若き未亡人・切子(黒河内りく)、殺気立った訳ありの女・安子(藤丸千)、プロデューサーにまとわりつく有名女優など様々な経歴の持ち主たちが、オーディション会場に押し寄せて来る。それぞれの事情を持った参加者たちは、小林監督の前で語り、演じて見せる。
一方、助監督のジョー(小西貴大)たちに心配されながら、脚本作りに難航する小林の前に、元恋人の方子(モーガン茉愛羅)が現れる。彼女は脚本の続きを書いてくれるという。1年前のある出来事を忘れることが出来ない小林は、方子に励まされながら『仮面』に打ち込み、刺激的な新人俳優たちを見つけ出すことで希望を見出すが、エグゼクティブプロデューサー(渡辺哲)からの無理な要望を飲まなければならなくなる。自暴自棄に陥った小林は、姿が見えなくなった方子を探すが……。
監督・脚本・編集・音楽/園子温
企画/松枝佳紀(アクターズ・ヴィジョン)
プロデューサー/髙橋正弥、小笠原宏之
出演/藤丸千、黒河内りく、モーガン茉愛羅、山岡竜弘、小西貴大、上地由真、縄田カノン、鈴木ふみ奈、藤田朋子、田口主将、諏訪太朗、渡辺哲、吹越満 ほか
制作プロダクション/ヒコーキ・フィルムズ インターナショナル
製作会社/ヒコーキ・フィルムズインターナショナル、アクターズ・ヴィジョン、AMGエンタテインメント
日本公開/2021年12月25日(土)ユーロスペースほかにて全国順次公開
配給/ガイエ
公式サイト
@2021「エッシャー通りの赤いポスト」製作委員会