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2021.09.11 13:16

『最後の決闘裁判』ワールドプレミアにマット・デイモン、ベン・アフレック、リドリー・スコット監督らが登場!

  • Fan's Voice Staff

第78回ベネチア国際映画祭にて映画『最後の決闘裁判』のワールドプレミアが開催され、現地時間9月10日(金)、マット・デイモン、ベン・アフレック、ジョディ・カマー、脚本家のニコール・ホロフセナー、そしてリドリー・スコット監督が記者会見と公式上映に出席しました。

Photo by John Phillips/Getty Images for 20th Century Studios

アウト・オブ・コンペティション部門に選出された『最後の決闘裁判』は、アカデミー賞脚本賞を受賞した『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』のマット・デイモンとベン・アフレックが24年ぶりにタッグを組んで手掛けた脚本を、名匠リドリー・スコット監督が映画化。史実としていまだに真相不明なフランス最後の決闘裁判を、事件を告発した被害者(ジョディ・カマー)、被害者マルグリットの夫(マット・デイモン)、訴えられた容疑者(アダム・ドライバー)という3つの視点で描く三幕構成の実話ミステリー。

記者会見には、世紀の決闘裁判に挑む騎士カルージュを演じたマット・デイモン、騎士たちの運命を揺さぶる主君ピエール伯を演じたベン・アフレック、女性が声を上げることのできなかった時代に立ち上がり、裁判で闘うことを決断した勇気ある女性マルグリットを演じたジョディ・カマー、デイモン&アフレックと共に脚本を担当したニコール・ホロフセナー、そしてリドリー・スコット監督が登壇。すでに作品を観た記者たちからの質問に、デイモンとアフレックが思わずマイクの取り合いをするほど熱のこもった質疑応答を見せました。

原作の映画化を検討し始めたデイモンは「読んですぐにリドリー・スコット監督のことが頭に浮かんだ。リドリー以外にこの時代のものをうまく表現できる監督はいないんじゃないかと思った」と語り、デイモンから連絡をもらったスコットは「マットが取り憑かれたように『羅生門』の話をしていた。1つの行為が3つの視点で語られることをね。私がこの作品に惹きつけられたのはそれが理由だ」と明かしました。

Photo by Marc Piasecki/Getty Images for 20th Century Studios

さらにアフレックは「マルグリットのキャラクターに惹かれた。勇敢でとても強く、危険を覚悟で正義を行おうとしている。観ている人に共感が生まれてほしい物語だし、私たちも違った見方が必要だということを思い起こさせることができればと願っている」とコメント。

歴史的には男性側の視点でしか記録や資料が残されておらず、これまで抜け落ちていたマルグリットの視点を描くために、女性の脚本家が必要だと考えたデイモンとアフレックは、脚本家であるニコール・ホロフセナーをチームに呼び、マルグリットを演じるジョディ・カマーにも積極的に脚本会議に参加してもらい意見を募ったといいます。カマーは「脚本では3つのシーンで3つの同じセリフが書かれているけれど、すべてはそれをどう演じるかにかかっている。微妙なニュアンスや表現の違いを観客の皆さんに感じ取って欲しい。私は同じセリフを言う、それを相手が全く違う態度で受け止める。それがこの3人の脚本家たちがこの映画にもたらした力だと思う」と、共にマルグリットという女性を作り上げたからこその思いを語りました。

Photo: G Zucchiatti/ASAC

マルグリットの脚本パートを担当したホロフセナーは「マルグリットの身に降りかかったことは、今でもどこかで誰かが経験をしているものだと思う。でも、私はそういう風には書きたくなかった。私が書こうとしたのは、彼女が経験したようなことが身の上に起こったとしても、人間であるならどう行動するかということ」と、女性が声を上げることが難しい時代に勇気をもって立ち上がったマルグリットの行動が、現代にも通じることを伺わせました。

記者会見も終盤に差し掛かった頃、ある記者からの質問に会場の空気が一変。「第二幕と第三幕の暴力の表現にさほどの違いを見出せない」。監督は「君は本当に映画を見たのかね?」と思わず声を荒げ、アフレックは「それら2つは違う。同じ暴力を描いているが、アダム・ドライバーが演じたル・グリの視点が違う。それははっきりしている」と反論。そこにデイモンも参戦し、マイクを奪い合うように議論が白熱。「騎士の世界で生きるル・グリには理解できないことが表現されている」(デイモン)、「そう、観客はそれが理解できるが、ル・グリにはそれが分からないんだ」(アフレック)、「観客は理解していて、それが分かっていないのはル・グリだけなんだ。それがあのシーンの考え方だ」(デイモン)、「ル・グリの視点では、マルグリットが誘っているように映っている」(ホロフセナー)、「それこそもう一つの見方、というやつだよね」(デイモン)、「真実はこうではないかと思われている中で、もう一人の人間が同じシーンを別の物語として語っているんだ」(アフレック)、「マルグリットがそれをどう感じていたかも、また別の視点だ」(デイモン)。最後に監督が、撮影や演出による細かな違いを解説し「もう一度映画を見たまえ!」と一喝して会見は終了しました。

Photo by Marc Piasecki/Getty Images for 20th Century Studios

Photo by Marc Piasecki/Getty Images for 20th Century Studios

レッドカーペットでは、多くのゲストやマスコミ、沿道のファンからの大歓声に包まれる中、5人は世界中から集まった多くのカメラマンに応え、明るい笑顔を見せました。

公式上映前には、今年度よりベネチア国際映画祭とカルティエが創設した、優れた映画製作者に敬意を表し、現代の映画業界にとりわけ独創的な貢献をした人物に贈る「Cartier Glory to the Filmmaker Award」を受賞したリドリー・スコット監督の受賞セレモニーが開催されました。

なお、ワールドプレミアが行われた9月10日は、70年前の1951年9月10日に第12回ヴェネチア国際映画祭において『羅生門』が日本映画初となる金獅子賞を受賞した日。必然とも言える日に行われた記念すべきプレミア上映となりました。

Photo by John Phillips/Getty Images for 20th Century Studios

Photo by John Phillips/Getty Images for 20th Century Studios

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『最後の決闘裁判』(原題:The Last Duel)

中世フランス──騎士の妻マルグリットが、夫の旧友に乱暴されたと訴えるが、彼は無実を主張し、目撃者もいない。真実の行方は、夫と被告による生死を賭けた“決闘裁判”に委ねられる。それは、神による絶対的な裁き──勝者は正義と栄光を手に入れ、敗者はたとえ決闘で命拾いしても罪人として死罪になる。そして、もしも夫が負ければ、マルグリットまでもが偽証の罪で火あぶりの刑を受けるのだ。果たして、裁かれるべきは誰なのか?あなたが、 この裁判の証人となる。

監督/リドリー・スコット
脚本/ニコール・ホロフセナー、マット・デイモン、ベン・アフレック
原作/エリック・ジェイガー「決闘裁判 世界を変えた法廷スキャンダル」
出演/ジョディ・カマー、マット・デイモン、アダム・ドライバー、ベン・アフレック

日本公開/2021年10月15日(金)全国公開
配給/ウォルト・ディズニー・ジャパン
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